直線一気の加速度で迫る影
そうして、ジョーンズさんとアンジェは、最終新幹線に間に合うよう帰っていった。
アンジェが去り際に残していった。
『もうすぐ、休みが来るもんね。またよろしく、お兄ちゃん』
という言葉が不穏である。
まさかとは思うが、ゴールデンウィークにまたくるつもりじゃなかろうな。
おそらくジョーンズさんも事後処理があるだろうから、こっちに来るとすれば時期がその頃だろう。
また二人で来ることになるかも。客用の布団用意しなくちゃだめだろうか。
お金に問題あるときは最悪、寝袋を用意しとけばいいかな。
それにしてもなんか疲れた。
部屋の中が散らかってはいるけど、今日はもう寝よう。
…………
今気づいた。
アンジェのやつ、下着を忘れていきやがったわ。ベッドの陰に隠れているから気づかなかった。
うーむ、見た目は確かにチューボーとは思えないくらいに成長していたけど、ぱんつのほうは相変わらず色気ねえな。ま、色気のあるぱんつ履いてるJCってのもなんかいやだけどさ。
…………
しかしなぜベッドの陰にアンジェのぱんつが脱ぎ散らかされていたのか、わからん。着替える必要も機会もなかったはずだが。
それとも、お尻ペンペンで桜でんぶになっただけじゃなく、括約筋まで緩んで寝小便でもしてしまったのだろうか。それともでっかいほうか。
一応ぱんつを手に取って、漏らした痕跡がないかを確認してみる。
……ま、きれいだ。シミひとつない。
ひょっとすると使用されてないぱんつかもしれんな。においを嗅げば使用前か使用後かはわかるだろうが、妹のスメルプライバシーくらいは守ってやろう。
ぽーい。
……あ、なんか睡魔が……
―・―・―・―・―・―・―
「ヤバイ、寝坊したーーーー!!」
目覚ましなどかけなかったので、目覚めたときにはすでに午前十時半。
いかに俺の神経が消耗しているかわかるだろ。
「……って、今日は日曜日だったわ」
そして冷静になる。
何もする予定のない日なんて、久しぶりかもしれない。
まあ、やらなければならないことはある。
アンジェのせいで、二日分の朝飯となるはずだったパンが一日で消滅した。
「しかたない、なんか食いもん買ってくるか……」
ひとり暮らしになると独り言が増える。
あると思います。
…………
……
しかーし。
「……と、突然、ごめん」
なんで外に出て早々、
毎日毎日、一発目のエンカウントが会いたくないやつらばっかなのは、俺が呪われてるせいだろうか。
……いや、これは明らかに待ち伏せしてたっぽいよな。君はたっぽい。
さびれた色の髪もぼさぼさで、何か切羽詰まってるようにも感じられるし、めんどくさ。
とりあえず無視して、食いもん調達のミッション優先でいこう。
「……あのさ、雄太」
「……」
「ね、ねえ、お願い、話を……」
「あ、おさわりまーん!」
「ぎくっ!」
「……かと思ったら違った、ただのトレンチコート着たおっさんだったわ」
反応が面白いな。からかってちょっとすっきりしたので、話くらい聞いてやるか。
この前から俺に何か話したそうだったし、また勝手に鬱るんですからの
「で、なんか用?」
「……雄太、本当に大学辞めちゃうの?」
「……は?」
ああ、そういや俺、小島さんに大学辞める宣言の訂正をしてなかった。わりとどうでもいいから忘れてたわ。記憶力低下中。
なによ、ひょっとしてこの前わざわざ尋ねてきたのも、それを確認したかったのか?
「あ、あの! ゆ、雄太がもしあたしを目障りだと思ってるなら、な、なるべく雄太の前に姿を現さないようにするから! 話しかけないようにするから! だ、だから、雄太に大学辞めてほしくない……」
いや今現在、俺の前に姿を現してるし、話しかけてきてんじゃねえかよ。
さすがビッチは違う。後ろから前からだけじゃなく、言葉を出す口すらもツッコミどころマン載。穴という穴を
さて、ここからどう対処するのが正解なんでしょうね。せめて対処女だったら喜んでパブロフの犬ムーブかますんだけど、対非処女しかも不感症の加護持ちだもんな。
正直分からんわ。
とりあえず腹を満たしてから考えよう。優先順位を間違えちゃダメ。
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