第6話 頭に響くは真実か?虚構か?


──幻覚。


──『我思う故に我あり』とは、デカルトの言葉だったか。


また、哲学の一つには、「自らの認識したものでのみ自らの世界は構築される」という考えもベターである。

更に言えば、人間は等しく、自分の目でしか世界は見えない。


客観的事実?笑えてきますね。そんなものは存在しませんよ。


幻覚であっても、その人の目、耳──その他五感で感じ得るものなのだから、本人にとっては真実であり現実。幻では無いのですよ。


だとするなら、私の頭に響き続ける罵詈雑言も真実である。これは真か偽か、さてどちら?


どちらだろうと結果は変わらない。答えを求めるだけ無駄。これが答え。


まぁ、聞こえてくるものに耳を貸すのも馬鹿げているのですけれども。


しかし、きちんと聞こえて、きちんと責め立てるその声は、何年も、飽きもせずに私の心を抉るのです。


虚構とも真実とも言えないような声が、どこからがやってきて、私に対して言うのです。


「お前に生きている価値があると思っているのか?」と。


そこに揺さぶられる考え、心。

これは果たして真実なのか虚構なのか。

それを求めることさえ億劫になってきますね。


結論。

人が言うことが全て正しいとは限らないのですよ。

頭に響くものが真実だろうと、虚構だろうと、それが『正しい』という事を示すのは、悪魔の証明だと思うのですよ、私は。

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