1.まずは街並み拝見、ってな

 目が覚めると、知らない天井だった……なんてテンプレートなことは無く、私はいつの間にか大きな街道を歩いていた。


 空は濃い青からうすい水色のグラデーションで、雲の白とのコントラストが映えている。地面は、石のレンガみたいな形のタイルで覆われていて、うすいピンク色やクリーム色だ。街道に沿ってわりと大きな木も生えている。


 周りに見える家は、木製っぽい柱と赤みがかった茶色やクリーム色の壁でできているように見える。扉の近くには、キラキラ光る何かが……浮いている。

「どうやって浮いてるんだろあれ…」


 何かいい匂いがするので、街道突き当たりの角にある、ガラス……にしては色んな色が入っている透明な壁の店らしきところへ向ってみる。

「パン……みたいな匂いがする」


 店に近づくと、何か変な感覚が。……中に入るための扉が無い。

 ふと、遠くから見えていたガラスらしき壁に触れてみた。──水に水滴を落としたような波紋が広がる。

「おお……。魔法、的な?」

 そのまま入れそうだったので、中に踏み込もうと


「ちょっと待ったあああぁぁぁぁっっ!!」

「ひょるぅぉわ!?」


 …変な声が出てしまった。なん


「そこから飛び退いてっっ!」


「え?ちょ、まっ」

 足下で閃光が弾ける。自分の身体が宙に浮く感覚。目の前が真っ暗になった。……腰も痛い。ついでに、さっき居た辺りで轟音が響く。

 棒状のものを振り回しているような、風を切る音がする。──フワッ。何かが耳の横を通った音がした。ゾワワァァっと鳥肌が立つ。

 まだ目の前は真っ暗だ。どうしよう。何か動かないとマズい気がしなくもない。……と、


「大丈夫……じゃなさそう!回復回復!」

さっきの驚かせてくれたやつの声が。

 腰やら手やらは打ったが、身体は動いている。死んではなさそうだ。良かった良かった。


 ざわざわとした声が遠くから聞こえ始め、木々も風に揺られる。目も光を受け入れ始めた。

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