3. ノックバックうけてみない?




「ノックバックって受けたことある?」





彼女、クラスメイトの【斎岡ときおかけるん】はそう口にした。




「ねえよ」




猫路地ねころじさん、ノックバックしてみない?」




私の名前は【猫路地ねころじくらい】





「してみない。それ、ダメージ負ってるじゃん私。」




「斎岡と猫路地さん二人きりなんだから、大丈夫だよ。」




「何を持ってして二人なら行けると思ったの?」




「いったん、いったんシールドかバリア張ってみてよ。あたし、そこの崖下に叩き落とすからさ。」




「シールドもバリアも張れねえよ。そもそも崖下ってどこだよ。教室だよ?ここ。1階だよ?ここ。目え見えてる?」




斎岡ときおかにはさ、未来と希望と夢と明日しか見えてないんだ。」




「だいぶ見えてるよね。いや逆に見えないものばかりで手探り感マシマシだなそれ。」




「猫路地さん深ぁい。」



「斎岡さんウザぁい。」



「おっ!これがノックバックか!やるぅ〜。」




「何勝手に心にシールド張ってダメージ回避してんだよ。他人か?私たちは他人だったのか?」




「そんなことないですわよ!親友ですわよ!斎岡と猫路地は永遠の愛を誓った一生の親友です!」




「斎岡さん重〜い。」




「親の友と書いて親友。うぅん、コレはなんだか、そこはかとない気まずさを感じるね」




「背景も重〜い。」




「そして実は、斎岡と猫路地さん、友は友でも親同士がチョメチョメフレンドな仲でそこから生まれた腹違いの美人姉妹でした。」


「設定には狼狽と怒りしか感じない。」





Knock back驚かせるだけにね。」




「うるさいわ。」





「でもさ猫路地さん。本当に斎岡が姉妹だったらどうする?」


「家出する。」


「ひでえ妹だぜ」


「私が妹かい」



「じゃあ、斎岡が猫路地さんの妹だったら?」


「家出する」


「ひでえ姉だぜ」


「私は斎岡と姉妹なんてゴメンじゃい」




「じゃあ何だったらいいの?斎岡が猫路地のママになろうか!!」


「家出する」


「斎岡パパ!」


「家出する」


「斎岡ブラザー!」


「家出する」


「斎岡おじいちゃん!」


「家出する」


斎岡犬ときおかけん!」


「山においてくる」


「猫路地さんマジ血も涙もないっすね、パねーっす。」


「ありがとう」



「猫路地さんは、斎岡が家族じゃ納得できない、ってわけね。だったら......。」


「何その怪しい目は」





斎岡ときおか猫路地ねころじさんの恋人だったら?」





「......何、斎岡ときおか近いよ」







「......。」



「......。」









ドスン








「わっ!何ビックリ!?」


「......斎岡のバッグが机から落ちたんだよ」



「わ〜、斎岡ビックリシタヨ!斎岡オドロキカクセナイヨ!」


「カタコトになるほどビックリせんじゃろ」


「みてみて聞いてよ猫路地さんや。心臓めっちゃバックバックいってる。斎岡の胸爆破秒読み段階やで」


「外見と音じゃわかんねーよ!もうほら、さっさとバッグ戻せ」




「あ、」



「なに?」




「斎岡はまた閃いたよ。バッグ落ちた音にビックリ、これがホントの Knock bag驚きのバッグなんちって」






「しょーもな」













こうして今日も、私と斎岡の放課後じんせいは過ぎていく。







3わ おしまい

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