第7章
第256話 とある未来の出来事
多種多様な種族が住む町『イチロウ』はルキフェルという非常に強力な魔族がトップに君臨し、町の平和を見守っている。
更にこの町はダンジョンを利用して作られているので、万が一の際にはダンジョンの機能を使い防衛する事も可能だ。更に町にはルキフェルには及ばずとも力ある者達が複数人住んでいるので、彼らの力を合わせれば町は並大抵の相手には負けない防衛力を持つ町となるだろう。
これだけ聞けば普通は『かなり防衛力に優れた町だ。落とす事は難しいだろう』と、そう考えるだろう。
しかしそんな町は今・・・陥落の危機に瀕していた。
「弱い・・・脆い・・・あぁ・・・何という罪だ・・・」
「魔王様!A地点の確認終了いたしました!」
「B地点も完了です!」
「ええ・・・ええ・・・勤勉である事は良きこと・・・続けなさい・・・」
それを成しているのは魔王と呼ばれた1人の男と彼の部下・・・いや、実質魔王と呼ばれた男1人が町の者を尽く殺しているので、魔王1人が成しているといってもいいだろう。
「しかしどうしてこうも弱いのか・・・あぁ・・・罪だ・・・」
この町には強者が居るといったがこの魔王にはその者等が束になっても敵わず、今や町には強者と呼べるのは唯一人になっていた。
「貴女もそう思いませんか・・・お嬢さん・・・」
「思わないかな。悪いのはどう考えても意味無く攻め込んで来た君らっしょ?」
それはこの町の頂点、小さくも老練な魔族ルキフェル。彼女は逃がせる者達を逃がしてからやって来た為遅れて来たのだ。
だがそれを彼女は今、失敗だったと後悔していた。
「で、攻め込んできたのは君みたいな奴が居るからだよね?失敗したなぁ・・・流石にここまでの奴がいるとはねぇ・・・」
「御褒めに預かり光栄ですね・・・」
「褒めてないよ。寧ろ貶したいね」
「おおこわいこわい・・・」
しかしこれ以上後悔しても仕方ないと、これ以上の狼藉を許さないと気持ちを切り替え、敵を排除しにかかった。
「そうかい。んじゃあもっと怖い所見せてあげるよ」
「そうですか・・・出来るといいですね・・・」
「出来るさ。やって見せるさ。いや・・・見せてやろう。貴様が落ちるに相応しい地獄をな」
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2人の強者がぶつかり合ったその余波により、町は7割方が崩壊した。ダンジョンなので即修復可能だとはいえ、広大な町を余波だけでここまで破壊する力のぶつかり合いだ、両者共に無事ではなかった。
「確かに更なる恐怖を覚えましたよ・・・ええ・・・。しかし・・・地獄は見れませんでしたね・・・寧ろ・・・」
「・・・」
「貴女の方が地獄を見そうではありませんか・・・?」
「・・・黙れ」
・・・確かに両者共に無事ではなかった。が、状態は誰が見てもルキフェルの方が悪く見えた。
「ふふ・・・しかし愚かですね・・・。仲間を見捨てていれば今頃倒れていたのは私の方だと言うのに・・・。愚かは罪ですよ愛されし皆の魔王様・・・?」
それはルキフェルのが弱かったと言う訳ではなく、戦いの途中で避難中だった町の人達を庇ったからだ。
「ですが残念でしたね・・・折角庇ったのに無駄骨・・・。これぞ骨折り損というモノですか・・・文字通りのね・・・ふふふ・・・」
だがそれは男魔王の言う通り、庇ったが助けられないと言う結果になった。勿論全員助けられなかったわけではなかったが、それでも半数以上が男魔王の手にかかっていた。
そしてその中には・・・
「しかしあのエルフは少しもったいなかったかもしれませんね・・・あそこまで稀有ならば罪が許されたかもしれなかったのに・・・」
町の名前となった魔物、一狼が大事にしている者達も含まれていた。
「・・・っく」
ルキフェルはそれを聞き、悔しそうに唇を噛んだ。何故なら、今はいない一狼が帰って来たら悲しむだろうからだ。それこそ・・・数か月は動けなくなるほどに。
だがそれは今考えるべき事ではなかった。
「それは貴女も同じですが・・・残念ながら貴女は生かしておけませんからね・・・。さぁ・・・そろそろ罪を清算する時ですよ・・・天軍よ・・・」
いや、考える意味がなかったのだ。
「・・・っ!」
何故なら彼女も・・・
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こうしてダンジョン内にあった町は陥落、美しく作られた町並は尽く破壊された。
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作者より:再び唐突な謎プロローグで始まる第7章です。プロローグ的なモノですので、短いのは勘弁してください!
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