第二十三話 初夜

※十八禁の恐れあり。場合によっては内容を変更、または一話丸々削除します。


あらすじ:道長の飛び込みでの舞台は大歓声のなか幕を閉じた。全ての誤解が解消し、道長の何があっても那由の側にいるという宣言を聞いた那由は、道長の事をより一層好きになってしまう。甘えん坊と化した那由と道長の下に、騒動の皆が顔を合わせ、文化祭は幕を閉じたのだが――


――


 土曜日、午後五時

 天宮高校を出た道長と那由は、二人仲良く勝太の車に乗り込み、一路那由の家へと向かった。


「すいません、勝太さん、俺まで乗せて貰っちゃって」


「ん、いいよ、乗り掛かった舟だからな。最後まで面倒見てあげないと」


 後部座席に座った那由は、助手席のヘッドレストを抱え込みながら勝太へと話しかける。


「えへへ……助手席に座らなくてごめんね、勝兄」


「はは、二人を見てたら、そんなこと言えないよ。しっかし噂通りだったんだな、本当に仲良し過ぎてこっちが見てられねぇわ。那由の親父さんが泣くのも分かるなぁ」


「そういえば、勝太さんと那由は幼馴染なんですよね?」


「ん? そうだな。歳は三つ離れてるけど、幼馴染だよ。どうかした?」


「あ、いや、今まで那由から聞いた事なかったので」


 異性の幼馴染の存在、那由は雪華を知り、相当な嫉妬と負けん気を起こしていたのだ。

 意外とメンタルの弱い道長も同様に、突如現れた勝太が気になるのだろう。

 

「あ、道長、私と勝兄を疑ってるんでしょ?」


「別に、そんなんじゃ……いや、こういうのがいけないんだよな。那由の言う通りだよ、めっちゃ気になる。幼馴染って事は何年も那由と一緒に居たって事ですよね? 恋愛感情とかはどうなんですか」


「おおお、ぐいぐい来るね」


「自分勝手に生きろって、教わりましたから」


「ははは、そりゃその方が那由も安心できるな」


 ハンドルを握りながら、勝太は声に出して笑う。那由も嬉しかったのか、抱え込んでいたヘッドレストから離れて、道長の事をギューッと抱き締め、子猫の様に道長の胸に顔を埋めた。

 

「勝兄と私は兄妹みたいなものなんだ。ずっとそんな感じ、大体勝兄は彼女いるもんね」


「あ、そうなんですか。すいません、それなら安心です」


「はっはっは、何だよそりゃ、彼女いなかったら信用出来なかったってのか」


「はい」


 道長の即答に勝太は苦笑する、聞き方によってはとても失礼な言葉だが、道長はそういう言葉を隠さない方が良いと学んだのだ。それ程に辛い経験だった、愛する人との離別は。


「くっくっく……とりあえず、何もないよ。本当に安心して欲しい。それよりも大変なのはこれから何じゃないのかな? ほらご両人、出牛家に到着だぜ?」


「……あ、そうか、お父さんの説得、大変かも……」


 那由はつい先日、道長との別れを両親に告げている。入院までしたのだ、全てを打ち明ける以外に解決方法が無かった。そして那由の父親は一人娘の那由を溺愛している、目に入れても痛くない程に可愛がった娘なのだ。そんな可愛い娘を一度は手放す決心をし、そして戻ってきた。けれどもその男がまた出戻ってきたとなると。


「貴様は絶対に家に入れん」


 こうなってしまう訳である。


 那由の父親、出牛礼二れいじ、年齢四十二才、堀の深い顔立ちに高身長の眼鏡。


 名の知れた会社の課長職を務める人間だが、本当ならば部長職も夢ではなかった。

 愛する娘が生まれた瞬間に、優秀だった礼二はポンコツと化してしまったのである。


 男ながらにして育児休暇もバッチリ取得し、那由の学芸会や発表会があれば、例え平日であっても会社を休んで参加した。会社の上司の命令で単身赴任の辞令が下りた時も「妻と娘から離れて暮らすのは無理」と断った剛の者である。


 結果として出世街道からは外れてしまったのだが、こういう生き方が本来家族を持つ男の生き方なのではないか。男とは家族を守る為に仕事をするのである、仕事をする為に仕事に行く男なんぞ、本来少数であるべきなのだ。


 少子化対策だなんだ言われているが、本当に考えるのであれば子供を育てやすい環境を整えるべきだと声を大にして訴える、そんな男が出牛礼二という男だ。決して筆者の言葉ではない。


「大切な娘さんを泣かせてしまい、本当に申し訳ありませんでした」


 出牛家の玄関、しかも中ではなく外で道長は土下座をしていた。

 勝太の車が家の前に止まり、那由が帰ってきたと玄関に迎えに来た礼二。


 礼二は道長の顔を見るなり殴り掛かろうとしたが、それを寸でで那由が抑える。だが、礼二の怒りは収まりを知らず、結果として道長は玄関での土下座、そして家には絶対入れない宣言へと発展したのだ。


「貴様はこの一週間、那由がどれだけ泣いていたのか、知っているのか!」


「……すいません」


「すいませんじゃないんだよッ! 貴様の為に那由は学校を辞めるとまで言っていたんだぞッ! そのケジメを考えるのであれば、切腹ですら生ぬるいッ!」


 ああ、那由のお父さんなんだなと思う言葉である。切腹すらも生ぬるいと言う事は、死んでも許さないという隠語なのであろう。そんな言葉を発した父親だが、それらもやはり愛情が深いが故。


「もう、迷いませんから。俺、全部気持ちを正直に言葉にするって決めました」


「おお、そうか、じゃあ何なんだ、言ってみろッ!」


「俺、那由さんと一生一緒にいたいです! 結婚させて下さいッ!」


 なぜいきなり婚約報告へと発展したのか。

 道長の突然の報告を受けて、那由は思わず赤面した。

 そして愛する人がそう言うのならばと、道長の横に共に土下座してお願いし始めた。


「お父さん、私、道長に貰われたいです!」


 何か違う。何か違うが、意図は理解できる。

 

「ば、ばっっっかもーーーーん!」


 某日曜日のお父さんばりに声を荒げた礼二だったが、最早二人は聞く耳を持たず。


「子供は男の子が欲しいよね」


「ん、俺は女の子も欲しい」


「あ、じゃあ最低二人だね♡」


 なんと、道長と那由は土下座しながら顔を横に向けて、将来を語り始めるではないか。 

 叫び損である。礼二はこの後どうしていいか分からず、最愛の人を頼る事に。


 出牛仁美ひとみ、三十五歳、専業主婦。

 那由の母親であり、礼二の妻、那由ママである。


 おっとりとした性格の持ち主で、那由の美しさは那由ママから来ているのだなと即座に理解できる。違うのは爆乳であると言う事、将来の那由も同じぐらい大きくなるのであろうか? しかし既に那由は十七歳だ、これからの発展に期待は可能なのか。


 話が脱線したが、彼女は全ての理解者であり、いつでも那由の味方な彼女は、今も那由の味方だ。けれども、もちろん礼二の味方でもある。


「お父さん、とりあえず、今はこれでいいんじゃないかしら? ずっと一緒にいれば喧嘩の一つや二つはしますよ。むしろ、今までが仲が良すぎたんです。これでお互いを更に深く知ることが出来たんじゃないのかしら?」


 仁美の言葉を受けて、那由と道長は目を合わせる。


「うん……知ったよ、お母さん。道長ってね、思っていた以上に可愛いの。嫉妬心が凄くてね、例え演技であっても、他の男が私と触れあうのが嫌なんだって。もうきゅんきゅんしちゃうよね、可愛くって、それなら早く言ってくれれば良かったのに」


「あらあら、束縛激しいと結構厳しくない?」


「ううん、私はそれぐらいが丁度いい。毎日やり取りしてないと不安だもん」


「あらそう……そこら辺は、貴方パパ似なのね」


 チラリと視線を送られた礼二は「うぉっほん」と咳き込んだ。美しい伴侶を護る為に、多少の束縛はしょうがないことか。那由ママの言葉から察するに、礼二も嫉妬心の深い男なのであろう。娘を道長に渡したくないのも、嫉妬心からか。

 

「とにかく、結婚云々は置いといて、いつまでもこんなとこにいないで中に上がりなさいな。勝太さんはどうします? ご飯食べていきます?」


「あ、いや、僕は明日も仕事があるんで、帰ります。じゃ、二人仲良くね」


「勝太さん」


 土下座していた道長は、立ち上がり勝太へと近寄る。結構本気で打ち付けたのか、額を赤く染めた道長の顔は気持ちの良い笑顔をしていて。何も言わずに去ろうとした勝太だったのだが、足を止めると道長が勝太の手をぎゅっと握り締める。


「俺、勝太さんがいなかったら、多分まだ家で燻ってたんだと思います。本当に今日はありがとうございました。おかげで那由と仲直りする事ができました」


 後ろで礼二が「余計な事を」とぼやいたが、それらは無視して勝太は道長の手を握り返した。


「頑張れよ、次泣かしたら承知しないからな?」


「……肝に銘じておきます」


「はは、じゃあ、また。那由もね。あまり喧嘩するなよ? 那由は怒ると怖いからね」


 「もう、勝兄!」とやっかむ那由を残して、勝太は車に乗り込み帰ってしまった。

 勝太の車が見えなくなるまで手を振った後に、那由と道長は出牛家へと足を運ぶ。


 そして家に入り、リビングに入った瞬間に気付いたのだ。

 既にテーブル上には酒類が並び、礼二も仁美も晩酌を楽しんでいる。


 道長の両親は共働きだ、多分帰ってきても夜は遅くなってしまうのは間違いない。

 それに仕事の日は一杯飲んでから帰って来ることが多い、夫婦仲良く飲兵衛なのだ。


「さ、どうぞ道長君も。良かった、貴方のお箸とか捨てないでおいて」


「あ、あの……すいません、一つ重要な事に気付いたのですが」


 既にソファーに座りビールの入ったグラスを手にした礼二、制服姿のままご飯を食べようと炬燵に入った那由、そしてお箸を持ってきた仁美が、道長に注目する。

 

「俺、今日……どうやって帰ったらいいのでしょうか」


 道長の問いはもっともだ、帰る足が存在しない。

 那由は少々嬉しそうにダメな点を羅列していく。


「……あ、お父さんもお酒飲んじゃってるね。そういえば私の自転車も駅に置きっぱなしだ、歩きだと駅まで一時間以上かかるし。道子さんも正孝さん道長の両親も、土曜日って仕事だっけ? 確かその時は帰りは遅いもんね……あれ、道長、家に帰れなくない?」


 タクシーで駅まで行って帰るという選択肢もあるが、結局駅から自宅の足が存在しない。勝太の車でドアtoドアで家から学校、そして那由の家へと移動してしまったが故に発生した珍事。


「そうねぇ……早朝にお父さんの車で帰るって方法もあるけど」


「ダメよ、明日の午前中は演劇部の追い出し会があるんだから。道長もそれに参加する事になってるし。だから、ほら、道長、今日はウチに泊まっていきなよ! 朝まで一緒にいられるし♡」


 「そ、そうだね」と道長がデレた瞬間、礼二はグラスをテーブルに叩きつけた。

 怒りを露わにしたその動作に、一同固まる。


「……今から汗かいてアルコール抜いてくる」


 無理である。礼二は既にビール瓶一本、千ミリリットルは飲酒した後だ。


 通常千ミリリットル、アルコール度数十パーセントのビールを飲んだ場合、体内に含んでしまったアルコールは約八十グラム。それを体内から消すには十六時間が必要だと、警察庁からの発表に明確に記されている。


 分かりやすく言うと、朝までは絶対に抜けない状態という事だ。


「死んじゃうから、やめなさい。そうね、流石に那由の部屋で泊まらせる訳にはいかないから、私達の部屋で一緒に寝る?」


「嫌だ」


 礼二、判断が早い。


「じゃあやっぱりアタシ那由の部屋?」


「ダメだ」


「んもう、じゃあリビングしかないじゃない。ごめんね道長君、お布団とか用意するから、リビングでも構わない?」


 那由の家に宿泊する事が決まった道長、他に行く当てもなく、那由の家に泊まれるのならば願ったり叶ったりの様なものだ。大喜びする那由を見て、礼二は「チッ」と舌打ちするのだが。


 二時間後、礼二は既に二階の自室へと行き、爆睡している。

 酒は飲むが飲むと直ぐに寝てしまうのが、出牛礼二という男だ。

 無駄に絡んだりしない為、一緒に飲む分には疲れない。


 仁美と道長はリビングを片付け、道長が寝れるだけのスペースを作った。

 那由は一人お風呂に入っていて、かれこれ三十分が経過している。 


「ごめんね、新品の布団しかないから、ちょっと臭うかも」


「ああ、いいですよ。むしろ新品なんて本当にすいません」


「いいの、いずれはこうなるとも思ってたし。お風呂はどうだった?」


「はい、ゆっくり温まりました。本当、何から何まですいません」


「あとは……ねぇ、ないとは思うんだけど、一応渡しておくね」


 那由ママが道長へと近寄り手渡してきたもの、それは、0.01ミリの極薄のアレだった。

 

「こ、こ、こここ、これって」


「多分ね、道長君と仲直りしたじゃない? 相当気分高まってると思うのよね。ほら、一回喧嘩した後って結構燃えやすいから……でも、出来ちゃったら困るでしょ?」


「いいいいい、い、いや、そういう問題では」


「あら? 大事な問題よ? せめて二十五歳は超えてからね。生活の基盤が安定して、子供をきちんと養えるだけの貯えを持ってからよ、生はね」


「生」


「そ、生」


 そんなやり取りがあったものの。その後の那由はお風呂を出てから道長と少し会話をし「じゃあ寝るね、お休み、道長♡」とおやすみなさいのキスをして二階へと上がったのであった。

 

 文化祭当日で疲れたのだろう、そういう道長も随分と眠気が襲ってきている様子だ。

 カッチコッチと鳴り響く時計の音を子守歌にしながら、うっすらと意識が飛び始める頃。


 土曜日、午後十一時半。


 カチャ……キィィ……と、僅かに扉が開く音がリビングに響く。

 両親は既に自室で寝静まった出牛家の一階にて、那由、動く。


 心臓が聞こえるぐらい赤面しながら、パジャマを脱ぎ、綺麗な柄の入った勝負下着の姿で、愛する道長の下へ。後ろから見たら那由の可憐な丸いお尻はシースルーでスケスケだ、今はオンラインでいくらでも購入する事ができる大人のグッズ。


 興味はあったのだろう、ファーストキスが今日初めてだった那由も、やはり思春期の女の子だ。興味が無いはずが無い、濡れてもいい様にタオル、それに終わった後にすぐ着替える事ができるパジャマに普通の下着、そして超薄のゴムを数個。

 

 下着は既にうっすらと濡れていて、那由の感情は言葉にする必要がないくらいだった。

 子供が作りたい、そして、作り方はもちろん知っている。

 右も左も分からない様な、そんな年齢ではないのだ、道長も、那由も。


 今までがおかしかった、なぜ最後までいかなかったのか。 

 もっと早くこの領域に達していてもおかしくなかったのに。


「お~い……道長…………寝てる? …………お邪魔しま~す……」


 道長の布団にゆっくりと潜り込むと、那由は愛する人へとその身を寄せた。

 そして布団の中から手繰りよせた彼の手を、ぎゅっと抱き締める。

 もう、止められない、止まらない、愛する人が目の前にいる。

 

 これまでの一週間があったからか、那由は今まで以上に道長の事が好きになっていた。

 舞台で現れた時、那由の心臓は止まりかける程の衝撃を受けている。


 絶対に無いと思っていた展開、逆転してしまった世界。

 自分の胸に押し付けている腕が、少し太い道長の指が、那由の股間に触れる。


「――――っ、……っ、あ、あぁ…………っ……」


 少しづつ揺れる那由の腰、道長の腕にすり寄った彼女の吐息は、寝ている道長の耳に届いているのか。起きてしまっても、別に構わない、熱を持った那由の身体は、猛烈に道長を求める。


 まだ見せていないブラジャーを外すと、那由はぐっしょりと濡れた下着を脱いで、脇に置いた。そして道長の腕へと再度股間をこすりつけるのだ、気付かれない様に、気付かれてもいい様に。


 勿論、道長は起きている。うっすらと瞳を開けて、一度那由を見たのだ。真横で愛する人が自分の腕を使って事をおっぱじめたのだから、起きてない方がおかしい。だが、道長は臆病だった。母親から受け取った薄いゴム、それは娘を抱いても良いという免罪符であるにも関わらず。


 どうしていいか分からないのだろう。心臓の動きは舞台の時よりも激しい。隣で少女から女へと進化している愛する人に対して、自分がどこまで接していいのか分からないでいるに違いない。


 そんな正解など一つしかない、何をしてもいいのだ。

 その為に母親はゴムを手渡し、那由は一糸まとわぬ姿でいるのだから。


「――――っっ! はぁ、…………はぁ、はぁ…………ねぇ、道長、起きてるでしょ? ……分かるよ、目を閉じてても、ずっと見てたから……」


 一度目に到達したのか、那由は道長へと問いかける。

 起きている、無論、そして道長が目を開くと、そこには……天使がいた。


 道長の好きな三つ編みの髪型をした那由は、ややなで肩のラインからして女の子らしいスタイルの持ち主であった。鎖骨下にある膨らみは着痩せするタイプだったのか思った以上に大きく、その先にあるピンクのぽっちは限界まで膨らみ、いじって欲しいのか恥ずかしいのか、うずうずと揺れていた。


 くびれた腰つきに凹んだお腹周りは、しかし女性らしく。お姉さん座りをした那由の股間には茂みがあり、何も纏っていないのが分かる。当然だ、つい先程まで道長の腕に擦り付けていたのだから、ある訳が無い。


 彼女の股間にあった液体は、道長の腕にも付着している。

 粘ついて、僅かに白濁としたその液体は、那由から溢れたものだ。


 もちっとした下半身に安産型の少し大きなおしり、丸っこい膝小僧に、さわるとシルクのような肌触りの太もも。そこから伸びるふくらはぎまで、全てが愛くるしいまでに綺麗で、可愛くて。そして小悪魔的に微笑むのだ、目を開けて全身くまなく自分を見た道長に対して、さも嬉しそうに。

 

「くす、やっぱり起きてた」


「……那由」


「道長……して欲しいな。私、何でもするから…………っん、大好き、道長……はむっ、ん♡」


 舞台の上でした様なキスではない、誰の目もないのだ。

 舌を絡め始めた二人は、お互いの唾液を飲まんと啜りあい、舐めあう。


 常夜灯の明かりの下で見る那由は、とても美しかった。オレンジ色の光を受けて、秘部は暗くてはっきりと見えないのに、液体を反射し輝いていて。茂みへと道長が手を伸ばすと、それですらも那由は一切拒まず受け入れ、そして全身をひくつかせながら感じた。


 無骨な指が那由を求めて、どこまでも突き進む。


「あ……道長、そこ、だめ……っ、ん、んん、指……やだぁ」


「綺麗だよ、那由、本当に綺麗だ……」


 耳を甘噛みしながら囁く道長の言葉に、那由は感じながらも片目を閉じて声のトーンを一つ上げた。


「本当? 私、雪華さんよりも綺麗……?」


「当たり前だろ……雪華よりも、誰よりも綺麗だよ、那由」


「……嬉しい、道長……ねぇ」


 道長の着ていたシャツを脱がすと、隆起した筋肉の筋にそって那由は指を走らせた。その指はあみだくじの様に下へと向かっていき、そして終着点である彼の股間へと到達する。


 掴んだそれは、那由の人差し指と親指では囲めない程の大きさで。手の平に収まらない程の大きさに、思わず驚きの余り固まってしまったが。これが愛する人のものなんだと、那由は覚悟を決める。


「那由、その……那由の一番大事な場所に……」


「え…………うん、いいよ」


 そして互いは大人への階段を上がっていく。

 母親が譲ったゴムと、那由が持っていたゴム、その全てを使い切ってしまう程に。


――

次話「初々しいままの二人」

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