第6話 働き過ぎのやつら

 歌番組の収録が終わり、オレンジピールのメイクを一旦落とした。いや、完全には落とさず、濃いアイメイクや口紅を落とした。今日の仕事はまだ終わりではないのだ。

 夕方遅く、車で事務所に帰ってきた。これからバラエティの打ち合わせをするというオレンジピール。流石に俺らの仕事はもう終わりだろうと思ったら、甘かった。

 もう一度ナチュラルメイクをさせられた。そして、打ち合わせはカメラを回して撮影されていた。スタッフも加わっているのに、タレントだけをカメラに映すという手法を採っているらしい。最近、オレンジピールの人気が上昇し、スタッフの顔が映ると嫉妬されて厄介なので、スタッフの顔が映り込むとモザイクをかけるらしい。なるべくその作業を減らす為、俺たちスタッフはカメラに映り込まないように懸命に頭を下げたりして動いた。

 打ち合わせが長引いてきた。動きも少ない作業なので、もうメイクを直す必要がないと判断されたようで、俺たちメイクスタッフは解散という事になった。やれやれ。長い一日だった。

 俺は部屋を去る時に、オレンジピールの方を振り返った。あいつらはまだ帰れないのだな。終わったら、自分達でメイクを落とすんだな。飯、まだ食ってないのに、腹減ってるだろうな。色々と考えてしまう。あいつら、働き過ぎだよな。ずっとカメラで撮られているなんて、どれだけストレスになるんだか。俺には経験がないから分からんが。

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