第8話 エギラ
「おー! やっぱ見立て通りだな、アルボーグ!」
「え、ええ」
ナウークシはピンク色のノースリーブのワンピースを着せられており、髪もウルフカットになっている。本人は少々困惑しているようだが。
「いやー、やっぱりエギラの服がぴったりですねえ」
「ちょっと、悪意感じるんですけど」
「いや、別にそんな気は無いぞ? エギラ」
アルボーグ、エラールタともう一人、ブリック色のポニーテールの少女がいる。彼女はエギラと言い、見た目は年齢にしては少し小柄である。上半身はは赤茶色の緩いシャツで、暗い青色のゆったりとしたズボンを身につけている。それよりも目を引くのは、左頬から顎にかけての痛々しい傷跡である。薄赤色で、口の左側を少しかすめ、顎の裏まで達している。それ以外にも、左目だけがえんじ色であり、両腕が金属製の義手であったりと、サイボーグか何かのような雰囲気が見て取れる。
ナウークシが着ている服はエギラの所有物である。最も、彼女の容姿柄外出する時は皮膚の露出がほぼ無い服装をする為、特段重要では無い部屋着ではあるが。
「で、アルボーグさん? この子もファルバオーグの実験材料にでもするの?」
「いやいや、本人の意思が一番だからそんなに物騒なことはしないぞ」
「そもそも物騒な団体がそんな事言えっかよ」
エラールタが微妙に笑えないジョークのようなものを飛ばしたが誰も聞いていない。いつもの事であるためエラールタ本人も何も気にしない。
「て言うか、本人の意思どうこう言うならあたしはどうなのよ」
「いや、お前は、ほら、仕方がないところがあったろう」
「まあ良いわ。不満があるわけでもないし。じゃあ、部屋に戻るね」
「おいちょっとはナウークシと……」
「あっそ、じゃ、連れてくから、その子」
「あ、ああ。……ふぃー。ナウークシはエギラに任せりゃ良さそうですかね、ボス」
エラールタはあいも変わらず尊大な姿勢で安価な木製椅子に座っているが、その姿勢を正し、前屈みになった。
「そうだなあ、あいつももう15だっけか? そろそろ、年下の女友達が欲しいんかもしれんな」
「あの変にズレた倫理観がどう出るか、って所ですが」
「んなこたあキリがねえから考えるな! 命令だ!」
「えぇ……」
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