第1章 4話

 「――それじゃあユウ、準備はいいか?」

 「はい、いつでも大丈夫です」

 「……フィリア、試験の説明を」

 「わかったわ」


 私の目の前で少し緊張した表情を浮かべた少年の前に立つ、薄い青色の混じった白金髪の男がこちらに顔を向け、試験の説明を求めてきたので頷き、足元へと視線を落とす。


 此処は天界にある闘神の屋敷の中にある訓練場。


 そして今、試験の説明を求めてきたの男は、私の友人にしてこの家の家主である闘神アレス。 


 その前に立ち、緊張した表情を浮かべている少年は私の新しい友人で、アレスに修行をつけてもらっている赤羽遊あかばねゆうだ。


 この試験を行うことが決まったのはつい先程のことで、彼らはちょうどウォーミングアップを終えたところだった。


 私は試験の説明をすべく、ゆっくりと口を開いた。


 「…では、これより最終試験を行う。ルールはアレスと模擬戦を行い、『秘剣』を二つ以上使用して勝つこと。――ただし、勝利条件はアレスを倒すことではなく、アレスの躰に攻撃をあてることよ。なお、両者共に相手へ直接向けた攻撃魔法の使用及び魔力による『秘剣』の威力増加は禁止とする…以上よ」


 「……では、始め!」


 こうして、闘神アレスとその弟子ユウの模擬戦の幕が開けた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る