吐露
7月に紫陽花が咲いている。
みっともなく生き遅れ、奇異の目に苛まれながら堂々と咲いている。何となく足を止めて覗き込んで見れば、なんて力強い色だろうか。飲み込まれそうな、深いマリンブルーに染みいった紫色。6月を象徴する天皇陛下の色だ。
常に潰れそうな無力感に見つめられている。逼迫する状況と、怠惰に逃げ続ける心とのいたちごっこをする毎日。いつしか余裕なんて消え去り、周りを一番優先して、自分なんて無くて、生が不安で死が恐怖で、でも、それでも、
――押し潰されていた方が心地良いなんて。
相反する心だろう? 酷く不揃いで、まばらで、実に不良品な心だろう。お前も同じなのか?
まばらに咲いて、二度と同じ色がなく、咲く時期を間違えている。似通って見える俺達だ。
しかし周りにどう見られても気にせず、何を衒う様子も何に憂う姿も見せないお前が実に憎らしい。 俺の情けない吐露と、朝露に輝く紫陽花が酷く対照的なコントラストを描くもんだから、俺はまた情けない。
湿っぽい朝焼けに、7月の上皇が燃えるように咲き誇る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます