性欲しか勝たん
誰も待ってないかとは思いますが、お待たせしました。とりあえず復活。
────────────────────
いやな予感マシマシ。
まあ冷静に考えようが興奮して考えようが、キモホクロ竜一性欲大魔神義理の兄がこちらへ向かってくるなど、もうひとつしか目的がないわけで。
オーマイガッ、性欲はすべての行動原理だ!
となると、小島さんが遅い理由は、キモホクロマンに絡まれているせいかもしれん。
ようやく精神的に落ち着いてきたところだってのに、これはやばくないか。キモホクロマンがやってくるということをすっかり失念していた俺もうかつだったが。
こうしちゃいられん、小島さんのアパートまで様子を見に……と思ったら。
「……やべぇ、俺ったら小島さんがどこに住んでるか知らんわ」
さっそくつまづいた。
誰か知ってそうな人間は……あ。
ひょっとすると暮林家の誰かなら把握してるかもしれん。なんせ一時的にとはいえ、一緒に暮らしてたくらいだし、美沙さんならそのあたり調べることも容易かったりして。
──よし、思い立ったらすぐに行動しないとなんだか手遅れになりそうな気もする。聞いてみよう。
というわけで俺はさっそく美沙さんへと問い合わせの電話をしてみた。
『……もしもし。雄太さまですか?』
「あ、遅くにすみません。ちょっと緊急の用事が……単刀直入にお聞きしますが、小島さんが住んでた前のアパートの住所とか、知ってませんか?」
『……なぜこんな時間にそのようなことを聞くのですか……? ま、まさか亜希さまのアパートにスペースランナウェイして雄太さまの伝説巨チンを出でONするつもりでは……』
あ、やっぱり訝しがられた。というかそれは全滅エンドの破滅フラグじゃね? いろいろツッコミたいのはやまやまではあるが、今はそんなことしている余裕はない。だいいち俺のアレはそこまででかくないもの。
「いま隣に住んでるってのにわざわざそんなことする意味ないですよ。まあ小島さんの貞操の危機ってのはあってますけど」
『……どういうことですか?』
「いや……メンヘラをメンヘラたらしめる元凶の義兄がこちらへやってきたっぽくて。ひょっとしてアパートでサーチアンドデストロイされてるんじゃないかと心配になったもんで」
というわけで美沙さんに要点だけ状況説明。
『……なるほど。グラデーションレイプ権を持った義兄が……ですか。遭遇したら脅威ですね』
「そうなんですよ。帰りが遅いし、ひょっとするとつかまってるんじゃないのかなって」
『そういうことでしたら……亜希さまの住んでらしたところは、灰砂台二丁目にある【関東ローム荘】という築二十五年超のアパートです。確かに雄太さまのところから、徒歩十分くらいで行けますね』
「マジすか!」
灰砂台……って隣の隣町くらいだっけ。こっちの地名とか把握してないから知らんけど。
『私も行きたいのはやまやまではありますが今少し手が離せない状況でして、代わりと言っては何ですが信頼できる筋にも様子を見てもらえるようお願いしておきます』
「なにからなにまでありがとうございます!」
『いいえ、それではご武運を』
とりあえず美沙さんとの通話を終了させた。次はアンジェとオカンに説明せねばなるまい。
「めんどくさい状況になったらやだから、ちょっと小島さんが布団を持ってくるのを手伝いに行ってくるわ」
一から十まで説明する必要はないだろう、そう思ったが、案の定アンジェが食い下がってきた。
「めんどくさいことって、なに? ま、まさかアンジェをいいくるめて留守番させている隙にあの女の人とそのまま布団の中にライディーンするつもりじゃ……アンジェも一緒に行く!!」
「くんな。というかアンジェは危険なことこの上ないから素直にお留守番してなさい」
おめおめと危険なところに連れて行って、まぶしい妹を、輝くアンジェをキモホクロマンに渡せるもんかい。
「だ、だってぇぇ……このままじゃお兄ちゃんと……」
「こーらアンジェ。いいからあなたはここでおとなしくしてなさい。まだ中学生のあなたを夜中にホイホイ外出させるわけにはいかないわ」
ナイスオカン。さすが保護者である。
と思ったのもつかの間、すぐさま真面目な顔でオカンが俺のほうへと視線を向けてきた。
「さっきの子に、なにか、あったの?」
「あ、い、いいや、杞憂だとは思うんだけど、なんかあったかもしんない、ってだけで」
真剣なオカンの視線は久しぶりで、俺は少しだけ気圧された。これが年の功ってやつか。
「……ふーん。ま、とりあえずそわそわするなら、行ってらっしゃい。あ、ちゃんと辞世の句は詠んでから行ってね」
「別にわざわざ死にに行くわけじゃねえんだけど!?」
そこまで覚悟決めなきゃならんのか。
あとDTのまま死ぬわけにいかんから、マンが一だろうがチンが一だろうがさすがに命賭けるつもりねえよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます