おままごと
昼下がり。
台風で休校になった娘は、リビングの床でおままごとをしていた。
私が買ってあげた熊や猫のぬいぐるみを使って、夕食の風景を描いている。
「おままごと?私もやっていい?」
娘は「ママは”ママ”の役ね」と猫のぬいぐるみを私に差し出した。
「”サキちゃん”は何が食べたい?」
「ハンバーグ!」
「分かった。”パパ”は?」
私が猫の人形を前後に動かしながら言うと、娘は口をとがらせて注意した。
「違うよ。”パパ”は死んじゃってもういない。それにママは”ママ”の役なんだから、ここで『うっ』って言って倒れないと」
あれから半年。
今朝、夫が交差点の事故で亡くなった。
相手の信号無視で、横から突っ込まれたという。
私の心には、妙なモノが引っかかって取れない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます