第7話 帰宅
やっと僕とガイアソフィア様は僕の家の前まで付いた。さて、ここからどうしようか。
「ガイアソフィア様は一旦ここで待っててください」
「なんでよ!私もすぐ入らせてよ!」
ガイアソフィア様は不服といったご様子だ。
「えー、でも」
僕がぐすぐすしていると、「えい」と隣でガイアソフィア様がインターホンを押した。
「何やってるんですか!」
「へーきよ。へーき」
「はーい」と中からお母さんの声が聞こえてきた。僕がどうしようと悩んでいると、ガイアソフィア様が僕に話しかける。
「大丈夫よ。なんとかなる」
ガチャッとドアが開く。
「あらおかえりなさい、幸多。遅かったねぇ」
「ただいま、母さん」
もしかしたらお母さんにはガイアソフィア様の姿が見えていいのだろうか。
「それと、そちらのお嬢さんは?」
やはり見えていた!おいおい、一体どうしたらいいんだ?なんとか場を持たせようと僕は苦し紛れで続ける。
「こ、この人は……」
「私は幸多の彼女です」
「え!」と思わず声を上げてしまった。そして僕はフリーズする。今、ガイアソフィア様はなんて言った?ガイアソフィア様が僕の彼女?
僕が固まっていると、ガイアソフィア様が「そうすれば一緒にいても怪しまれずに済むでしょう」と耳打ちしてきた。そうか、確かに今一緒にいることの説明にはなるか。
「ついこの前付き合ったばかりなのですが、この際ご両親に挨拶をと」
「あら、そうなの。幸多ったら、秘密にして……。よろしくね、その」
「私はソフィアです。よろしくお願いします」
「ソフィアちゃんね。べっぴんさんじゃない」
「いえいえ、そんなことは……」
もうこのままガイアソフィア様に流れを任せてしまおう。
「お父さん、朱音。幸多の彼女さんが挨拶に来てるわよー」
「いいよ、呼ばなくて……」
お母さんがお父さんと妹を読んだり僕の制止も空しく、二人がドタバタとやってくる。
「お兄ちゃんに彼女?」
まずやって来たのは妹の朱音だった。
「うわっ!凄い美人。しかも外国人じゃん!」
「初めまして。私、ソフィアと言います。幸多君の妹さんですか?」
「あ、はい。私は朱音って言います」
「朱音ちゃんね。よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
そして、遅れてお父さんがやって来る。
「ソフィアちゃんか。幸多をよろしくな」
「はい!」
ガイアソフィア様は満面の笑みで答える。彼女は一体この状況をどうするつもりなのだろうか。
「二人の馴れ初めは?」
妹が痛いところを突いてくる。
「そ、それは……」
「それは、私が山で困っていた時に幸多君がたまたま通りがかって、助けてくれたんです。それで」
僕が答えあぐねていると、ガイアソフィア様が助けの船を出してくれた。先程から嫌な汗をいっぱいかいていて、背中が湿ってきた。早く終われ、この状況。
「と、とにかく。今日はもう遅いし、僕はこのままソフィアを駅まで送って行くから」
「もっと話してもいいじゃない」
「そうだよ、お兄ちゃん。せっかく来てくれたんだから!」
「そうだな。せっかくだから、夕飯も一緒にどうだ?」
三人とも僕の提案に満足してくれない。当のガイアソフィア様はというと。
「ゆ、夕飯ですか……」
飯に興味津々といった感じだ。
「兎にも角にも、今日はこれで解散!ほら戻って戻って」
僕は強制的に3人を家の中に押し戻す。3人は色々と抵抗したが、なんとかドアを閉めることに成功した。
「ふぅー」
「いい家族じゃないの」
「そ、そうですか?ありがとうございます」
「でも、夕飯は食べたかったなぁ」
「神様もお腹がすくんですか?」
「空きはしないけど、食べれるし、味わえるわよ」
「そうですか。あの……これからどうするんですか?」
「そこらへんの神社で休むよ。神社の聖域は波動が高くて居心地がいいからな」
てっきり僕の家に寝泊まりするのかと思っていたが、どうやら違ったらしい。
そう言えば家族全員ガイアソフィア様のことを視認できていたら。あれは一体なんだったのか。
「お母さんはもちろん、妹やお父さんまでもがガイアソフィア様のこと見えてましたよね。二人も波動が高いんですか?」
「いや、あれはお母さんが2人を呼んだ時に、私が波動を落としておいたのよ。見えるだの見えないだのの問題が起きないようにね」
つまり、全てはガイアソフィア様の思うがままということになる。流石神様だ。
その後は二人で近くの神社まで歩きそこで別れることにした。
「いいか。明日朝、8時にこの神社で集合ね!」
「はいはい、わかりました」
帰った後、家族にガイアソフィア様のことを根掘り葉掘り聞かれた。適当に返答しながら、飯を食い風呂に入って自室のベッドに横になった。
こうして長い1日が幕を閉じた。
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