(緋弾のア〇ア風味で)メスブタ! メスブタ! メスブタ!
「……なんなのこれ。なんでこの狭い部屋が、こんなに人間であふれてるの」
日も暮れてからやってきた剣崎さんが、わがアパートのドアを開けて開口一番吐き出したセリフがそれだ。昼間訪問した時も似たようなセリフ吐いてなかったか? なんかデジャヴ。
「えーと、まあ……なりゆき?」
まあ、剣崎さんがそう言いたくなるのも仕方ない。
ワンルームになぜか俺、暮林さん、帰るのを嫌がったアンジェ、付き添いのオカン、そして隣の部屋で寝ていたけど目を覚ましてなぜかこちらへときている小島さん。
五人にプラスして、ジョーンズさんの元嫁、あずささんまでご来訪している。メスブタ増量中。もちろんアンジェとオカンは除く、だが。
まさに一人一畳分未満のスペースしかないわけで。床、抜けないだろうな。
「なりゆきって……って、あたしの居場所ないじゃない」
「まあ適当にすわ……いや立ってて」
「疲れているところわざわざ来てあげた人間に、気遣いできない男はモテないわよ」
「(メスブタ以外には)モテてねえもん」
剣崎さんといつもの会話でジャブを打ち合ったら、なぜか暮林さんと小島さんとおまけにアンジェからジト目攻撃を食らった。
なんでだ。
「……あんた、そのうち後ろから刺されそうね」
「だからなんでだよ」
「……はぁ。まあいいわ、そんな話をするために来たわけじゃないし」
剣崎さんも剣崎さんでかなり失礼である。話題振ってきたのは誰だとも思ったが、剣崎さんは時間が押しているように思えたのでこれ以上触れないでおこう。
そうして、剣崎さんはベッドに座っている暮林さんの隣にちゃっかりと腰掛け、衝撃の事実を話し始めた。
「実はね、まあ犯人は奥津のバカだったのは周知のとおりだけど、あの逝っちゃってる様子から、捕まった後に尿検査されたんだって。そしたら案の定、薬物キメてたみたい」
「な、なんだってー」
棒読み
そっかー、やっぱクスリキメてたんだなー。
「なんかねー、それで自宅探したら、薬物出てきたってさっき連絡あったわ。罪が上乗せされそうね」
「終身更生施設収容でもいいんですけど」
「まあ、ケガがあるから、しばらくは治療じゃないの?」
「ああ……ナポリたん先輩容赦なかったもんなぁ……」
遠い目をしつつも、一部納得した。奥津の奴は薬物を購入してたから、光秀に金借りるほど金欠だったってわけかー。あきらめろ光秀、おそらくお前が貸した五千円は一生返ってこない。ざまぁ。
「……ったく、あたしまで薬物検査に巻き込まれたわよ。ついでに、とか念のため、とか」
「ほうほう。つまり剣崎さんの一番搾り汁をけーさつに提供したってことですな」
「ぶん殴るわよ。あと、飛鳥でいいっての。ほんと、あんたにさん付けで呼ばれるとか、気持ち悪いわ」
「……」
剣崎さんと少しは仲良くなれているのか、そうでないのか。判断に困る。そう思って剣崎さんの隣に視線を移すと、絶望にも似た表情の暮林さんが。
あ、こりゃまずいと思って振り返ったら、小島さんとアンジェも似たようなもんだった。
「な、なんで飛鳥姉、そんな親しげに接してるの……いままでは、男を近づけることをかたくなに拒んでたのに……やっぱり、そうだったんだ……」
「ま、またライバルが増えるの……? ど、どうしよう、いっそ誰の目にも触れないよう、逆に監禁しちゃえば無問題、かな……?」
「妹の座だけしか他人に自慢できることがないよぉぉぉぉ……なんで、なんでぇぇぇぇ……こんなにお兄ちゃんのこと大好きなのにぃぃぃぃ……」
「君たち、その言葉はせめて脳内にとどめておいて、口に出さないでくれ」
暮林さんや小島さんはもちろんだが、なぜか病み具合ではアンジェが一番ひどい。なんせ金髪が真っ白になってるもん、俺の目に映る色は。
「あらあら、口に出しちゃダメとか、雄太はオーラル嫌いなの?」
「いいからオカンも黙ってて」
「オーラルじゃなくて下の口で出したいんだろ、アンタは」
「うるせえ、泡姫あずさも黙ってろ」
「なんでアタシの扱いだけ雑なんだよ!! ふざけんなその言葉遣い!!」
「気が立ってんだよ!! いいから下らねえチャチャ入れてくんな! 入れるのは肉棒だけにしとけこのプロフェッショナル!!」
俺が言えた義理じゃねえな、と脳内を反芻して思ったが、まあもうこの際あずささんの扱いは雑なままでいい。
「……話、続けていい?」
「あ、ああ、ごめん。どうぞ」
そこで剣崎さんがなんとなく不機嫌そうにあたりを一瞥し、みんなを黙らせた。ゲイノージン強い。
「で、ね。どうやら奥津は、F市にいたときから薬物を入手してたようなんだけど……」
「……はい?」
どゆこと。まさかあっちにいた時からヤックヤックラリラリホーってか。こっちの発言のほうがどちらかというと衝撃だったわ。
いやさ、でももしそうだとしたら、どういうルートがあるのよ?
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