第10話 騎士団実技大会 Ⅱ
大会は第二隊長が優勝した。
アーサーは3回戦で敗退だったが、
でもとーってもカッコ良かったー!
乙女のように感動に浸っていた 。
「先ほどは大変失礼致しました」
セドリック団長は大会後すぐに先ほど剣を飛ばしてしまった騎士と謝りに来てくれた。
人の目もあるし、 もう大丈夫だと伝えると騎士は軽く会釈して先にその場を離れた。
・・・・ ん?
何だか違和感があるけど・・・・ 。
別にいいんだけど謝ったのって団長で、さっきの騎士は一言も謝罪なかったよね? 悪気はなかったんだからいいんだけど、 セドリック団長が腰が低すぎるのかしら?
団長が
「奥の部屋へ、ご家族皆様を案内するように言われております。 どうぞこちらへ。」
大会も終わったのだから帰りたい。
もう嫌な予感しかしないんだけど 、部屋に通され暫くすると・・・・。
コンコンコン
扉が開きそこには第一王子のアルバート殿下がいた!!
あ・・・・悪い予感的中・・・・
さっき「また後で」って言ってたから、
「先ほどは騎士団の者が大変失礼をした!オリヴィア嬢は大丈夫でしょうか?」
アルバート殿下からのまさかの謝罪?
王族が謝罪なんてあってはならないのに、
「本当に大丈夫です!私はこんなに丈夫なのですから!」
元気をアピールしてみる 。
「ありがとう あなたの優しさに感謝します。」
とアルバート殿下は優しく微笑む。
その笑顔を見たキャロルは、顔を真っ赤にさせている。
恋に落ちたな・・・・
確かにアルバート殿下は、誰が見てもイケメン!銀色の輝いた髪に金色の瞳!もう全てが輝いている!しかも王子様だし、 ゲームの中の私も今のキャロルのようだったんだろうな 。
「妹のキャロルです!先ほどは姉が大変お騒がせいたしました!ごめんなさい。」
10歳とはいえ、もう女子だ!
かなりおませだが10歳で婚約者がいる人もいるのだから、いい物件は早くものにしたい気持ちなんだろうな。
ブラッドにあんなにベッタリだったのに王子様に自分アピールをすぐできるだなんて、これだとやっぱりゲーム通り、ブラッドに興味がなくなるんだろう・・・・
不安になる・・・・
アルバート殿下はキャロルにも優しく、微笑んでくれる。キャロルはその微笑みに当てられ、今にも倒れそうだけど。
「ブランジュ伯爵、少し話がある!人払いしてもいいか?」
王子からの申し入れに、父様は少し驚いた感じだったがすぐに襟を正し、
「大丈夫です」
といい 私達に先に馬車で待っているようにと伝えた 。
「オリヴィア嬢気をつけて」とアルバート殿下から気遣ってもらったから私は恐ろしくなった ・・・・。
まさかね 。
私達が馬車へと戻る途中、アーサー様とすれ違った! アーサー様は通路の端に避けてくれて軽く頭を下げてくれていた。
さっき試合を見たばっかりで、興奮冷めていないのに、アーサー様に会えるなんて! 通り過ぎる際に、私もアーサーに会釈した 。
顔を上げた瞬間アーサーと目があった!
青色の綺麗な瞳が私を見てる!
それだけで照れてしまう・・・・。
でもアーサー様に先日の非礼をお詫びしなければ・・・・ 。
「先日は夜会にて大変失礼致しました!本日は試合を観戦させていただきました!とても素晴らしかったです!」
と声をかけると、驚いた様子でアーサー様が固まっている感じだった・・・。
話しかけちゃダメだったのかな?
アーサー様はすぐに微笑んでくれて 、「観戦ありがとうございます」
そして
「オリヴィア嬢!私を思い出してくれましたか?」
「先ほどつけていらした髪飾り・・・・誰かにもらった物ではないですか?」
今日壊してしまったけど、この髪飾り? ポケットから髪飾りを取り出す。 手の中にある壊れた髪飾りをみかえした・・・・・・・・・・・
「あーーーーーーー!」
淑女らしからぬ声を上げた! そんな私に母様はため息をつく。
キャロルも冷たい目で私を見る。
5年前私が8歳ぐらいの時に領地にいた時期に、 近くの森で剣の稽古をしていたら・・・・・・・
『森の奥から子供の声がする!』 なんとなく胸騒ぎがして、木刀を持ったまま森の奥へと向かった。そこには兄妹であろう2人の子供が野犬に襲われそうになっていた! 妹を兄が体を張って守っている。兄は11.12才に見えた。
この状況をすぐに理解した! 私はすぐに彼らの前に立ち 木刀を構え、 地面を蹴ってくるりと反転しながら野犬の真上にジャンプし、そのまま野犬の頭に木刀を振り落とした!
バチン
と野犬の頭を木刀が直撃した!衝撃で野犬はひるみ その場から逃げ出していった。
うまくいった!
と私は安堵して 兄妹に
「大丈夫?もうあの犬来ないから安心して!じゃあね!」
って言って私は、その場から立ち去った。
その翌日にお礼の品として髪飾りが送られてきた『昨日はありがとう』というメッセージが添えられていた。名前は、なかったけど・・・・ 。
その髪飾りは凄く可愛かったから、今だに大切に使っていた。
珍しいデザインだったし
「もしかして・・・・5年前のお兄さんですか?」
恐る恐る訪ねる。
アーサー様は最高の笑顔で
「ああ!覚えてくれてて嬉しいよ!あの日名前も伝えずにすみません。オレはアーサー・アルディソンと申します。」アーサー様は、片膝をついて私の手を取った 。
「あの日あなたに命を助けて頂きました!あの日をとても感謝しています。あの日があったからこそ、騎士になると固く決めました。強くなったらあなたに会いに行こうと思っていました。」
「じゃあこの髪飾りはアーサー様が?」
「あの時は本当にありがとう」
アーサー様は軽く私の手の甲に口づけをした・・・・。
「今日は思いがけずお会いしてしまったのですが、良かったら後日お礼に伺います。」
といってアーサー様は去って行った・・・・ 。
嘘・・・・あれアーサー様だったの?
キャロルが
「姉様ずるい!何でアーサー様が姉様に?」
「姉様なんてただの山猿じゃない!!」
何かすごい言われよう・・・・
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