2.ここ

 私は、いわゆる魔法使いみたいな帽子を被った女の子に手を引っ張られ……もとい、半分引きずられて街の外まで出てきていた。


「ふいー、ここまでくればもう人は居ないでしょ」

 あれだけ音をたてたら人も集まってくる。だが、不思議なことにあのガラスの壁の家も周りの景色も、何も壊れたような跡は無かった。


「驚かせてごめんね、もう目は大丈夫?」

「だ、大丈夫」

 ちょっ、顔が近いな……。

「あっ!遅れちゃう!ごめん、また何処かでーー!!」

「え、あ、うん」

 飛んでった……。飛んでいった方向を見ても、もう姿は確認できない。

「何だったんだ……」

 気を取り直してもう一度あの店に……は行かないけど、様子は見に戻るか。あれだけ音がしてたのに、全然壊れた痕が無いってどういうことなのか気になるしなぁ。


「ま、旅にはこういうイベントがツキモノだよな。旅は始まったばかりだけど。あの店を見たらギルドに行ってみよ。やっぱ、こういう異世界ではギルドに行くのが一つ目の楽しみっ。……」



 戻ってみるとまだ少し人だかりはあったが、特に何も無かったかのように皆それぞれの生活に戻っていた。

「やっぱり壊れた痕は無いな……。周りの人に聞くのも面倒くさいなぁ」

 気になるけど、まぁそのうち分かるだろうと思ってその場をあとにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る