第6話 使命

 僕とガイアソフィア様を乗せた電車はやっと僕の家の最寄駅についた。


「やっと話せる」

「なんでずっと無視してたの?」

「それは、電車の中だと電話や大きな声での会話はマナー違反だからです」

「そうなんだ。だからやけに静かだと思った」


 神様でも知らないことはやはりあるらしい。まぁ、ルールは人間が作ったものだから、神様が知らないのも無理はないのかもしれない。


 駅の改札を抜けて、すっかり暗くなった帰り道を歩いて行く。振り返ってガイアソフィア様を見ると彼女はなんと神々しく輝いていた。やっぱり神様って光るんだ。


「ガイアソフィア様、光ってますよ!また僕が怪しまれちゃうので、その光どうにかできませんか?」


 光はガイアソフィア様の背後から広がっていて、後光といった感じだった。


「分かってる。今消すわ。それに、たぶん君にしか見えてないはず。その証拠に君は私よりもさらに高い波動の神様も、彼らの後光も見たことはないでしょう?」

「そ、そうですが……」


 ガイアソフィア様の言うことを信じるしかない。


「そういえば、ガイアソフィア様。まさか、家まで付いてくるってことはないですよね?」


 僕はこれまであえてしなかった質問をした。そんなまさかね。しかし、ガイアソフィア様は「そのまさかよ!」と言い放った。


「だ、ダメですよ!僕のお母さん、ただでさえ霊感強いんですから」

「いいじゃない。きっと理解してくれるわよ。それに、私としては、二人目の信者を確保できて一石二鳥だし!」

「あと、もう一つ質問です!どうして僕についてくるんですか?他にも波動の高い人はいるはず……」

「それは簡単よ」


 ガイアソフィア様は僕を追い越して、くるりと半回転しら僕の瞳を見つめながらこう言った。


「君のこと気に入ったからだよ」


 予想外の返答に思わず固まってしまう。


「そ、そうやってからかわないでくださいよ」

「からかってなんかない、ら本当に気に入ってるよ。じゃないとわざわざついて行ったりなんかしなよわよ。それに……」


「運命かもしれない」とガイアソフィア様は言った。


 運命って神様も信じるんだ……。その表現を僕も気に入った。そうか、僕は運命に呼ばれてガイアソフィア様に出逢ったんだ。もしかしたら、彼女の信者を増やすことが僕の使命なのかもしれないと思った。

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