第54話 浅野昴、念願の!

 まじか、まじか、まじか!


 昴は風呂にお湯をはりながら、シャワーで全身を流した後、頭を洗って身体を洗い、いっきにシャワーで泡を流す。昴のスバル君はすでに臨戦態勢で、十代の時だってこんなにやる気が漲ったことはないだろうってくらい元気になっていた。

 リンスをした後、あまりに素直に反応しまくっている自分のイチモツを見て、すでに絶頂一歩手前のような今の状態では、まさに童貞中学生のように挿れたらすぐに発射してしまうのではないか? と不安になる。挿れられたらまだ良い。下手したら、その手前で誤発射してしまうなんて恥ずかしい事態も予想される。


 遅漏ではないが、耐久力にはそこそこ自信があった筈なのに、沙綾相手だと想像しただけですでに危ない。かといって、一日に何回もできる絶倫という訳でもない。相手が頑張って奉仕されて、何とか二回が最高記録だ。


 ここで抜くべきか、抜かざるべきか、悩みどころだ。


 昴はおもむろに右手を昴のスバル君に伸ばした。やはり、誤発射のリスクは減らした方が良いと思われたからだ。

 想像するのはさっきの沙綾の格好と、手に残る太腿の感触。


 控え目に言っても最高だ!


 最速記録を叩き出し、昴はシャワーで証拠隠滅をはかる。臭いも残らないように風呂場の洗剤でしっかり掃除し、風呂から出てリビングダイニングで片付けをしていた沙綾に声をかけた。


「お風呂沸いたよ」

「は、はい! 」


 かなり緊張気味の沙綾が、パタパタと風呂場へ走っていく。


 ヤバイ、可愛い……。


 これから後のことを考えて、昴の頭の中は妄想全開になる。ソファーに座り、なんとか違うことを考えて滾りを抑えようとした。

 営業部長の脂ギッシュな鼻の頭とか、取引先社長の禿ちらかった頭とか、でっぷり太った後輩のクシャミを我慢しきれずに出てしまった変なクシャミとか、あらゆる記憶にある変な物を総動員してみて、一番冷静になれたのはセフレであった山田美和のフ○ラ顔だった。おかげですっかりクールダウンでき、過去の女との情事が初めて役に立ったなと感じた。


「あ……あの」


 風呂から出た沙綾が、頭にタオルをまいてドアから顔を出した。


「ちゃんと髪の毛乾かさないと」


 そう言う昴はタオルドライなのだが、髪の長さ的にほとんど乾いていた。脱衣所に行きドライヤーを取ってきた昴は、「乾かしてあげる」と、沙綾をソファーに横座りに座らせて、後ろからドライヤーの温風を当てた。髪に手ぐしを通しながら、髪の毛が絡まないようにドライヤーを当てていると、たまたま指先が沙綾の耳をかすり、沙綾がビクリと身体を揺らした。


 耳が弱い?


 サワサワと耳を擽るように指を当てると、頬を赤く染めた沙綾がピクピクと反応する。首筋に貼り付いた髪の毛を指先ではらうように撫でると、沙綾は小さな吐息を洩らした。


 その可愛らしい声を聞いた時、昴の理性の糸はプツリと切れた。


「ごめん、可愛過ぎて我慢できない」

「え?……え?」


 それでも、なんとか切れた糸を手繰り寄せ、耳を舐め回して首筋に吸い付きたい気持ちを抑え付け、唇を耳に触れるだけに留める。そのまま内緒話をするように沙綾の耳元で囁く。


「……舐めたい」

「へ? 」

「……ハァッ、沙綾の全部舐めたい」

「変態……ですか? 」

「いや、普通だから。そういう行為の前は、触ったり舐めたりするの」  

「……本当ですか? 」


 沙綾は何やら考えているように黙ると、徐ろに昴と向き直ると「はい」と手を差し出してきた。


「とりあえず、手なら」


 手を舐めろと?

 それはそれで倒錯的でゾクゾクするな。


 昴は、沙綾から視線を反らさずに、手の甲に唇を寄せた。そのまま吸うようにしてチロチロと舌で嫐る。沙綾は真っ赤な顔でその様子を見ていた。

 指一本一本に舌わ這わせ、指の股も舌で擽る。袖をまくり、手首から肘の内側まで舐めあげると、「……フッ」と沙綾が息を吐いた。


「怖い? 」

「いえ。……擽ったいです」

「もっと上舐めたいから、これ、脱げる? 」


 昴が沙綾の着ていたトレーナーの裾を引っ張ると、中には黒のタンクトップを着ているようだった。昴の手で脱がせたいが、自分で脱いだ方が怖くないかと思い促す。暖房も効いているし、寒くはない筈だ。

 沙綾はトレーナーの裾に手をかけたまま、ウロウロと視線をさまよわせていたが、凄くゆっくりとトレーナーを捲り上げていった。多分、羞恥と戦っているんだろうが、まるで焦らされているようで、昴はゴクリと口腔に溜まった唾を飲み込んだ。


 胸のところまでトレーナーが捲られた時、昴の視線はその胸に釘付けになる。黒のタンクトップは、所謂ブラトップのついていない普通のインナーで、しかも風呂上がりだからか沙綾はブラジャーをつけていなかった。ユルッとしたタンクトップだったが、沙綾のセンターの位置がもろわかりで、上とか横とかから覗けば見えてしまいそうだった。

 最後、バフッとトレーナーを脱いだ沙綾は、恥ずかしげにまた手を差し出してきた。

 続けてOKということか。


「腕、上げて」


 素直に腕を上げた沙綾の二の腕の内側に唇を寄せ、吸い上げながら舌を動かした。沙綾はフルフルと震えたが、自分で上げた腕は下ろさない。タンクトップの脇からは薄い膨らみの横乳が見えた。


 耐えきれずに脇を舐め回すと、沙綾が始めて身をよじって声を上げた。


「く、擽ったい! そこは駄目です」

「嫌い? 怖い? 」

「擽ったいからぁ……」


 脇をハムハムと唇で食んだ後、タンクトップから見える横乳に舌を伸ばした。場所が代わったことで沙綾の身体から力が抜けた。


「……ベッド行こう」


 さすがにこれ以上すると、止まれる自信がない。沙綾が本当に嫌がれば何が何でも止めようとは思うが、心の底から土下座をする勢いでお願いしたい。さすがにそんな情けない姿を見せたくないからしないが。


「本当に嫌だったら、思いっきりチ○コ蹴り上げていいから」

「チン……。もう少しオブラートに包んで」

「沙綾が嫌なことはしたくないんだよ。でも、もう我慢も限界で……。だから、俺の部屋行こう」


 昴が沙綾に手を差し出すと、沙綾は無言でその手を握った。

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