第9話 騎士団実技大会 Ⅰ
さすがに凄い! 騎士団の大会は!
大会の会場の観覧席は2階席3階席のようになっている。
大会が行われる会場を上から見下ろす感じなのだが、どの席からもしっかりと試合が観覧できる!
キンっキンっカーン・・・・
剣の当たる音が会場中に響き渡る。
3歳の頃から父様に剣を教えてもらっていた私は、
この音が!
目の前で繰り広げられている大会が!
私の腕がうずうずしている! もちろん参加できるわけではないのだけれど。
あー!アーサー様だ!
金色の髪は遠くからでも凄く目立つ!
やっぱりカッコいいなー 。
アーサー様は最年少だけど、年上の騎士相手にどんどん勝っていく! 他にも招待されている令嬢達からの黄色い声援が飛び交う!
私もきゃーって言って応援したい!
けれど、ここは我慢!
アーサー様は攻略対象者なんだから、 アーサー様には近づかない方がいいかもしれない 。
叫びたい気持ちを押さえて胸の前で手を握りしめ 目を輝かせながらアーサー様を目に焼き付けていた!
隣に座っていたブラッドが
「オリヴィアはあの騎士が好きなの?」
アーサーを指している 。
「え?」
ないないない!もちろんゲームの中では1番好きだったけど アイドル的な感じだし見てるだけでいいっていうか・・・。
私が謝って以来、ブラッドとの会話は普通に出来るようになった 。
それが何だか嬉しくてブラッドが私を信頼しているんじゃないかと思うと安心するけど、 こういった質問はちょっと困る。
「あの騎士様若いのに強いなぁって、感心してるだけよ。」
「そう?オリヴィアあの騎士しか見ていないようだったから。」
ブラッドは私をずっと見ていたのだろうか?
その時だった!!
キーン!ヒュルルルーっ
剣のいつもの音と違う!そう思った瞬間 キラッと光るものが私達に向かって飛んでくるのがわかった!!
ヤバい!
私はとっさにブラッドの頭を体で抱え込むように庇い、 私の髪についていた銀の髪飾りをバッと外しその光るものを
バン!!
と弾いた!
カランカラン・・・・
弾かれた光るものは会場で騎士達が使っていた剣だった! 戦っている間に騎士の手から弾かれ勢いよく2階席に飛んで来たようだった!
会場は騒然とした!
「「オリヴィア!!」」
ブラッドと父様は私がケガしてないか心配で私の体を確認する!ブラッドは今にも泣きそうな顔で、 私は周りの人達に安心させるように
「大丈夫です!」
と軽く会釈して何事もなかったように席についた。
せっかくの大会だし!それだけ白熱してたって事だもんね!ケガしてないし、 大切にしていた髪飾りは壊れてしまったけどブラッドにもケガなくてよかったし、 大会の続きが見たい。
すぐに王宮騎士団長と副団長が私達のところにやって来た 。
「大変申し訳ありません!おケガはございませんか? 私は騎士団長のセドリック・バーデンと申します」
片膝を地面につけて頭を下げる。
13歳の少女に心からの心配と謝罪だった とても紳士だ!
「お立ちください!たいしたことじゃありません ケガもしておりませんし 大会を楽しんで観戦させて頂いております お気遣いありがとうございます。」
13歳らしからぬ返事だったかもしれないけど、 私はアーサー様が見たいし 目立ちたくないし もうほうっておいて欲しい!
よく聞いたら剣が2階席に飛んできたのは今回が 初めてらしい。
そんなの何回も来たら困るけど、 念のため2階席の1番前に何人かの騎士を置くことで 大会が再開されることになった。
少し周りはざわついていたが大会が再開されると みんなまた大会へと夢中になったようだ!
「オリヴィア!大丈夫なの?僕をかばったの?オリヴィアがケガがなくて本当に良かった!」
ブラッドの顔は真っ青だった
「大丈夫よ!ブラッドにケガがなくて良かったわ」
すると横からキャロルが
「ブラッド〜大丈夫ですか?ブラッドに何かあったら私・・・・」
キャロルがポロポロ泣き出した。
えーっと私は心配じゃないのね?
わかってたけど ブラッドは大丈夫だよっとキャロルの頭を撫でてキャロルを落ち着かせる。
いつもの二人の光景に私はまた大会へと目を向けた!
王族達の席に座っている第一王子アルバート殿下は顔が青くなっていた。
剣が飛んでいくところから全て見ていた。
もちろん私はアーサー様しか見ていなかったのでアルバート殿下がこちらを見ていた事に気づかなかった。
アルバート殿下の隣に座っていた第二王子エドガー殿下は逆に目を輝かせて私を見ていた事など、
私は知るよしもなかった。
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