161日目 明るい未来(裏編)


【きまくらゆーとぴあ。トークルーム(個人用)】



[Ra-yu]

もう、なんなんですかあ?

しつこいですね~


[yuka]

ご機嫌よう、ラーユさん

老師戦でのあなたのガッツ、見事でしたよ


[Ra-yu]

ふんだ

どうせ私は負け犬の悪者ですよーだ


[Ra-yu]

それで何の用ですか?

私そろそろログアウトして夕飯作らなきゃいけないんですけどお


[yuka]

一つ聞きたいことがありまして

ラーユさん、あなたは今後どうするおつもりですか?


[Ra-yu]

それは…つまり、マルモアを辞めろって、言いたいんですか?


[yuka]

いえ、そういうわけでは、


[Ra-yu]

言われなくても辞めますから


[yuka]

えっ


[Ra-yu]

だから私、好きで悪役やってたわけじゃないんですってば

自分が思うままに遊んでたらいつの間にか密猟者認定されてて、

いつの間にか私を受け入れてくれる場所がマルモアだけになってたって、ただそれだけなんです

密猟の仕組みだって、この前やっと知ったところです


[Ra-yu]

こういうルートがある以上プレーイングとしてこれが間違ってるとも思いませんけど…

悪者扱いされるのは、普通に嫌です


[yuka]

それでいいんですか?

ツェツィーリアは?

あなたは彼女のことを特別に思っているのでしょう?


[Ra-yu]

~~~~~~……っ!


[Ra-yu]

だって!あの時ブティックさんに言われたことは、紛れもなく正論で……!


[Ra-yu]

私はツィー様が好きだから、ツィー様の言うことを何でもその通りにしてあげてた!

けどそれは、ツィー様の本当の幸せには繋がらない…

私がそばにいたところで推しは幸せにならないし、私も悲しいだけ

だったら…


[yuka]

ラーユさん!

諦めないでください!

諦めたら試合はそこでシュウコちゃんなんですから!


[Ra-yu]

何て?


[yuka]

ラーユさん、あなたにはまだ、できることが沢山ありますよ

マルモアで、ツェツィーリアのそばで!


[Ra-yu]

…どういうことですか


[yuka]

ラーユさん、私達のクラン、[きまくら。改革委員会]に入りませんか?

勿論マルモアレジスタンスに籍はそのまま置いておいて構いません

というか、マルモア所属のあなたにこそ、仲間になっていただきたいのです!


[yuka]

改革委員会の活動方針はずばり!

きまくら。界の正義、そして平和のために戦うこと!


[Ra-yu]

だ、ダメじゃないですか

正義の味方が悪の組織と関わるとか、本末転倒ですよ


[yuka]

いいえ

近頃私は学んだのです

正義を貫くには、時に闇に紛れ闇と交わることも必要であると…

それを私に教えてくれたのは、紛れもなくあのお方、ブティックさん…


[Ra-yu]

へ?ブティックさん?


[yuka]

そうです

あの方は武器商人、大悪女などと囁かれておりますが、その実裏で弱き者に救いを差し伸べる義賊なのであります

私は彼女の信念に深く感動し、志を同じくする者となったのです


[Ra-yu]

そ、そうだったんですか…

確かにブティックさんが「武器商人」だの何だのと揶揄されていることは知っていましたが、まさか裏にそんな真実が…


[yuka]

以来私達はブティックさんに倣い、影からきまくら。界を守るため日夜働いているのですよ


[Ra-yu]

すごおーい!

具体的にはどんなことをなさってるんですか?


[yuka]

え?

それはほら、えーっと、敵に見破られぬよう活動しているため、色々と機密事項でして…


[Ra-yu]

あ、ご、ごめんなさい、そうですよね


[yuka]

とにかく!

ブラックギルドと繋がりのある人間をぜひとも仲間に引き入れたいなと、私は常々思っていたのです!

だってすごく義賊っぽい!

裏組織にスパイとして紛れてるメンバーがいるとか、すごくかっこいい!


[Ra-yu]

確かに!

すごく義賊だしすごくかっこいい!


[yuka]

ええ!

そしてラーユさん、あなたは先の老師戦で天晴れな勇姿を見せてくださいました!

改革委員会の影のエースとして、あなた以上に相応しい者などいません!


[Ra-yu]

ユカさん…


[Ra-yu]

………………こんな……私で、いいんですか?

私は、知らない内に悪の道に外れてしまったうっかり者で、それに気付いたとき罪悪感に耐えきれなくて、

でもツィー様とも離れがたくて…


[Ra-yu]

こんな、中途半端な私でいいんですか?


[yuka]

ラーユさん、そんなあなただからこそ、いいんですよ

そんなふうに葛藤を感じられる素直で純粋なあなただからこそ、委員会の仲間として共に歩んでほしいって、私は思ったんです

ストーリー性にじゅうまる!

えもえものえもですよ!


[Ra-yu]

ユカさん…ありがとう…


[Ra-yu]

私、頑張ります!

ツィー様の腹心、そして委員会を影から支える者として、精一杯励みます!


[yuka]

はい!

きまくら。の未来は明るいのです!

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