第16話 ブラックドッグ

シルキーsaido

村人の一人が何かに気づいたようで、あれは何だと言うように指を刺す

「なに...あの黒いの...」

え?どこどこ?....あれか?

よく見るとそれは....

「狼?」

狼だった。それも巨大な

村の入口近くの丘の上に数メートルはあるであろう巨大な狼が陣取っていた。

そしてその周りには奥の個体よりはひと回り小さいが二メートルはある黒い狼が数十匹

恐らくあの巨大な狼が群れのリーダーで他の狼が部下だろう。

「なんだ?あの黒い狼は....」

「ブラックドックだよなあ、あの狼」

ブラックドック?ってなに?ドック型揚陸艦のことかい?

A違います。そうか...(´・ω・`)

「」


「ぶっブラックドックだ」

悲鳴を上げながら逃げ出す村人や小さな子供を守ろうとする村人

迫り来る敵に立ち向かおうと斧を持つ勇敢な村人

妖精種が多いこの異世界では当然の如く悪い妖精種もいる。

代表としてはブラックドックと呼ばれる性質が反転した妖精なのだが

その姿は狼の姿で黒い体に赤い目雷鳴とともに現れて人々を噛み殺すその妖精はいつしか恐怖の対象になってしまった

昔は墓地を墓荒らしから守る以外に人を驚かせたり傷つけることはない。道に迷った子供を助けたり、教会の葬儀の鐘に合わせて遠吠えを上げて死者の魂の行き先を神父に知らせるなど、基本的に温和であったらしいが300年前の人魔大戦で多くのブラックドックが討伐されたため人類側を裏切り大戦では魔族側につき人類側と激戦が繰り広げられた。これに関しては人類側の自業自得だろうなぁ

大戦終戦から300年後の現在では人々の間で嵐の夜に出歩くなという言い伝えが広まっていったとのこと。

怖いね 。まあ嵐の夜に出歩くようなバカは居ないだろうけどね

 

ワーワー騒いでいるとティアナさんが村長の家から飛び出してきた。

「何の騒ぎだ!」

ティアナさん!!

「ティアナさんブラックドックです!それも数十匹の群れです」

奴ら群れで来やがったんですよ!よくもまぁ

「ブラックドックだと!?なんでこんな所に」

何ででしょうね。雷鳴が轟くどころか曇っても居ないですもんね

とりあいず、話に合わせとこ

「たしかに平和の極みみたいな村ですからね」

「いや、なにかおかしいぞ本来ブラックドックは嵐の夜の雷鳴と共に現れるはず....」

確かに!伝承と違う!と言う事はあのブラックドックはなにか目的があって現れたと言うことかな。怒っているとか?そんな理由なのか?

だとしたら、怒っている原因を除去するのが一番かな?

「何か原因があるはずですが...なにが原因なんでしょうか」

「そうだな...すまない、この辺で何か森を必要以上に開拓したりしましたか?」



「いいえ...何もしてないはずです...この村にも木こりは居ますが必要以上に木を切り倒したなんて報告は受けてない!」

「じゃあ...何故あのブラックドックは怒っているんだ...」

何かしでかしたか?いけない事でもしたのか?


「ねぇ村長さん..他には何かなかったの?」

「無かったと思うが....まさか...な」

何かあるな...隠していることが!

そうだろう!承○郎!!この村長には人に言えない理由がある!!

「何かあるんですね...村長さん」


「いぃいやありえない!!ありえない!!?」

「村長さん?どうしたんですか!?大丈夫ですか!?」

何てこった!?村長さんが失神しちまった!?

この人でなし!

「何か...あったみたいだな...でも今は」

「そうですね...あのブラックドッグ達をどうにかしないとですね」

村に入られたら、こっちが不利になるからね。

入れるわけにはいかないだろう

「シルキー、下がっていなさい。」

「いえ、私も戦います。いや、やらせてください!」


「君は此処で死ぬ訳にはいけない筈だシルキー」

「ですが!!....わかりました...ですが魔法で支援させてもらいますので」

回復や支援魔法は得意です!まだやった事はないけれど

「あぁ、それならいい。前に出過ぎるなよ」

「はい!ティアナさん!」

まずは...身体強化魔法を掛ける!

「ウォーン!!!」

きた!ブラックドックだ!

「やああああ!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ティアナsaido

「喰らえ!」

「ウォーン!!!」

断末魔を上げて倒れるブラックドック

「まずは一体!」

「お見事です!ティアナさん!」

ブラックドックを3体同時に薙ぎ払うと群れのリーダーが指示を出したのか引いていく。一安心かと思ったが....

「っ!!ティアナさん!ボスが来ます!」

「ようやく、リーダーのお出ましか...」

「小娘が...よくも我が同胞をやってくれたな」

のっしのっしと音を立てながら歩いてきた群れのリーダーらしきブラックドック

「シルキー、お前は下がっていろ....こいつはやばい」

そいつは人化していた。人化できる魔族は最高位の魔族と相場が決まっている

「大きい....なんで大魔族が?」

シルキーが後ろでそう呟いた

此処で少し解説しておこう

栄誉新大魔族....魔族の成り上がりの貴族位で、称号

貴族になるには栄誉新大魔族賞を取る必要があり

これは魔族だろうが魔獣だろうが強ければ認定される。

大魔族認定されれば貴族位も与えられるほどであり。

その認定条件は毎年開催される大魔族大会で優勝するこである。

毎年、貴族になることを夢見る若い魔族や魔獣が大勢参加する。

「この村の近くに栄誉新大魔族賞を取ったやつが居るなんて情報入ってないぞ!?」

村人が

「小娘...そこを退け!」

こいつ...できる!

「ティアナさん....わかりました...」

あれはだめだな...


「いいのか?引かせて...」

「あぁ、いいさ此処からはあの子は足手まといになっちまうからな」

「そうか....まぁいい。では始めようか」

今はシルキーがいないから十分に戦える

「あぁ...では行くぞ!」

そう言って私は片手剣を構えると

相手も部分的に獣化させて鋭い爪を構える

「来い!」

あぁ!行くぞ!

「「はああああああっ!!」」


「」

つづく

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