第255話 不思議と言うよりおかしいダンジョンとわんちゃん
線路の上に置かれた乗り物に、その乗り物と管の様なモノで繋がっている銃の様な物。これは遊園地に行ったことがある人ならば、何となく心当たりがあるアトラクションだろう。
「ごぶ!おもしろかったごぶ!」
「うむ。新鮮な体験だったのじゃ」
「中々作り込まれてんじゃねぇの・・・やるやん?」
そんなアトラクションから降りた俺達は、口々に感想を漏らしながらキャッキャとはしゃいでいた。
「キャラクターが喋ったりナレーションも付いてたからストーリーも何となく解ったし、点数で分岐している様な感じもあった。控えめに言ってニッコニコの花丸ですね、うん。」
更に俺はこのアトラクションの批評も始めてみる。何てったって俺は学生時代『ガンゲーのイッチー』と呼ばれていた男だ。評価しなければ無作法というモノだろう。
あ、因みに正しく評価をするために、俺は『シェイプシフト』でエルフの姿へと変身している。
「ごぶ。もう一回乗るごぶ」
「ああ、そうだな。もう一度じっくりと乗って、更なる評価を・・・って乗らんわっ!つか、何でいきなり遊園地のアトラクションやねん!」
が、俺は突然正気に戻ったので変身を解き、遅らばさせながら突っ込みを入れさせてもらった。いやね、俺は学生時代(ry
と、俺の学生時代の話はこれくらいにして、マジで何だったのかを考えてみる事にする。
と言っても答えは簡単、というか1つしかないだろう。
「やっぱりここも転生者の手が入ってるダンジョンってことだよな」
そう、ダンジョンの最高峰と呼ばれるこの神造ダンジョン『悪鬼』は、転生者が管理しているダンジョンなのだろう。
だがそうなると、1つ疑問が出て来る。
「ふぅむ・・・なぁニア」
「ん?なんじゃ?やっぱりもう一回アブダクションに乗るのかや?」
「勿論乗る・・・いや、乗らん!しかもアブダクションされてたまるか!アトラクションだわ!」
「そうかや。で、違うと言うなら何なのじゃ?」
「いやな、この『悪鬼』ダンジョンって、造られてからどれくらいか解るか?」
そう、俺が疑問に思っていたのは造られて
(あまりに昔だとその転生者生きてないだろうからな)
現代人云々は『時空の流れがうんたら・・・』なので気にしないが、『5000年前にできたダンジョンだ』とかだったら本人は流石に生きていないだろう。
まぁ生きていたらどうだと言う事も無いのだが、一応知っておきたい所なので確認した次第だった。
「ふむ・・・どれ位だったかの。話でしか知らんかったのであまり定かではないのじゃが・・・そうさな・・・1500~2000年位だと思うのじゃ」
ニアの答えは大分ブレ幅があったが、最低でも1500年位は昔に出来たと言う事でいいだろう。
となると確実にここを作った転生者は生きていないだろう。
(・・・いや、待てよ?)
「ふむ・・・因みに転生者だとそれ位生きている奴いたりするか?」
「・・・ああ、そう言う事かや。無い事も無い、と言うのが答えなのじゃ。妾が知っておる者でも数人はおる。が、そ奴らは種族的に寿命が無いか長命な奴らじゃ。一狼の様な普通の・・・普通かや?まぁ普通としておこう。普通の種族だと、普通に死ぬのじゃ。じゃからここの奴が生きておるかどうかは不明じゃな」
「そうか」
実は転生者寿命が無い説を考え尋ねてみたが、普通に死ぬみたいだ。が、長命種もいるみたいなので『いる』と考えておいた方がいいかもしれない。
「まぁでもあれか、あくまで『俺達が強くなる&ポンコを神造ダンジョンにする』が目標だから、ここに居る奴を倒す必要もないか」
確認はしたが、本当に一応確認したかっただけなので気にしなくていいと俺は結論付け、それよりは強くなるためにレベルアップする事が重要だと再確認をした。
なので俺は渋るごぶ助を強制的に背中へ乗せ、奥へと向かって進んだ。
・
・
・
・・・そんな25階層だったが、結局あれから探索したにもかかわらずアトラクションくらいしか見当たらなかった。
なので俺達はサッサと26階層へと降りていた。
「さ、頑張るぞい!」
「ごぶ。頑張るごぶ」
更に26階層へと降り立つと、25階層の誘惑で緩んでしまった気を引き締める為に喝を入れていた。・・・いやまぁ、こんな緩い掛け声で本当に喝が入ったかは微妙だろうが。
「いや、入った。入った筈だ!よし!行くぞごぶ助!」
「ごぶ!」
しかし無理矢理入ったと言う事にして、俺達は早速探索を始めた。
すると・・・
「む・・・罠の反応だな。それに・・・」
「ごぶ?敵ごぶ?」
「ああ!3体だ!」
どうやら26階層は真面目に殺しに来ている階層だったらしく、罠有敵有の普通の階層だった。
名前:
種族:ヴァンパイア
年齢:-
レベル:26
str:1331
vit:705
agi:1208
dex:899
int:1001
luk:188
スキル:腕力強化・小 再生・中 爪術 霧化 剣術 血術
ユニークスキル:
称号:
しかも敵が割と強く、ガチだった。
いや・・・
「っち・・・アイツラ隊列組んでやがるな・・・連携に気をつけるぞごぶ助!」
「ごぶ!」
頭を使って戦ってきそうな感じだったので、ガチガチのガチだった。
だがそんな奴らでも負ける俺達ではない。
【ごぶ助!先頭の奴とかち合いそうになった瞬間『雄たけび』を使う!一瞬でも固まる筈だから、その隙に分離して後ろの2体を別れて叩くぞ!】
【ごぶ!】
俺は直ぐにごぶ助へと指示を出し、敵へと攻撃を仕掛けた。
「ウ オ オ オ ォ ォ ォ ン ッ ! !」
「「「ギッ!?」」」
【今だごぶ助!俺は右!お前は左だっ!】
【ごぶ!】
ごぶ助は俺の指示に従い、俺の背中から左の敵へ向けてジャンプした。
そしてそのまま空中から敵を唐竹割りして見せた。
【こっちも行くぜ!喰らえ新技!炎爪!】
それと同時、俺も右の敵へと爪に炎を纏わせ上から下へと引き裂いた。
「「ッッガァ!!」」
ごぶ助と俺の一撃は、完全に死に体だった2体の敵を葬った。
そうなると後1体も余裕で倒せる・・・と思っていたのだが、敵は色々な物語に出て来る強敵ヴァンパイア、一筋縄ではいかなかった。
「ブラッドウェポン!キィェェェッ!」
「そんな攻撃当たるかよ!おらぁっ!反撃・・・なっ!すり抜けた!」
「キェェッ!キィヤァァ!!」
「うおっ!ほっ!おらぁっ!ってまた!」
魔術の様なモノは使って来るわ、攻撃しても何故かノーダメージだわと、先程一撃で倒せたのは何だったのかと言うほどの凶悪っぷりだった。
しかし・・・凶悪っぷりならこちらも負けてなかった。
【ごぶ!我に任せるごぶ!ごぶりゃぁぁぁああっ!!】
「ギッ!?ギェェァアアアッ!!」
ごぶ助がごぶ助カリバーを振るうと攻撃はすり抜けず、スパッとヴァンパイアの右手を落として見せたのだ。
「ナイスごぶ助っ!って・・・そう言う事か!」
そしてごぶ助がヴァンパイアの右手を落とした事で、俺の攻撃がすり抜けていた理由が解った。・・・『霧化』だ。
「物理無効って訳でもないだろうが、ある程度は無効にできるって訳か」
詳細を見ていなかったので想像だが、恐らく『霧化』は霧になっている間は物理無効になるとかそういうモノなのだろう。
しかしごぶ助カリバーは世界樹製、生命属性とかそんなあれがついてあれなのだろう!
「適当過ぎるか・・・ってまぁいい。ごぶ助さん!やっておしまいなさい!」
「ごぶ!」
・
・
・
とまぁ、そんなこんなでガチガチのガチ階層でも問題なく狩りを続け数日経ったある日、突如俺の頭に語りかけてくる声があった。
【一狼・・・聞こえてる一狼・・・】
これに俺は当然の如く『ハッ!コイツ頭の中に直接・・・』と小ネタを挿んだのだが、後に聞いた内容で、『そんな馬鹿な事をしている場合じゃなかった』と反省する事となった。
それというのは何とも信じられない、こんな内容だった。
【ダンジョンが崩壊する未来が見えたんだって!今すぐ帰って来て!】
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作者より:読んでいただきありがとうございます。
ここで突然ですが、6章終了のお知らせとなります。・・・いえ、展開的には区切らなくてもいけるはいけるんですが、区切らないと4章みたく延々と続きそうで。しかし特に何も変わらないので、そのままお楽しみいただけたら幸いです。
後、最後になりますが、6万PVをいつの間にか達成していました。ありがとうございます!ここまで読んでくれているコアユーザー様には更に感謝を!
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