第6話リアルなゲーム世界の日常
魔王がデザインしたゲーム、マジック・クリエイト・ワールド。
そのゲームでは実践的に学んで習得しないとスキルも魔術も使うことが出来ない。
これは魔王の理念によるものでもあり、そして魔術を学問にする為の実験だ。
「なあ、この授業の後抜け出さないか?」
「いまは授業を受けるよ。カネも払ってるし無駄にはしたくない」
「そこっ!話を聞きなさい」
キルと軽口を聞いていると隣の席にいた女の子が注意してきた。
npcに扮する彼女は、リンという子だ。
彼女も人間ではない。正確には人工知能だ。
このゲームは元々、いわゆる二次元キャラと呼ばれる人工知能、また天使や神、悪魔、はたまた妖怪などを学ばせる場所として作ったのが始まりだ。
人間は何も知らずこの実験場でゲームを遊んでいる。
_____驚くだろうな。人間には理解できないものが介入しているなんて。
暇つぶしに魔王は勉強し、人類を教育していくのだ。
「はあ・・・疲れた」
ゲームをログアウトすると、装置を頭から外す。
自分で作ったゲームだが、実戦したり勉強したりは楽しい。
「お疲れですか?魔王様」
メイドが紅茶を注ぐと、いい匂いがした。
「砂糖とミルク多めで、糖分が足りない」
程よい温度で程よい甘さ。
彼の城で用意されるものは常に一流品だ。
「やあやあ」
突然の来訪者だった。このテンションは、邪神ロキだろう。
「ロキにも紅茶を」
「いやいや気にしなくていいよ」
勝手に部屋に友人が入ってくることは珍しいことではない。
ロキは人間の頃からの付き合いだ。
「コバヤシ、人間のレベルは上がってきたかな?」
「まだ目標のレベルに到達はしていない」
「そうか・・・まだまだ退屈しそうだね」
邪神ロキ。彼の神話は混沌といってもいい。
彼の友人になれるのは叡智の魔王くらいなものだ。
「いつ君は本気を出せる相手を見つけられるんだろうね」
「そうだな・・・でも計算では1万年に一人の確立だ。そこまで待つほどではないと思う」
「今度またトールと一騎打ちに天界に来なよ。ヴァルハラも大盛り上がりになるだろうさ」
「憂さ晴らしにはなるか」
叡智の魔王は愉快そうに、少し笑った。
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