第12話 誕生日4

シルキーsaido

ラインハルトさんはそう言って、手に持ったグラスに入った飲み物を勧めてくるが匂いがジュースではなく

酒だった。

「....それ酒なんですが...」

「あれ?取り間違えたかな」

なにやってんですか...子供に酒を勧めるとは..さては酔っているなぁ?

「ラインハルトさん酔っていますよね」

「んー酔ってないです〜」

嘘つけ、絶対酔ってるじゃん

足もふらふらだし、めちゃくちゃ顔赤いし

どうみても酔っぱらいだった

「ほら、水飲んでください」

「んっありがと。シルキーちゃん」

「頭痛い...」

「飲み過ぎですよ...」

一体何杯飲んだんだか

「すみません!この酔っぱらいを宿舎へ連れてってくれませんか?」

そう言って近くにいた騎士の人にラインハルトさんを任せる。

「酔っぱらい?あぁ、分かった、連れて行く。それと、誕生日おめでとうシルキーちゃん」

引き受けてくれた騎士の人はラインハルトさんを担ぎ、祝いの言葉をかけて去って行った


「あれ?」

周りを見回してみてあることに気づく。

にしても結構減って来ましたね飲んでる人。

みんな騒ぎ疲れたんでしょうか?



何か忘れている様なぁ気がします....何でしたっけ....

ティアナさん、違う、アルシェさん、違う、ウィリップさん....これだ!

ウィリップさんも酔い潰れて、どっかに寝そべってたはず

「あっウィリップさんも酔い潰れてたんだった、どこだろ」

誰かに頼むか?

「僕がなにか?シルキーちゃん」

そこには酔い潰れたはずのウィリップさんが立っていた

アイエエエエ! ウィリップ!? ウィリップナンデ!?

「ウィリップさん!酔い潰れたんじゃ!」


「いやー少し休んだらこの通りすっかり酔いが覚めたよ」

酔いが覚めるの早いなぁウィリップさん

本当に酒に弱いのかな?

もしかしたらアルコールが抜けるのが早い体質なのかもね

「酔いが覚めるのが早いですね。意外です」

もっと顔が赤いかと思ってました

「まぁね、これでも酒屋の息子だったからね。酔いが覚めるのが早いのさ」

酒屋の息子だったんだウィリップさん

初耳ですね

「それでこんなに酔いが覚めるのが早いんですね」

一族に酒を飲む人が多いから、耐性がついたのか

「そういうこと、そういえばラインハルトはどうしたんだい?さっきまでいたと思うんだが」

「ラインハルトさんなら、他の騎士の人が宿舎に連れて行きましたよ?」

「そうだったのか?なら後で礼を言っておかないとな。教えてくれてありがとう、じゃ、おやすみ」

「おやすみなさい。ウィリップさん」

.........さてと....ちょっと前から陰にいる人に出て来てもらいましょうかね。

「で、そこにいる人は誰ですか?出て来て、姿を見せてください」

そう言うと柱の影から人型の何かが飛び出てきた

「やっぱり気づいてたか。僕も鈍ったかな」

誰だおまえ!?

「まさか蚕妖精だったとはね。」

「だれですか?貴方は」

「僕かい?僕はただの流浪の妖精さ。ほら翅生えてるし」

そう言って彼はパタパタと背中の翅を動かしてアピールする

流浪の妖精?なんか怪しいな、胡散臭い。

見た感じの印象は胡散臭い。んでこの人の見た目的に最終話まであと少しで主人公を裏切りそうな見た目してるし

やっぱ怪しい....

「そんな目で見ないでほしいね。でもまぁ仕方ないか」


「さっきまで隠れて会話を盗み聞きしていたんだしね〜」

聞いてたんだこの人?いや妖精か、まぁどっちにしても気に入らねぇ


「でもなぁ、せっかくいい情報を持って来たのになぁこんな冷たい反応されちゃー困ると言うか〜」

ぶりっ子みたいに言うのやめーや

「いい情報?」

どんな情報?同族が見つかったとか?

他にも候補あるけど

「いや、君の同族はまだ見つかっていないさ」

なんだよ、はーつっかえ。情報集めるのやめたら?

「酷くない!?辛辣すぎるんだけど!?」


「じゃあどんな情報なんですか?」

某吸血鬼漫画の糸使いのゴミ処理係みたいな

糸を使った戦闘方法なら自分でもできると思うから

後で練習しよう。敵から自分の身を守るために


「んーと、蚕妖精にとっての裏切り者がこの街の中にいるって話なんだけどさ」

範囲広くない?この街に住んでいる人がどれくらいいると思っているんですか

「範囲広くないですか?」


「いや、これでもかなり絞った方なんだよ?全世界の国から一つの街に対象が絞られたからね」

めっちゃ絞られてる。じゃあいいかな。

「でも魔族の国の一部はまだ調べ終わってないからそんなには絞られてないかなぁ」

やっぱダメじゃんと言うか....

「魔族の国があるんですか?」

「うん。正式には魔族連合国リリスなんだけどね。」

魔族連合国?普通に国じゃないの?

「魔族はいわば様々な種族の集合体だからね、一括りにまとめて魔族って読んでるだけだから」

あーそれは聞いたことがあるかも。図書館に行った時に魔族の本の中に書いてあったからね。これって一般常識なのかな?


「いや?誰でも知っているってわけではないけど、まぁ騎士になるなら必須の知識だね」はえー騎士になるには色々必要なんすね


「んで、魔族の中には蚕妖精をよく思っていない奴もいるみたいなんだよね」

まぁそれは仕方ないかな。蚕妖精は人間側についたわけだし

よく思っていない奴がいるのはしょうがないか

「あとは希少な種族だからコレクターに狙われることもあるかもね」

前世でも絶滅危惧種とか希少な動物が狙われる話は聞いたことがあるし

この世界でもあるんだね

「なるほど...騎士の皆さんに護衛を頼むのも考えないといけませんね」

その時はティアナさんをこき使おう


「うんうん。そうだねぇ頼むといいよ」

.....怪しいな。なんか隠してそうな感じで

「何か隠してませんか?」

他に情報を隠しているか、別の何かを隠しているか

「いんや?何も隠してないよぉ〜」

ほんとかなぁ〜


「本当だよぉ〜嘘じゃないよぉ〜」


「じゃあ僕はこれで、次会う時は夢の中さ」

夢の中?まぁいいや

とりあえず見送ろう

「はい、気をつけて」

流浪の妖精さんを見送った後、

後ろから私を探しにティアナさん達が来て、こう言った

「おーいシルキー何してるんだ?」

あ、ティアナさん...

「ティアナさん....なんでもないですよ。ただ話していただけだから」

「そうか?...じゃあそろそろ寝るか」

そうですね...もう遅いですしね

「はい。アルシェさんおやすみなさい」

「んーおやすみー」


ちょっと前にティアナさんにもう遅いので泊まって行けば?と言われたので

ティアナさんの部屋に行き

用意されたベットに入る。


「おやすみーシルキーちゃん〜」

「はいおやすみなさい」



「おはよ〜シルキーちゃん」

「はいおはようございます。さーて、今日も頑張りましょう!」

つづく

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