第11話 回想シーン② ブライダルフェア
私は ブライダルフェア というものが、実は どういうものなのか、よくわからなくて……
ここで店員さんに その話を聞くまでに、前もって下調べをしていたとか、誰かに教えてもらったとか、そんなのもなくて 全くの無知の状態だ。
ほぼ毎月のように目を通す 結婚情報誌でも、ブライダルフェアのことに触れた記事もあったと思うけど、その時も ただ漠然とページを捲っていて ほぼ斜め読み、強いて言えばドレスを見ていたぐらいだから、まるで何も頭の中にインプットはされていない。
だけど今 店員さんに見せてもらったパンフレットに載っていた 純白のドレスに身を包んだモデルさんの 輝くような幸せいっぱいの笑顔の画像に 私はグッと心を掴まれてしまった。
「今すぐに じゃなくても」 「知っておいて損は ないですよ」 「すべてが無料です」
店員さんから巧みに繰り出されるプッシュワードに私だけじゃなくて大樹までもが心を擽られていたみたい。
これって もしかしたら結婚に向けた突破口になるかもしれない、 という 小さな期待さえもフツフツと沸いてくる。
そして、ここまで店員さんが時間を割いて丁寧に説明をしてもらったのに、もう今更 断れない という気持ちまでもが、良い意味で私を後押ししてくれている気がした。 (それが店員さんのお仕事なのはわかっているけど;;)
「どうする? せっかくだし 申し込んでみる? 」
私はダメもとで、おそるおそる、でも努めて笑顔で明るく大樹に尋ねてみた。
幸いその日の大樹は、さっきの野球観戦でイチ推しの若手選手が活躍したこともあって終始機嫌も良い。 その余韻を引きずっていたおかげもあったのかもしれない。
「あー どっちでも? ま、そっちが良いなら、いんじゃない? 」
大樹は拍子抜けするほど、あっさりとした返事。
「え? うん 」
私のささやかだけど大きな期待をわかっているのかな?
店員さんの説明を聞いている時の大樹の目は、テレビにもよく出ている一流ホテルの有名シェフが手掛ける料理と、その試食会のページに釘付けで、少なくとも結婚に向けた大きなイベントに臨む、というような受け取り方ではないことは確かだった。
ブライダルフェアは翌9月の第一日曜日。つまり来週、あと7日後だ。
申し込みをしたその時点から私の気持ちは なぜか落ち着きがなくて、その日その後で彼と一緒に食べた晩ご飯も、いつものラブホでのセックスも、帰路の車内で交わした会話のことも、すべてがウワの空のままに、なんとなく時間だけが過ぎていった気がする。
どこか気持ちが落ち着かないフワフワ状態は翌日の月曜日からも同じだった。 それは、私なんかが行ってもいいの? 大樹、本当はどう思っているんだろう? という不安な気持ちと、一方で 将来に向けた大きなそして具体的な第一歩が ようやく踏み出せるという喜びが交錯したものだった。
でもそんな感情は外に出さないように、悟られないように、そこだけはしっかりと意識をして家族や友人の前では いつも通りの私になって平静を装っていたつもり。
ちょうど職場でも係長さんが人事異動になったので、業務の引継ぎや新しく来られる人の事務手続きのサポート、それに加えて親友で同期の夕奈がリフレッシュ休暇に入っていたので 私の担当する仕事が一時的に増えて連日残業、そしてフェア前日の土曜日まで休日出勤をする羽目になるくらいに多忙を極めていた。
そんなこともあって、幸か不幸か心の準備が追い付かないままにブライダルフェアまでの時間は、あっという間にカウントダウンされてしまった。
そして当日が来た。 その日のことは鮮明に覚えている。
「彩ちゃん?? 」
「えっ? 」
「今日は??? 何か お呼ばれ? 」
出かけようとした私を玄関へと続く廊下の途中で母が呼び止める。
こっそり出ようとしたのだけれど、やっぱり見つかってしまった。 幸い父は早朝から山登りに出かけているし、妹はまだ寝ているみたい。
「ブライダルフェア」というものに、どんな洋服で参加すれば良いのかよくわからなくて、だからネットでアレコレ調べたりもして、とりあえず友人の結婚式でも着たパーティドレス風な前ボタン膝下丈のピンクのワンピースを選んでいた。
そんな「いつもと違う雰囲気」なのは、母にもはっきりとわかったらしい。
「あ、お母さん ブライダルフェアって 知ってる? 」
私は妹を気にして少し小声で母に話す。
「ブライダルフェア? 結婚式の説明会みたいな? 」
「うーん 説明会というか、まぁ、でも、そんなものかな 」
「え? もしかして それに行くの? 大樹君と? 」
年頃の娘を持っているせいか母の方が情報通だし察しが早い。
「うん 」
うなずくと母の顔がパァーっと急に明るくなって、
「えー! ねぇ もう そこまで話が? 」
「ううん、とりあえず見に行こうかなって感じ。 だから何も決まってないし、そんなに嬉しそうな顔をされると困るんだけど 」
そう言ってフェアのことは簡単に説明はしたけれど、そんな私の念押しを、聞いているのか聞いていないのか、母は私の姿を上から下までまじまじと眺めながら、
「髪の毛を上げた方が良くない? あと ワンピースって それしかなかった? 」
急に、あれこれ頭の中で思いを巡らせ始めた様子に私は少し慌ててしまう。
「ホントに決まったわけじゃないよ。 ただ見に行くだけ 見るだけだから ね! 」
「あ そう でも、一緒に行くんでしょ? 」
心なしか、母の目がキラキラしている。
「うん行くだけ だから、そんなのじゃないから みんなにも期待されると困るし、お母さんと私だけのヒミツにして? お願い 」
「了解、大丈夫 彩ちゃんと二人だけのヒミツねー 」
そう答えながらも、まだキラキラしている母。
「写メ、撮ってきてよー あと 大樹君にも よろしくね 」
いつものセリフに見送られ、家を後にして大樹の待つ車へと向かう。
ふぅー、何とか切り抜けた! いきなりの手強い関門は突破。
だけど、実は 昨夜まで もうひとつの気がかりなことがあった……
申し込みをした時から昨夜まで、大樹と交わす電話やLINEの中に、このフェアについての話題が出てくることが一度たりともなかったこと。
だから、なんとなく上っ面な会話になっていた。 もしかして大樹は避けているのか、嫌なのか、やっぱり行きたくないのかな?
私は淡い期待をしていただけに、この状態がとても不安だった。
でも、だからと言って、この話題をしないわけにもいかない。 だって もぅ明日のことだから。
昨夜 思い切って、
「あっ そういえば明日のことだけど 」 と私が切り出すと、
「おぅ、大丈夫! 大丈夫! わかってるし 」
大樹はあまり多くは語らずに とりあえず待ち合わせの時間だけは指定してくれた。
(良かったー! なんとかセーフ)
本当は彼も不安だったのかも……
そんな大樹だけど 今日は一応 それらしい格好だ。 昨日、午後に半休を取って 散髪したばかりの髪の毛が綺麗に整っている。 ひげそりも いつもより念入りだし、それなりの ちゃんとしたビジネスカジュアル姿、新調したらしいブラウンの革靴も艶を帯びた光を放っている。
いつものデートとは違う外見の大樹。 そっか、これまでフェアのことにあまり触れなかったのは 彼なりの照れがあったに違いない。
そして、今日の彼の外見もそうだけど、私の自宅から遠くない いつもの待ち合わせ場所にあった彼の車。 彼らしくない早着だ。
こんなちょっとしたことでも やっぱり 今日が二人にとっての特別なイベントであることを感じさせる。
「びっくり! なぁーんか イイ~! 違う感じ! 」
大げさすぎる笑顔を彼に向けた私もテンションを上げる。
「そ? でも、そういう彩も わりと頑張ってるし! 」
「そんなことないよ そこそこよー そこそこ 」
「俺だって、そこそこ まぁ 今日は二人とも、そこそこで行くしかないかー 」
「うん? まぁ、そうしますかー 」 (とにかく安心した!)
なんだか よくわからないけれど、照れくささもあって、そしてやっぱり まだ緊張した気持ちは解れない。 そんな雰囲気を和らげるように車の中では、大樹も無理にテンションを上げていた。
「うまいもの 食えるよな? 食いつくすために来たし タダだろ? 」
「タダはタダだけどねー でも、ほかにもいろいろあるんだし 」
「いやいや 食べ放題 バンザ~イ!! 」
「もぉー! そればっかり! やめてよー 」
私は少し大げさに怒ったフリをしたり、
「そのストッキングって マジ高いやつ? キラキラしてるし 」
「そりゃ だって 今から 超~ 高級レストランに行くんでしょ? 」
わざと おどけた大樹に、私が冗談で返したり、
「おぅ そうだった~ あはは いいねー! ステーキ食おう! 」
「もぉ!!! 」
緊張している私も無理に合わせて笑顔を作っているし。
なんだかんだと よくわからないテンションのまま、フェアの会場になっているグランド ベイスター ホテルに着くと、駐車場は ほぼ満車の状態。
昨晩遅くに洗車をしてwaxまでかけたという彼の軽自動車は、輸入車と高級車に挟まれたスペースに停めることができた。
場内はドレスアップをしたカップルや そのご両親らしい姿も目にして、二人とも驚いてばかり。
「え? もしかして本番? というか、リアルな式を見るんだっけ? 」
「ううん 模擬って言ってたよ? たぶんスタッフの人のを見るんでしょ? 」
こういうフェア初体験の私たちは、すっかり周囲の雰囲気に飲まれてしまっていた。 不安いっぱいの私たちは、受付を済まると パンフレットを片手に 黙って案内順路に沿って歩いて行くだけ。
屋外で式ができる芝の敷詰まった広い庭園や そびえ立つ荘厳なチャペル、いくつもの披露宴会場や控室 など、フェア当日は会場内をあちこち見てまわり、移動が多くなることはネットで下調べをしたとおり。
だからたくさん歩いても疲れないローヒールがおすすめとネット情報をインプットしていたので 私はヒール3㎝のパンプスを履いてきたのは正解だった。
そんな薄いピンク色のパンプスで歩いて見学をしながら、周囲のカップルを見ると、ほとんどのカップルが カップルつなぎをしているか、腕を組んで歩いている。
チラッと大樹を見るけれど、大樹は目を合わせてもくれない。 照れくさいのは わかるけど、こんな時くらい と、ささやかな期待は淡く消えていく。
そして定刻通りに白いチャペルの中でフェアがスタート。
いかにも司会慣れしたスタッフが、フェア全体のスケジュールを順を追ってわかりやすく説明してくれる。 でもその内容は、ゴールに近づいているカップルのための最終確認用に近いものだった。 そういえば 申し込みをした時に、店員さんがそんなことを言っていたような、いなかったような?
よくよくあらためて会場を見渡すと、たしかに周りのカップルは ゴール間近という雰囲気ありありだし、スーツ姿のご両親とともに 説明を聞いている姿も 真剣そのものだ。 人生最大のイベントに臨む 意気込み みたいな空気を感じる。
本当に私たちなんかが、参加して良かったのかな? 温度差がありすぎることが、ひしひしと伝わってくる。
「なんかすごくない? 雰囲気というか 」 大樹はどこか怯えているような小声。
一応それなりの格好に整えてきた大樹も、この場の雰囲気には終始圧倒されているみたい。
「うん まぁ 」 私も言葉が続かない。
そんな私たち以外のカップルは、幸せそうな柔らかい表情で、時折 笑顔で見つめ合ったり、手を繋いだり。 左手薬指の指輪が まぶしい輝きを放っているカップルもいた。
大樹からもらった ガーネットのネックレスは、なんだか霞んでしまう気がして、私は無意識のうちに左手を当ててしまっていた。
そんな私の左手には、3年前に自分へのご褒美 で購入したファッションリングが さりげなく着いているだけだ、もちろん薬指ではなく中指に 。
「どうする? 」
「私も わからないよー このまま ここにいるしかない? んー わからない 」
「だよなー 」
呟くような大樹に、囁くように返す私。
私たちの気後れをよそに、まずは本番さながらにスタッフが演じる、模擬挙式と披露宴が始まった。
もちろん 何度か私も本当の結婚式に出席した経験はあった。 どの結婚式も工夫を凝らした演出をしていたけれど、今回のイベントのものは一段と華やかで、それでいて とても心温まる素敵な演出で、引き込まれるような挙式と感動的な披露宴に 二人とも しばらく言葉が出なかった。
続いては大樹がここに来た最大の理由? でもある 試食会。
会場に入ると、ずらりと並んだテーブルには、シワ一つない純白のクロスがかかり、工夫を凝らした 和洋中の料理が所狭しと並んでいた。
ここで大樹の緊張が解けて、やっと いつもの笑顔になった。
やっぱり食べ物のチカラって すごい!
「やっぱりフレンチかなー! 見映え良いし、美味そうに見えるよなー 」
「うん そうだねー 」
「ステーキ メッチャうまかったなー 柔らかかったし、ジューシーで 」
大樹はずっと笑顔。
「うん おいしかったー 」
実は私は せっかくの味もよくわからない状態で、とりあえず相槌を打って空返事ばかり。 なんとか お腹は満たされたけれど、気分までは まだまだノッテこないのが 正直なところ。
それでも、披露宴会場内の特設ステージで繰り広げられた 最新ドレスのファッションショーでは、思わず夢中でモデルさんを目で追っていた。
ベーシックなお姫様シルエットのプリンセスラインや ゴージャスなAラインのドレス、ミニスカートや長身の女性が似合いそうなスレンダーライン、体のラインがぴったりと出るような斬新なマーメイドライン、デザイナーメイドの着物ドレスとか、いろいろなタイプのドレスにワクワクしてしまう。
赤やピンク、青やエメラルドグリーンといったカラードレスも素敵だったけど、やっぱり私の憧れは純白のウェディングドレス。
そのウェディングドレスに身を包む自分を思い浮かべるだけで 心が躍る。
だって、私にとってウェディングドレスは 特別で、子供の頃からの憧れだから。
「綺麗よねー 」
思わず口にした私の言葉に大樹も軽くうなずいた。
彼も心の中で、ドレス姿の私を思い浮かべてくれていたら嬉しんだけどなー。
フェアは滞りなく終了して、申し込んだオプションごとに それぞれの場所へと移動。 この頃になって、やっと私たちも場慣れしてきた感じだ。
暫くはフリータイム。
会場内を自由に見学したり、ソファーに座って余韻に浸ったり、スタッフと談笑したりと、来場者はそれぞれの時間をゆったりと過ごし始める。
私たちも会場隅のソファーに座って、スタッフからいただいたカップのコーヒーを飲みながら、式場のパンフレットを片手に、私はドレス、大樹はあいかわらず料理のこと、あとはこの式場自体の建物のスケールとか構造とか、どうでも良いような とりとめのない話をしていた。
とりあえず私たちの今日のメニューは、残りあとひとつ。
なんとなくの興味本位と面白半分で、ついでだからと オプションで申し込んだ、と言いつつも 私が一番楽しみにしていたウェディングドレスとタキシードの試着が残っているだけだ。
と、不意にスタッフの声。
「岸本さま 松本さま! 大変長らくお待たせ致しました こちらにどうぞー 」
呼び出しは意外と早かったので、思わず心臓がドキッと音を立てたような気がして…… だって少なくとも 長らく は待っていないから。
「え? 私たち? 」 努めて冷静に私が呟くと、
「えー マジか なんか、早くね? 」 そう言って俯く大樹には スタッフからの呼びかけに返事をする気がなさそうだった。
だから私が答えるしかなくて、
「あっ はい! 」 手を挙げて立ち上がった。
本番じゃないのだから緊張するようなことじゃない、と自分に言い聞かせたけれど 否応なしに高まる緊張感に、やっぱり申し込みをしなければよかった、とも思ってしまった。
試食会で和らいだ大樹の表情も心なしか強張っている。
「では ご案内いたします こちらです 」
私たちは、晴れやかな笑顔で迎えてくれる 品のあるスタッフに案内されるまま、衣裳部屋のある階下に着いたところで、それぞれの試着室へと進む。
正直、私たちは、まだそこまでの段階ではない、そう思うと 真剣にイベントの成功に取り組んでいるスタッフのみなさんに申し訳ないような気持ちにもなる。
もしかしたら、かなり先走ってしまっているのかも、と思う気持ちと、さっき見たばかりの素敵なドレスを着ることができるチャンスが目の前にある嬉しさ、そして 仮とは言え 花嫁姿になる照れくささがグルグルと交錯してしまう。
「あのー やっぱり、やめます 」 私たちが そう言えるタイミングは、今しかない。
そんなネガティブなことしか思えなくなった私を嘲笑うかのように、スタッフは軽やかに歩みを進め、やがて二人の分岐点に。
「じゃ オレ こっちみたいだし 」 大樹は ますます不安そうな細く弱々しいトーン。
「う、うん 」 返す私の声は掠れていて、もう一度 言い直した声も固まっていた。
だってドレスを着られる嬉しさはあるけれど、かなりの緊張感と複雑な気持ちが入り乱れているから。
「どうぞ こちらです 」
私の気持ちを知るはずもないスタッフは、笑顔で声をかけてくれて 『DRESS ROOM』 とゴールドのプレートがかかった厚い扉の中へ 私を導いてくれた。
最初に目に入った真紅のカーペットの上の金色のポールに数メートルに渡ってずらりと並んだ純白のドレスの山脈は圧巻だった。
私は初めて見る光景に圧倒されてしまい、スタッフからの説明もうまく聞き取れないままで、ドギマギしてためらいながら並んだドレスの前に立ち、スタッフに薦められるままに白い礼装用の手袋をして震えながらドレスを手にして眺めるのがやっと。
純白のドレスは、想像していたものより華麗で、ずっしりと重く感じた。
なんて綺麗なんだろう。
ふわーっと舞い上がりそうな気持ちを、私なんかが着て本当に良いのだろうか?という現実の気持ちが、足を持って地上へと引き下ろす。
(この人、まだ 全然 何も決まっていないのにドレスの試着をするなんて)
そんなふうに思われているかもしれないと脳裏を過ぎる。
スタッフに笑顔で話し掛けられれば掛けられるほど、その頭の中の声が大きくなって、いたたまれない気持ちになる。
(どうしよう) だけど、今更もう逃げられない。
そんな私の気持ちとは関係なく、私は化粧台の前の椅子を勧められる。 隣の席では、私よりも年齢的には若く見える女性が綺麗にメイクをしてもらい、最後に濃く赤い口紅を引いてもらっているところだった。
その人は、もうすっかり花嫁さんになっているように堂々とした感じに見える。
もしかして、あと数ヶ月ほどで、本物の花嫁さんになるのだろうか?
それとも、もう少し先? 朧げに そんなことを思っていると……
「メイクと髪の毛のセットを始めますね 」 と声をかけられた。
「あっ はい 」
ひとりのスタッフが髪の毛をカーラーで巻いている間に、他のスタッフが私のメイクをクレンジングで拭き取る。 素顔に戻った私に手際良くブライダルメイクが始まった。
ここまで来ると もう覚悟を決めるしかない。 私は 既に「まな板の上」だ。
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