第5話 個性と欠陥

さて、ここで何個か問いを投げよう。


Q.出来損ないの人間が、他の人間と生活していくにはどうすれば良いだろうか?


A.自分を偽って生活すれば良い。


出来損ないには、偽らずに素のままに生きる権利は無いと実感してしまう。

普通の人間に、出来ないことを指摘される度、遠回しに嫌味を言われる度、死んでしまいたくなる。

しかし、普通の人間のように「死んだら責任も何も無い」と割り切ることも出来ずに生きている。


次。


Q.個性とは、この世の中で生きるのに必要か?不必要か?


A.そんなものは必要ない。過ぎた個性は邪魔にしかならない。



個性は良いものだという反面、世間様は生きるのに個性を許容なんてしない。

個性なんていらない。

個性なんて、幸せになる事が出来ないものの足枷にしかならない。


『人が無難という皮を被って生きていけるなら、誰もがそうするだろう』と、好きな小説に書いてあった。

間違いない。無難であることは、人の求める幸せへの近道である気がしてならない。



自分が嫌いだ。

他人も嫌いだ。

何もかも壊れてしまえと祈る事は最早日常だ。


個性と欠陥は同義語のような気がしてならない。


皆が皆、決定的な欠陥を持つ人間を「個性的な人」だと言う。

本人が欠陥を自覚していても、「それは個性だ」と励まそうとする。


なんの意味がある?

捨ててしまいたいくらい最低な人生の足枷に、一体、どれだけ私の人生は狂わされなければならない?


個性が価値になるとは限らない。

むしろ、無難であることが価値となる気がしてならないのだ。

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