第4話 呪いという万能兵器

今回の話を書くにあたり、該当シーンを調べたらFC版では存在せず、SFCからの追加要素だと知り、人間の記憶って宛にならないのだなぁと思いました。


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「あれ?」


 敵幹部の攻撃方法を閲覧していると

『呪い』

 というものがあった。

 攻撃力は1。


 他の攻撃とは逆の意味で桁が違う攻撃だ。


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 そういえば某有名RPG2のリメイクで『呪い』でパーティの仲間が身動きとれなくなるというものがあった。

 とある宿に泊まると、翌朝味方の一人が身動きできず2人だけで呪いの解除方法を探すと言うものだ。

 ちなみに、宿に泊まらなければ回避できるものなので、やらなくても良いお使いイベントだったのが、非常にむかついたものである。


 考えてみれば、ただ具合が悪くなっただけなのかもしれないのに、何故敵の呪いと分かったのだろうか?

 そもそも呪いとはどんな状態なのか分からなかった。

 なので、聞いてみることにした。


「ああ、これはとある魔王が人間のカップルが気に入らないので嫌がらせに昼と夜に動物の姿にしたというのが発祥でな」

 昼は人間のオスがワニに。夜はメスが象に変化するというものだったらしい。


 気持ちは分かるが最悪だな、その魔王。


 というか、動物のチョイスがひどい。

「他にも、直接のダメージはないのだが遠隔からジワジワと嫌がらせをする技で、作った料理がすべてカレーになるとか、醜い緑色の巨人にするとかの方法がある」

 呪いってつけとけば何でもありかよ。

 原理は分からないが、恐ろしい技である。


「まあ、呪いをかけている間は術者も他の行動は出来ないし、死に至るような強力な呪いはないからあまり使えないのだがな。」

 …ということは、先ほどの魔王はカップルへの嫌がらせにすべてをつぎ込んでたのか。仕事しろよ。

「その恋人の姿を変えさせた魔王は3年間不眠不休で呪いをかけて、ついに倒れたという」

 バカだろ、そいつ。

「遺言は『リア充は死ね』だったそうだ」

 その嫌がらせを乗り越えた恋人たちは無事結婚。3児をもうけて幸せな家庭を築いたと言う。魔王、無駄死にである。


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「そういうわけで、この技はめったに使わないので一番下に封印しているというわけだ」

 なるほど。こいつほど強ければ、一人相手にチマチマ呪うより、直接殴りに行ったほうが効率がよいよな。

「うむ。私も四天王にとりあえず2・3の呪いを使ってみたが、たいした結果にはならなかったしな」


「へーどんな呪いなんだ」


「一つは頭髪が抜けて体臭が臭くなる呪い」

「「「「『とりあえず』でやっていい凶悪さじゃない!!!」」」」

 王様含めた男性勢がつっこんだ。

 というか、普通に相手を苦しめて衰弱させる呪いじゃダメなのか?

「そんな当たり前の呪いでは面白くないではないか」

 呪いに笑いとか魅せるプレイを持ちこむのもどうかと思うが。


「あとは、会議中に『生まれたことを呪いたくなれ程度の腹痛を起こさせて公衆の面前で漏らさせたり』『眼球の角膜にかさぶたを出して猛烈にかゆくさせたりする』程度かのう」

 きれいな顔してえげつない事を言う。

 仮に重役会議の場で、唐突に便意に襲われて漏らしでもしたら人間の場合、社会的に抹殺された事になるだろう。

 魔王軍はなんでこんなナチュラルボーン外道を敵に回したのか、理解できなかった。

「それじゃったら、寝る前に鼻の奥に異物感があって寝付けない呪い。とか、必ずお腹を出して寝てしまい、深夜に猛烈な腹痛に襲われる呪い。なんてのはどうじゃろう?」

 睡眠が一番の楽しみと豪語するスイヘイにとって睡眠を邪魔されるのは一番つらいのだろう。

「だったら、深夜に大声を出させたり、手足を無理に延ばさせて肉離れでもだえ苦しむ呪いなんてどうかしら?」

 こっちも発想がエグイな。

 こんなやつらと、共に旅をしていた事に恐怖を覚える。


 そう思っていると

「ああ、それは別の世界の魔王に試してみた」

 やってたんかい。


「ああ、睡眠を邪魔して思考能力や体力を奪ったうえで、会議の時に異変を起こさせた方が、呪いの掛かりが良いからな」

 何でも、被害者である魔王は、恩のある大魔王を真っ先に裏切ったので見せしめの意味も込めて、じっくりと嫌がらせをしているらしい。


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 後日、会議の途中で漏らしたため、話題になっていた魔王が職から追われると、こちらの方に使いが来て

「せめて、深夜の妨害行為は止めて頂けないでしょうか?(要約)」

 という文書を渡された。


 この泣き言を敵幹部はにっこり笑って「無理」と返答したため、魔王軍は呪いを妨害する結界ができるまでの間、侵攻がしばらく停止した。

 

 そのあいだに、魔王達の勢力図がかなり変わったそうだが、どのようなえげつない妨害が行われたか、怖くて聞けなかった。

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