第8話 信仰

 翌朝、ガイアソフィア様に言われた通りに朝8時に近くの神社までやってきた。


「ガイアソフィア様ー!着きましたよ。どこですか?」


 僕が境内でガイアソフィア様を探し回っていると、頭上から「私はここ!」と声が聞こえた。空を仰ぐと、大きな御神木の梢にちょこんとガイアソフィア様が座っていた。


「そんなところにいたんだ。早く降りてきてくださいよー!」


 そう呼びかけると、なんとガイアソフィア様はぴょんと飛び降りてきて、僕のもとへ降ってきた。


「わぁー!」と僕が驚きの声を上げると、「わははは」と見事目の前に着地したガイアソフィア様は大口を開けて笑う。


「もー。何がしたいんですか?一体」

「からかっただけだよ」


 ガイアソフィア様は昨日のまま白いワンピースを着ていた。これだと神様よりはどちらかと幽霊のようだ。だが、黒髪じゃないから貞子感はなかった。


「で、わざわざ朝早くに呼び出して、僕はこれから何をすればいいんですか?」

「そんなの決まってるでしょ。朝の祈りの時間よ」

「い、祈り!?」

「そうよ。あなた私の信者なんだから祈って私に力を送りなさい」

「僕一人の力で意味があるんですか?」

「そりゃ、0人よりはマシよ。まぁ、地球上の人間以外の動物からの信仰はあるけど、人間の信仰心が一番強いからね」

「そ、そうなんですね。あの、例えばどんな動物が信仰してるんですか?」

「えーと。鳥とか?」

「なんで疑問系なんですか?」

「私だってなんとなくしか分からないのよ」


 神様の信仰状況を僕が知っても意味はないのでそれていた話題を元の軌道に戻すことにした。


「でなんですが……。祈りって何をすればいいのですか?」

「そんなの簡単よ!あなたが祈りの言葉を作ってそれを読み上げるの」

「作るんですか?僕が?」

「そうよ。君の他に誰がいるっていうのよ。ほら、さっさと考える!」


 ガイアソフィア様は信者遣いが荒い。仕方なくガイアソフィア様が地球の女神ということを念頭に、僕はそれっぽいのを考えてみた。


「ガイアソフィア様!出来ました」

「うむ。読み上げよっ!」


『おぉ、我れらが地球の女神ガイアソフィアよ。あなたはなんと慈悲深い。あなたはなんと美しい。あなたの愛で私たちは生きています。ありがたや、ありがたや。ハレルヤ、ハレルヤ!』


「どうですか?ガイアソフィア様!」

「あなた最後の方適当に作ったわね」

「バレました?」

「でも、まぁ及第点ね。合格よ」

「やった!」

「でも、まだまだこれからよ!あなたにはいずれ私のための聖典を作ってもらうんだから!」

「えー。そんなぁ!」


 僕はどうやらこれからもガイアソフィア様にこき使われる運命なのかもしれない。そういった未来が容易に想像できた。

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