第3話 続・入院前に〜避けて通れない、お金のハナシ

 前回、割と生々しく掛かってくる経費のお話をさせていただいたが、いかがだったろうか?重ねて念押しすると、あくまでも私個人のパターンであるため、それぞれ100人には100のパターンがある事、ご了承頂けるとありがたい。


 早速の補足となるが、話の中でチラッと「限度額適用認定証」の「区分」という単語が何度か出てきたと思うが、実はこの「区分」、「限度額適用認定証」での自己負担軽減に、重大な影響を及ぼす、超重要な項目だったりする。

 つまりは、「低所得者ほど自己負担額を軽く、高所得者ほど大きく負担してもらう」というコトで、健康保険証の種類を問わず、5つの段階に別れている。区分「ア」「イ」「ウ」「エ」「オ」の五段階で、「ア」から順に自己負担額が小さくなっていく。より詳しくは、協会けんぽや国民健康保険の「限度額適用認定証」についてのお知らせが詳しい。正確な情報についつは、そちらを参照されたい。

 さて、この五段階の区分を分けているのは、「『被保険者』の『標準報酬月額』がいくらか」という所得区分である。ここで言う『被保険者』とは、私の場合は母の保険の扶養に入っているため、母が『被保険者』という事になる。更に『標準報酬月額』については、カンタンに言ってしまえば、毎年4月、5月、6月の3ヶ月間の、通勤手当を含む給与支給額の平均から算出されるもので、年金や健康保険料の算出にも使用されている基準になっている。今回、私の「限度額適用認定証」の区分は下から2番目の「エ」、自己負担限度額は57,600となっている。

 この基準が、「限度額適用認定証」にも適用され、入院費の自己負担額が決定されるのだが、例として、区分「ア」の所得区分と自己負担額の計算を見てみよう。

 区分「ア」の所得区分は、『標準報酬月額』が83万円以上の被保険者が該当する。単純に言えば、年収996万円以上の「被保険者」が区分「ア」に該当するワケだが、996万円…最近どこかで聞いた様な…まぁ、今回は置いておいて、それだけの年収がある「被保険者」の自己負担額については、この様な計算式で導き出されている。


252,600円+(総医療費-842,000円)×1%


うーん、中々分かりづらいなぁ…一つ間違いないのは、今回私に請求された245,340円については、一切合切自己負担額として支払わねばならないという事になる…一つ例として、極端な例だが、総医療費1000万円でこの式を考えてみよう。


262,600円+(10,000,000円-842,000円)×1%

=262,600円+9,158,000円×1%

=262,600+91,580円

=354,180円


 となる。因みに同じ場合の区分「エ」の場合は、57,600円で済むワケだ。ちょっと例が極端過ぎたが、もしもご自身が入院!となった場合は、しっかりと『標準報酬月額』を確認しなければ、医療費の計算は大幅に狂ってしまうので、要注意である。ちなみに、非課税世帯については区分「オ」に当たり、自己負担限度額は35,400円となっている。


 さて、ここまで長々と補足説明が続いたが、ここから先は更に生々しいハナシとなっていく。入院費やそれに必要な書類の話は、ここまででご理解頂けたかと思うが…そう、実際の入院費の支払いの話についてだ。筆者の非常に個人的な事情も伴う話となるため、ご了承願いたい。



 私が入院するにあたって1番の問題だったのが、現在の貯金額が18万円ほどしかないという事であった。私は高卒で10年勤めた会社を、「遁走」という病気で自主退職し、幾許かの退職金を得たが、泣きっ面に蜂で、その退職金すら投資詐欺に遭って、無一文となり400万円ほどの借金を重ねて、再度遁走、自殺を図るために包丁と共にクルマで彷徨い歩き、銃刀法違反で逮捕・保護されて入院、全て白日の元に晒されて、遂には自己破産に至ったという、中々の経歴持ちであり、全て親に尻拭いしてもらったという、親不孝者である。その後、とある農家で真面目に働いていたが、またもや遁走して、今回の入院に至った。ここら辺の詳しい事情については、某所で公開中の拙作、「羊蹄に揺蕩う雲よ」に、これから載せていくつもりなので、コチラでは多くは語らないでおこう。


 兎にも角にも、「お金」が無ければ、入院も出来ない。カード払いも出来ない。

 しかし、ここで私を救ってくれたのは、小さい頃から母が入れてくれていた、コープ共済の「共済保険」の入院見舞い共済金であった。


 詳しい契約内容は省くが、入院し、それを証明する請求領収書、もしくは医者の診断書があれば、1日につき5千円の共済金が降りる保険に二口入っており、このため、入院1日につき、1万円の共済金が降りてくる契約となっている。

 これでもって、まず10月の入院費、その他親から借りた弁護士費用などの返済については貯金18万円の切り崩しで対応し、その後もひと月毎に請求して、なんとか凌ぐ事は出来そうな見込みが立った。母にはもう、頭が上がらないのだ。

 こうして、なんとか入院生活を送れているロクデナシが、今までエラそうに制度の説明をして来た私の実情なのである。


 さて、ここまで、かいつまんで生臭いお金のハナシをお送りして来たが、次回からはいよいよ、入院にあたっての当日の手続きのハナシや、年末、確定申告に向けたハナシなどもして行きたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします!

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カゼタ入院記 カゼタ @kazeta2199

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