第6話 帰り道とチンピラ盗賊と騎士   王国暦458年月 日 午後5時21分

椅子から立って部屋を見回すと本棚と本棚の間に設置されている窓から夕陽の光が入ってきていた。今の時間は太陽の角度からして午後五時ごろだと思う

夕陽はとてもきれいだけど今はそんなに見ている暇はない

何故なら

「そろそろ帰らないとないとなぁ....」

帰らないとお婆ちゃんに怒られそうだし

帰り道で街灯がないからこっちの夜は怖いし

一様、本いろいろと借りていくかぁ

「貸し出しをお願いします」

借りる本は蚕妖精の種族魔法が書かれた本と歴史の本と他は二冊借りるけど内容は内緒

一冊以外は殆どの本はあの奥の部屋にあった本だ

貸し出し用のカウンターは空いていて

カウンターに座っているひとは本を読んでいたが直ぐに対応してくれた

「貸し出しですか?それでしたら本をこちらへ」

そう言って司書さんは貸し出し用の魔道具?に受け取った本を置き魔力を流す

すると魔道具から光が出て後ろに挟まっていた紙に書かれた魔法陣に照射する

チロリンと言う音がして本が帰ってくる。

どうやら貸し出しが完了したようだ。

「はい、貸し出しが完了しました。三日後、返却にまたお越しください」

ペコリと頭を下げる司書


「わかりました、また来ますね」


ドアを開ける

「ではさようなら」

そう言ってキィッと音を立ててしまるドアを横目に階段を降りる

空を見るとさっきよりも暗くなりちょうど太陽が夕陽に沈む寸前だった

このままでは間に合わないので近道をしようと路地裏を通る

ジメジメとした路地裏はゾンビ映画にでも出てきそうな雰囲気の中、奥へ進む。

路地裏を進んで家まであと少しの所で目の前の道の角から何かの気配を感じた。

「?誰ですか?そこにいるのは」

見間違いかと思ったのだが少し待った所で気のせいかと思い、進もうとしたその時

角の奥から声がした。

「ち、バレてたか」

そう言って出てきたのはガラの悪い金髪の背の高い男性だった。

隣にはネズミのような前歯をした子分らしき男がいてこっちに指を刺す

「おい、そこのガキ、金目の物持ってるだろぉ? ちょっと俺にくれよぉ」


「なっ何も持ってないですよ?というか貴方誰です!」


「そいつ嘘ついるっス兄貴、俺見たっス!こいつが図書館の奥の部屋から出てくるのを!」あの時見られてた?


「ほぉ?あそこは相応の身分じゃないと入れない筈だが?」

あそこそんな大事な場所だったの!?

じゃあ彼処に入れるこの紋章は何なんだろ?

「ということは、金目の物を持っているってことか」

ニヤニヤしながらじりじりと近寄ってくる男二人

....これはまずいな...此処は路地だし...

「さぁ!出してもらおうか!」

飛びかかってきたその時!

「何をしている!」

黒髪の男性がランプを持って駆け寄ってくるのが見えた

誰?

「やべ!見つかったっす!逃げるっす!」

「ちぃ!今回は見逃してやる!今度会った時は覚悟しとけ!」

とチンピラみたいなセリフを吐きながら去っていく男たち

ザマァねえな(悪魔)

「逃がしたか...そこの君大丈夫だったかい?」

駆け寄ってきた黒髪の男性がそう言った。

「はっはい、助けていただいてありがとうございます。」

「いいよ、気にすんな」

「おい、もうちょっと優しくするんだ、怖がっているだろう」


「あの、これを受け取ってくれませんか?」

そういって先程図書館で作ったシルクで出来たハンカチを渡す

色は白で猫の刺繍入りです。猫はかわいい

「これは....シルクのハンカチ?」



「はい、これは私の魔法で作ったんです」

こんなものが簡単に作れるなんて種族魔法最高だね!

「これを君が?」

「はい、私の種族の得意事なんです」

「すげぇなお前!」

すげぇと言いながらまじまじと見るラインハルトさん

あっ、この人脳筋だ...

「あんまりじっと見ないでください...そんな凄いもんじゃないですよ」

「魔法は個人の素質が物を言うからね、君は誇っていいさ」



「そうそう、謙遜すんなって、そうだ! 今度うちの騎士団を見学に来いよ、歓迎するぜ?」

騎士団...そんな所もあるんですね

「はい、あのお名前は?」

忘れちゃいけないので名前を聞いておく

騎士二人は快く教えてくれた。

「俺はラインハルト•フォン•サルファー、こっちはウィリップ•フォン•シュトラウト俺のことはラインハルトでいいぜ」

ラインハルトさんにウィリップさん...名前にフォンって付いてるから貴族なのかなと思います。というのもフォンはゲルマン系の古い家系にある貴族の証だからです。

貴族関連は前世で色々調べた記憶があります。

「勝手に言うなよ、あーえっと僕はウィリップでいいよ」


「ラインハルトさんのウィリップさんですか...よろしくお願いしますね」

「よろしく。それで君の名前は?」


「えっと、シルキーです。あのぉ、そろそろ帰らないとまずいのですが....」

時刻は六時ぐらいの本格的に暗くなってきた頃、

「ん?あぁ悪い引き止めちゃったな、気をつけて帰れよ?」

「はいまた明日」

「じゃな!明日会おう!」

そういって途中でラインハルトさんと別れました。

五分後家に帰った時、お婆ちゃんに帰るのが遅いとちょっと怒られました。

他にも色々と言われたけど最後にお婆ちゃんは次からは遅くても五時には帰るようにと言っていた。


その後は夜遅くまで眠れませんでした。騎士団見学が楽しみだからです。

あぁ楽しみだなぁ....早く朝にならないかなぁ.....

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