4.普通

多重詠唱/大嫌い


 膨大なエネルギーが増大していく。

 光の濁流が渦巻き、凝縮されてゆく。

 奔流は景色を飲み込み、地は這わせんと激震する。

 空間がゆがむ。

 心身はひずみ、何者も寄せ付けんと解放を始めた。


 僅かな瞬間に起こった急激な温度差は、非日常に終止符を打った。

 なおも増大する裂傷。身の犠牲などいくらでも修復できる。

 顕現する夢、砕かれた理想。うつつは何も映さない。

 

 黒には染まらず光も消える。映らないエネルギーだけが小さな塊となり見えない穴を生む。穴は次第に収縮し……記憶から消えるほどに存在を揺らがせた。


 景色が元に戻る。全ては主に封じられ、また解決を望む。

 変わらない世界は拒絶を強め、再び顕現する。



――ゆがまない遺志とゆがまない世界――

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何も考えずに書き始める異世界ファンタジー @ravan

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