赤ですか? 緑ですか?
赤城ハル
第1話
カップ麺を湖に落とすと女神風のストレートロングヘアーおっさんが現れた。
「あなたがぁ〜落としたのは〜赤いきつねですか〜それとも緑のたぬきですくゎ〜?」
変な抑揚のある喋り方。それに何度も髪を掻き上げるし、最後は顎を揺らしている。
変態おっさんの右手には赤いラベルのカップ麺。左手には緑のラベルのカップ麺を持っている。赤いラベルはきつねうどんで、緑のラベルは天ぷらそばのカップ麺である。
「どっちも違います」
俺は正直に答えた。
「赤か緑かぁ〜どーちらかを選んで〜くぅだすゎ〜い。はいぃ〜」
あれ?
「こういう時って正直に答えると湖の女神様が両方くれるってやつじゃないの? あっ!? 男性神だから設定が違うの?」
「ん〜、違いまーす。ヘルメス神は男ですよ〜」
ヘルメス? 誰ですか?
まあ、いいや。
「えーと、それじゃあ、赤で」
「赤! 赤ですかぁー! あーかー! 本当にあなたが落としたのは赤のきつねなのですか〜?」
「本当は赤でも緑でもないんだけどね」
「赤いきつね良いですよねー。私もだーい好きでーす」
おっさんは名残惜しそうに赤いきつねを見ます。
え? 赤は駄目なの?
「……緑で良いですよ」
「緑! 良いですね〜。実にナイスですよぉ〜! ふやけたかき揚げをバラバラにして食べるのもあり! かき揚げを後で入れてサクサク食感もまたあり!」
おっさんはすごく感慨深い顔をして頷きます。
「もう! どっちでも良いですよ!」
「どっちもいけませーん。欲張りは駄目でーす! 101回目の質問です。どっちですくゎ〜?」
おっさんが髪を掻き上げて聞く。
「101回もしてないだろ。ああ! もー! 緑のたぬきでいいよ! 緑で!」
「ファイナルなアンサー?」
おっさんがクソ真面目な顔で聞く。
「何か色々混ざってんな! それみ◯さんのだろ。カオスだ! 緑! 緑のたぬき!」
「かき揚げを入れてお湯を注ぐ? それとも後から入れる?」
「先!」
「崩す? 崩さない?」
「崩さない!」
「ファイナルなアンサー?」
「ファイナル! ファイナル!」
もう帰りたい!
おっさんはじっと見つめ、み◯さんバリの変な間を取る。
そして、「両方差し上げよう!」
「結局、両方かよ!」
おっさんは俺に赤いきつねと緑のたぬきの両方を差し出す。
「どうも」
もう面倒くさいので受け取っておく。ずこく疲れた。
「アディオス!」
最後におっさんはそう言って湖の中へと消えた。
赤ですか? 緑ですか? 赤城ハル @akagi-haru
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます