第9話 神木
僕は今、家の近くのスーパーの観葉植物エリアにいた。
「いずれ私のご神木になる木なんだから、しっかり選びなさいよ!」
「はいはい」
「はいは一回!」
「はい!」
どれが良いって言っても、観葉植物に詳しくない僕には、あまり違いがわからない。
「ガイアソフィア様が決めてくださいよ」
「うーむ。そうだな。これとか?」
ガイアソフィア様が取ったのは、パキラという観葉植物だった。
「良いじゃないですかね。でも、こんなのがご神木で良いんですか?」
「いいのよ。少なくとも私が天界に戻った後もあなたがこの木に祈りを捧げてくれればいいから」
「やっぱり、いつか戻られるんですね」
「そうよ!だって、天界に戻るために信者を増やすんだから」
わかっていたが、実際に口にされると少し寂しい。
「でも、まだまだ先の話よ。少なくとも10人。多くて100人は信者欲しいから。それで、その後も私の存在を広めていってもらうの」
「意外に少ないんですね。それならすぐにでも集まりそうな気がします」
「まぁあなた次第ね」
そのままパキラを買ってスーパーを後にし、近くの公園で今後の作戦会議をした。
「いい!あなたはその観葉植物を家で大切に育てること!毎朝晩の祈りも欠かさずにね」
「はい」
「よろしい」
「で、これからどうやって信者を増やすんですか?」
「私にとびっきりの策があるわ」
ガイアソフィア様が言うには、僕はもう直ぐで高校生であることを利用し、オカルト研究部ないし神を信じる人が多そうな部活に入る。もしなければ自分の手で部活を作る。そして、ガイアソフィア様を登場させ、信者を増やしていくというものだった。
「それ、僕変人になりません?」
「いいのよ変人で。いつだって歴史を変えるのは変人って相場が決まっているんだから」
「そんなぁー」
「男でしょ?で、学校はいつからなの?」
「明日からです」
「そう。私何とか入学できないかしら?」
「出来ないですよ!」
「だって、学校楽しそうなんだもん!」
「子供ですかあなたは……」
ガイアソフィア様はどうしても学校に行きたいようだ。
「誰にも見られないんですから、紛れて仕舞えばいいのでは?」
「それもそうね。だけど、出来たらいつか転入するわ」
「はいはい。お好きにどうぞ」
気づけばもうお昼時。お腹が空いていた。
「もう帰ってもいいですか?家で昼食べるので」
「いいわ。今日のところは。じゃあまた明日」
そう言って僕とガイアソフィア様は別れた。僕は観葉植物のパキラをひさいで家に帰り、部屋に飾ったのだった。
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