162日目 コラボ
ログイン162日目
[ビビア]
蚤の市?
[송사리]
そう、蚤の市
三国田舎で毎週末開催されるフリーマーケット
久しぶりに参加しようかなって思ってたんだ
[송사리]
それで、よかったらびーちゃんも一緒にどうかなあって(*'ω'*)
本日きーちゃんからそんなお誘いが入ったもので、私の心は浮足立つ。
蚤の市かあ、いいねいいね。私としても興味はあって、気が向くと時折覗いてみたりはしてたんだ。
あの庶民の休日的なのんびりした賑やかさは結構好き。それに掘り出し物があると嬉しいのは勿論のこと、見てるだけでも勉強になったりする。
この広大なきまくら。ワールドにおいても時間は有限なもので、私は自分の職業分野と直接関係ないお店とか施設にはあんまり立ち寄らない。そうすると自然アイテム等の知識は限られたものになってくる。
でも蚤の市は、そんな学習不足を幾らか解消できる場なんだ。
開放された野外空間で色んな種類のお店が闇鍋のように一緒くたにされてて、しかも一目で何を売っているのかが分かる露店形式。ただふらふらするだけでも色んな情報が飛び込んでくるのだ。
だからあの場所はちょいちょい訪れるんだけど、店側として参加するとなると話はまた別でして。んー、何ていうか、商売的にあまりメリットを感じないんだよね。
私ってほら、最近そこそこ仕立屋として名が売れてきてるらしいしい? 実店舗での集客に十分満足できてるからさあ、別にわざわざ蚤の市で人目に触れる必要性を感じないっていうかあ。
………………はい、仰る通りです。
楽しそうとは思いつつもただただ陰キャには敷居が高いなって思ってただけですっ。対面販売前提の取引が億劫だなって思ってただけですっ。
強がり言ってすみませんでした!
けどそんな不安も、友達と一緒とあらば大分取り払える。きーちゃんのお誘いは渡りに船というやつだった。
それにしても、この間のマッチクエストといい、最近のきーちゃんは何だかアクティブだねえ。
でもきーちゃんって私と違って、意外と人が好きなところあるかも。だって普段から公開トークルームで不特定多数の人間ときゃっきゃしてるらしいし、あと昔は[あるかりめんたる]?とかいう陰キャさん主催の大規模クランに所属してたらしいし。
なんかね、きーちゃんは私よりグレードの高い社交メンタルを持ってるなって、前からどことなーく感じてたんよね。
そんなきーちゃんが、近頃はいつにも増して人と関わろうとしている。きーちゃんが、有象無象溢れるきまくら。社会に羽ばたこうとしている……!
ふふっ、いずれ天才織り師きーちゃんはシャンパン片手に数多のプレイヤーを侍らすぱーりーぴーぽーになって、私のことなんか忘れちゃうかもなあ……。
でもいいんだ。それが君の望む道とあらば、私は応援するのみ……。
というわけで、モチのロンで蚤の市のお誘い、乗っかるよ~。などとひとりで盛り上がっていた私だったが、きーちゃんの提案はこれだけにとどまらなかった。
[송사리]
実は、ただ一緒に参加してみたいっていうのもあるけど、それだけじゃなくてね
[송사리]
これはつまり、コラボのお誘いなの!(; ・`ω・´)
――――――……こ、『コラボ』!?
[송사리]
その、今私、自分のお店にびーちゃんのお洋服飾ってたりするじゃない?
この布でこんな素敵なお洋服作れますよー、みたいな宣伝として
靴下系コーデ展示するのに靴借りてきたりもするし
[ビビア]
うんうん、私もきーちゃん作のタイツとかショールとか、マネキンのコーデに使わせてもらってる
[송사리]
でもそうすると時々ね、こんなこと言ってくるお客さんがいるの
「この服買いたいんですけどー」って
[ビビア]
あーいるいる
「マネキンのコーデ一式欲しいんですけど同じタイツないんですか?」とか聞かれるわ
[송사리]
服はびーちゃんのブランドなんですよ、そっちで買ってくださいね、って言えば済む話だから、それはそれでいいんだけどね
でも常々私思ってたの
びーちゃんと私のコラボ、需要ありそう!って(*ノωノ)
[ビビア]
おお~~!
なるほど?
[송사리]
とはいえ普通の個人店舗売りだと、他人のブランドアイテムは売れないじゃない?
でもね、蚤の市で二人のお店を並べればその悩みを解消できるの
どうかなびーちゃん
[ビビア]
ありよりのあり!
えっとつまり具体的に言うと、二人の露店を隣に並べて、二人の製作物を合わせてコーディネートしたマネキン飾って、
お客さんがどちらのアイテムもすぐ気軽に買えるような場を作るって認識でおk?
[송사리]
うんうん、そう!
あと折角だから、お店の飾り付けとか売り物の展示とか、同じテーマでやらない?
そのほうがコラボ感あるでしょ?
[ビビア]
いいね、楽しそう♪
あ、じゃあもしよければだけどさ、このコラボ用に二人で新作つくろうよ~
[송사리]
いいの!?
それ、私も思ってた!
と、そんな流れで話は盛り上がり夢は膨らみ。結果準備期間が大分必要になって、蚤の市参加は来週土曜ってことになったのだった。
今日が木曜だから、大体あと10日くらい? それでもうかうかしてたらあっという間に過ぎちゃいそう。
よーし、早速今日からこつこつ、蚤の市用のアイテム作り溜めようっと。
ただ、肝心のコラボ新作は、まだ作り始めるわけにはいかない。テーマだけ決めてまずきーちゃんにアイテム作ってもらって、それに合わせる形で私もデザインしてく――――そんな形で話が纏まってるからね。
きーちゃんは私のほうに合わせるって言ってくれたんだけど、コーディネートにおいて私の占める範囲って物理的に大きいじゃない?
それでさらに私が先走って好き勝手やっちゃうと、どうしてもきーちゃんのアイテムが控えめなデザインになっちゃいそうなんだよね。
折角のコラボ、そんなんじゃつまんない。ここはきーちゃんに主役級の小物作ってもらおうと思って。
服や靴のほうが織り・編みアイテムより全然自由度高いだろうから、それくらいで丁度いいバランスなんじゃないかな。
ってなわけで、コラボ新作についてはまだ私は「待て」な状態。従ってそれ以外の仕事に取りかかろうと思うんだけど、私、今回きーちゃんコラボ以外にも、っていうかある意味これもきーちゃんコラボなのかもしれないけど、とにかくもう一個野望がありまして。
ずばりそれは、きーちゃんの衣装を仕立てること!
ずーっとね、やりたいなやりたいなーとは思ってたんだ。きーちゃんに似合う衣装勝手に考えて勝手に押し付けたいなーって。
けどきーちゃんっていっつも似たような学生服コスなだけに、そこになんかこだわりありそうで。無闇に贈って困らせちゃったりしたらヤだなって思うと、なかなか挑戦できなかったんだ。
ほら、彼女優しいから、ほんとはずっといつもの制服着たいんだけど、私を喜ばせようと無理して衣装チェンジしてくれるとかありそうじゃん? そうなるのはこちらとしても辛いので、どうしたもんかなあって二の足踏んでたのだ。
そこへきての、蚤の市出店、そしてコラボですよ!
私の作戦はこうだ。
まず、きーちゃんと私用に、お揃いっぽい衣装を仕立てる。そしてきーちゃんに言うのだ。
「コラボ用に、ショップスタッフの衣装作ってみたんだ。蚤の市に出るときは一緒にこれ着てお店に立とうよ~。お店の宣伝になるし、華があっていいじゃない?」
さすればきーちゃんに服を贈る理由ができるし、コラボショップ用なのできーちゃんはそこまで負担を感じないはず。しかもこれにより、少なくとも一日は彼女に私の好きな服を着てもらうことができる……!
……ぐふふ、カンペキ。
よおーし、可愛いデザイン、考えるぞ~。
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