吐露

 7月に紫陽花が咲いている。

 みっともなく生き遅れ、奇異の目に苛まれながら堂々と咲いている。何となく足を止めて覗き込んで見れば、なんて力強い色だろうか。飲み込まれそうな、深いマリンブルーに染みいった紫色。6月を象徴する天皇陛下の色だ。

 常に潰れそうな無力感に見つめられている。逼迫する状況と、怠惰に逃げ続ける心とのいたちごっこをする毎日。いつしか余裕なんて消え去り、周りを一番優先して、自分なんて無くて、生が不安で死が恐怖で、でも、それでも、

 ――押し潰されていた方が心地良いなんて。

 相反する心だろう? 酷く不揃いで、まばらで、実に不良品な心だろう。お前も同じなのか?

 まばらに咲いて、二度と同じ色がなく、咲く時期を間違えている。似通って見える俺達だ。

 しかし周りにどう見られても気にせず、何を衒う様子も何に憂う姿も見せないお前が実に憎らしい。 俺の情けない吐露と、朝露に輝く紫陽花が酷く対照的なコントラストを描くもんだから、俺はまた情けない。

 湿っぽい朝焼けに、7月の上皇が燃えるように咲き誇る。

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