3.始まり

「ギルド……ギルドは……あ、看板発見。すぐそこじゃん」


 ギルドの中に入ると、暖色の光が顔を照らした。周りの席には7人ほど、武器防具を纏った冒険者らしき人が居る。ちょっと楽しげなゆったりとした曲も少し聞こえてくる。

「おっ、冒険者志望か?見たことねぇ顔だ」

「あっ、はい、最近目が覚めたもので……。あれ、受付の方は居ないんですか?」

「目が覚めた……?まあいいか。……ああ、受付な。ちょっと待ってろ、おーい!冒険者登録してやってくれー」

「はーい!」


 ほどなくして、受付らしい女の人が出てきた。キラキラ輝く石が乗った板を持っている。

「ほえー……綺麗な石ですね。色も10色くらいに変化してるし」

「これでステータスを見たり冒険者登録をするんですよ。新規登録で良かったですか?」

「はい、お願いします!」

「では、この板の手形が描いてあるところに両手を重ねて置いて下さい」

「お、おおおぉ……」

 青・赤・緑の光る球体が集まり、石の上空に数字やら記号が刻まれていく。


「1、1、2、3、5、■、13、21、■、■、89……って、ステータスながっ」

「お、あんちゃん隠れステータス多いな。こりゃ期待できそうだ」

「ステータスってこんなに長いものなんですか?」

「ええ。長すぎて覚えられないので、皆さんその都度確認されてますね」


――シュ。と音がした。

「終わったようですね。冒険者プレートをお渡ししますね。これでステータスや持ち物など色々確認できます。また、依頼を受ける時や死亡確認にこのプレートが必要になるので肌身離さず持っていて下さい」

 掌より大きいくらいの透明な板を受け取った。金属?で縁取りされており、何かわくわくするようなデザインだ。


 受付が終わると、受付を呼んでくれた人に声を掛けられる。

「登録が終わったところで唐突だが、俺たちと一つ目の冒険に行かねえか?新人の初依頼は熟練冒険者がサポートする、ってのがこのギルドのならわしみたいなもんでよ」

「おお、それは助かります!よろしくお願いします!」

「ヨシきた。初依頼で跳ばしすぎて死んじまったやつも多いからな。そんじゃ、そこの依頼板で良さげな依頼を探そう」

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