第十一回・実際に作れ⑥ ~いやだから後ろから作れってば

 はい。というわけで十一回です。ワンクールアニメでいえばクライマックス目前ですね。

 まどマギでいうところの、ほむらちゃんが果敢にワルプルギスの夜に立ち向かい、「どうしてなの……? なんどやっても、あいつに勝てないっ……!」と絶望しそうになるシーンです。


 前回、とりあえずセオリーを無視して起句から作ってしまいました。

 そして、ここにきて平仄式が決まりましたので、取りあえず全体像を記号で表してみます。


 起句 △◯ △● ●◯◯(韻)

 承句 △● △◯ △●◯(韻)

 転句 △● △◯ ◯●●

 結句 △◯ △● ●◯◯(韻)


 ◯が平韻

 ●が仄韻

 △はどっちでもいい


 これが平起式七言絶句の設計図です。わけがわからないよ。

 しかし、わからなくていいんです。黙ってろインキュベーター。みなさん、とにかくこの式を妄信しましょう。


 既に起句はできてるわけですから、今度こそ結句を作ろうかとも思いましたが、どうせなら情景描写を完成させちゃおう、と愚かな私は考えました。

 となれば承句に取り掛かりましょう。

 まず、末三字を決めます。


 △●◯(韻)


 韻はもう『灰』と決まってますから、詩語表の『灰』の欄から二字目が仄韻になってる熟語を選べばいいわけです。


 選びました。


啼鳥来◯●◯


 ふむふむ。

 ええんでないかい。

 一句目で梅の木に朝日が差してて、そこに鳥がやってきてるわけだ。

 ええんでないかい。


 この調子で残りの四字を決めましょう。

 二字目が仄韻の二字熟語と、二字目が平韻の二字熟語をそれぞれ選んでみます。


 選びました。


淑気●●(ハルノケシキ)』


 お、いいじゃな~い。

 梅が咲いてて鳥が来てるんだから、季節は春だよね。あったかそうでいいんじゃな~い。

 

 しかし――。


繞舎●●(イヘヲメグルトイフヿ)』


 この一語が目に留まってしまいました。 


 うん?

 これ良くない?


 春の景色が家を巡ってるの、よくない? エモくない?

 しかも、この『繞』って字、普通使わなくない? ちょっと賢そうに見えない?


 でもなー。『仄仄』じゃなー。駄目だなー。仄仄仄仄になっちゃうもんなー。


 というわけで漢和辞典の出番です。

『いえ』で調べます。

 当然『家』という字が同じ意味ですので、該当ページに飛びます。


 家――『麻』


 キターーーーーー('Д')


淑気繞家●●●◯啼鳥来◯●◯』(new!)


 承句、GETだぜ!



 気が違ったようなテンションになってますが、実際こんなノリで作ってました。

 次回、後半を作って、『ティロ・フィナーレ!』

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