第11話 冬の風

「冬の風」


風が吹いている

寒いというよりは冷たい風だ

悲しい過去を思い出すような

凍えた風だ


雲がおおっている

曇天というよりも暗色の雲だ

寂しい町にふさわしいような

暗黒の雲だ


それでも生きてきたのは

そうするしかなかったからだ

それでもしがみついているのは

それしかできなかったからだ


風が吹いている

寂しいというよりは悲しい風だ



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