アンコール


 セタグリスが新しく人類の管理者となった後。無事に目覚めたツィツィは、同じく地下で目覚めた人類の指導者として活躍した。


 ドームを最初の拠点とし、次第にその生活の場を増やし続けた。

 ゼラーファ達に操られていたリージュも自我を取り戻し、彼女を支え続けたという。



 一方、天使であり、人類再生の使徒であったイグリットは、あれからドームを去った。残念ながら、その行方を知る者は誰も居ない。



 彼女は去り際に、ドームに残っていた映像記録の全てを破壊していった。


 その記録に何が残っていたのか、それを知る者はツィツィとイグリットだけ。

 優しい彼女らは、それを誰にも教える事はなかった。


 その映像には――凶器を持って雛鳥たちを殺める、笑顔の少年の姿が映し出されていたという。

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