第8話ミキとのデート

「魔王様、今日はどちらに?」

「ミキとデートに行く」

ミキとは、彼が悪魔になるきっかけになったサキュバスだ。

彼が一途に愛している女の子。

「いってらっしゃいませ」

「今日は二人で行きたいのだが・・・」

腹心のバフォメットに独り言のように呟く。

「お前は隙がありすぎる。誰かが守りに付いていないと危険だ」

「仕方ないか・・・」

自室の扉を開けると、メイドに一瞥して彼女の部屋へ向かう。

豪勢なつくりの城、魔王の住む城はかなり大きい。

「お前は1人だけ愛する、という選択肢は出来ないぞ。分かっているだろう」

バフォメットが釘を刺す。

「分かっているけれど、こればかりは俺の特性なんだ」

彼は600の嫁がいる。彼は手に余ると言っているが、そもそも彼はその全員が幸せだという事を理解できていない。

「どうしようもないやつだ」

談笑をしながら歩いていると、部屋の前に着く。

ノックをすると部屋の中から返事が聞こえた。

「邪魔はしないが、殺されないようにすることだ」

「ああ。」

バフォメットが言った意味が分からなかったが、魔王は扉を開け、部屋に入った。








「もっとしたいな♪」

「もう無理だ・・・勘弁してくれ」

彼女の性欲を舐めていた。

動けない、と言ったほどではないがさすがに疲れた。

「ミキ」

「なに?」

「少し・・・出かけないか?」

「いいよ!」

腕に絡むように甘えてくる彼女はとてもかわいいと思う。

部屋を出ると笑いながらバフォメットが言った。

「だから気を付けろ、といったのだ」

「ああ・・・まったく」

自分でも迂闊だったと思う。

しかし、二人の時間は少ししかないのだ。仕方ないな、とも思う。

「その、まったく!っていうとこ好きだよ」

「素直じゃない態度は確かに笑えるな」

二人は魔王をからかうように言った。彼がモテるのはそういう自覚しないところなのだ。

からかわれている時も、彼は幸せそうだった。

「とりあえず、スイーツでも食べに行くか」

「相変わらずの女子力だな」

「い、いや・・・ミキが好きかと思ったんだ」

ニコニコしながらミキは返事を返す。

「わたしは周がいれば、どこでも楽しいよ!」

本当に嬉しそうな彼女との時間。彼はミキとの時間をゆっくり楽しんだ。

____これは仕事の合間の休憩時間のようなものだ。

楽しい時間なのに、そんな風に冷淡に考えてしまう思考がいる自分が魔王は嫌いだった。






「俺もミキがいればどんなことだって、出来るんだ」

彼は少し悲しそうに言ったのだった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

人間魔王と人外娘 どれいく @dorei

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る