第248話 迷宮と町へ向かうわんちゃん
『神造迷宮』・・・それは数千年の昔から存在するという、最高峰ランクのダンジョンで、曰く『名の通り神が創った』やら、『強さを積み重ね、神が住むにふさわしい場所に至った』、そんな風に言われている場所らしい。
俺としても1つの目標として、『神造迷宮へと行き強くなる』というモノがあったので、『神造迷宮が近くにある』というのはとてもいい知らせだった。
なので俺はルキから話を聞いた翌日、早速そこを目指して出発する事にした。
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「本当にすまんが行って来る。エペシュもごめんな?」
「はいはーい。いってらっしゃーい」
「ううん、いいよ。いってらっしゃい」
翌朝、俺はルキやエペシュ、長老等の数人に見送られ町から出発した。
因みになぜ謝っているのかと言うと、安定して来たとはいえ出来たばかりの町を放り出していくから、それとエペシュに関しては、彼女が付いて来た理由に対してだ。
(まあ、何かヒントになりそうなことがあったら呼び出すとは言ったしな)
エペシュが俺について来たのは『エルフの繁殖方法とそれに伴うゴブリンの関係』、これをどうにかする方法を探す為だったりしたのだが、今回は行き先が神造迷宮という事もありお留守番してもらう事にしたのだ。
しかし何時でも帰れる・・・というか、毎日この町があるポンコダンジョンへとレモン空間を通じて帰って来るので、さほど気にしてもいない様だったが。寧ろ気にしなさ過ぎて、俺の方が『ちょっとくらい気にしてくれても・・・』となるほどだった。
(っふ・・・ツンデレさんめ・・・デレを早めに頼むぜ?)
ツンデレエルフの女神を心に浮かべながら走っていると、フラフラしていたのか背中の鞍に乗った人物に鞍をポンポンと叩かれた。
「ああ、すまんすまん」
「ごぶ」
背中に乗った人物は、今回唯一の同伴する人物である。それは声で解ったと思うが、ごぶ蔵・・・ではなく、ごぶ助だ。
「ダンジョンの防御が固まるって最高だな」
「ごぶごぶ。自由に動き回れるのは楽ごぶ」
今までは俺達の戦力的に俺、もしくはごぶ助がダンジョンを守っていないと少し不安だったのだが、今回大勢の仲間が増えたことによりその心配がなくなった。なので2人共が出掛けれるようになったのだ。
「すまんなごぶ助。今まで不自由させて」
「ごぶ?問題無いごぶ。役割は大切ごぶ」
俺は今までダンジョンに縛り付けていたごぶ助へと謝る。だがごぶ助は何ともないといった感じに笑って許してくれた。流石の器である。
「ありがとうな。・・・っし、そんじゃ久しぶりに暴れようぜ相棒!」
「ごぶ!」
そんなごぶ助に礼を言い、俺は目的の場所を目指しひたすらに走った。
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・・・のだが、近いとはいえ意外と距離はあるので、夜は普通にダンジョン町へと帰って来た。
「ただいまー」
「おかえりごぶ。ご飯出来てるごぶよ?それともお風呂ごぶ?それともそれともまさか・・・」
「ごぶ。ただいまごぶ。我はご飯ごぶ」
「俺もだ」
「妾もなのじゃ」
「・・・解ったごぶ」
ダンジョン町へと移設した住居withごぶ蔵食堂へと入るとごぶ蔵渾身のボケに出迎えられたが、それは難なく天然ごぶ助に破られてしまった。が、俺としては突っ込みが面倒だったので助かった。
そうしてごぶ蔵のボケを殺した後俺達はご飯を食べ始めたのだが、合間合間の雑談に上がるのは、走っている最中にもしていた神造迷宮の話である。
「へぇ・・・って事は、ニアも今から行く所の底までは行っていないと?」
「うむ。行って行けない事は無いのじゃが、時間が掛かるし謎解きも多いのでな、面倒だったのじゃ」
「ごぶごぶ。最終的に辿り着いた階層の敵はどの位の強さだったごぶ?」
「そうじゃな・・・30ごぶ蔵くらいかの?」
ニアが特に重要な話だとは認識していないのか、意外とペラペラと喋ってくれるのでそれで情報収集も兼ねる。
そうして話していると食堂へルキが現れたので、彼女にも質問をしていく。
「・・・って感じかな?あ、そういえば、ボクが言った事も忘れないでよ?」
「ん?ああ、解ってる。一度は町にも寄ってみたかったしな。だから心配すんな」
「ん!それならいいんだ!」
すると質問をし終わったくらいに、逆に質問をされてしまったので、俺は問題ないと返しておく。
これと言うのは、俺が神造迷宮の事をルキに聞き、そこに行くと言った時頼まれた事である。
それは・・・偵察だ。
「最近また落ち着いて来たけど、何回か波があるモノだからね」
「そうなのか?」
「うん。ごたごたって2,3年位は続くからさ」
実は神造迷宮がある場所の近くには大きな町があるらしく、ここ半年ほど戦いが頻発していた理由はその町にあるらしいのだ。
なので俺はルキに、『神造迷宮へと行くのなら、ついでにそこの様子を見てきてほしい』と偵察任務を頼まれたという訳だ。
しかもその町なのだが、なんと・・・愛称の魔王ではない本当の魔王が居るとの事だった。
「新しい魔王が強ければ1年程なんだけどね。弱かったら『俺も!俺が!』って感じでドンドン名乗りを上げちゃって、泥沼化するんだよね!あはははは!」
「笑い事じゃないが?」
と言っても、本物の魔王というのもRPGゲームに居るようなラスボス的なモノでなく、神様から認められた王様的なモノの様でポコポコ生まれるのだそうだが。
「ま、確実に様子は見て来るから安心してくれ。それより、土産に何か買って来るか?」
「お、余裕じゃーん?えっとねー、じゃあ・・・」
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この様に、移動と帰還&雑談を繰り返し移動を続ける事10日程、漸くその町とやらに辿り着く事となった。
「資金に出来そうな物も獲れたし、完璧だな」
「ごぶ」
因みに本当はもう少し早く着く事も出来たのだが、途中途中でお金になりそうな魔物を狩ったり、薬草を採ったりとしていたので時間が掛かってしまった。だがそれはルキや他の皆に頼まれたお土産を買うという使命もあるので、仕方のない事だったのだ。
(エペシュたんにどんなプレゼント渡そうかなぁ・・・え・・・エロい下着でも渡すか!?くひひひ・・・)
と、言い訳をしつつ、俺は町へと入るために門へと向かう。
「次ぃ~!」
一応門には門番が居るらしく、中へと入る者へと手続きを行っていた。ルキ曰く、知性と理性ある魔物を選別意味合いもあるらしいので、なるべく賢そうにしていた方がいいとの事だった。
「次ぃ~!」
なので俺とごぶ助は門番に呼ばれた際、心なしかキリッとした顔をして門番に相対した。
「ぶふっ・・・エ・・・エルフと魔物が2人か。そっちの方は大丈夫そうだが、変な顔をしている方は大丈夫なのか?凶魔じゃないか?」
・・・思いっきり馬鹿にされたがな!
と、そんな俺を余所に、大丈夫そうな方こと普通に姿を見せていたニアが門番へと応え、やり取りを始めた。
「うむ。そっちの変な顔をしている方のも知魔なのじゃ。言葉も話せるのじゃ」
「そうか。住人じゃないよな?」
「うむ」
「じゃあ中へ入るのには1人鉄貨1枚、3人分で鉄貨3枚になる」
それを変な顔の方こと俺は肩を落としながら見守ったのだが・・・大変遺憾である。
なので俺が溢れるインテリジェンスで『凶魔』と『知魔』について説明しておくとしよう。
まぁこれは要するに『
「入ってヨシ!次ぃ~!」
そして知魔と判断された俺は勿論弾かれる事も無かったので、お金を払えば通されたのだが・・・この入場検査かなりザルなのではないだろうか?
「一部例外も居るが9割方の魔族は大ざっぱな性格なのじゃ。じゃから『これ以上細かくするのは無理・・・』と聞いたことがあるのじゃ」
「魔族の方がよっぽど知性と理性足りてねぇじゃん!マジ○ァック!」
そんな事を考えているとニアから説明がなされ、俺は人が多い門付近でついつい叫んでしまった。
それが良くなかったのだろう・・・
「Hey, what did you just say? Are you licking it?(おい、今なんて言った?舐めてんのか?)」
「オ・・・オゥ、ソ・・・ソーリー・・・」
滅茶苦茶絡まれてしまった。
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作者より:読んでいただきありがとうございます。
「面白い」「続きが気になる」「ソ・・・ソーリー!」等思ったら☆で高評価や♡で応援してください。
☆や♡をもらえると ごぶ蔵が 英会話教室を開いてくれます。
こちらも連載中です。↓『悪役令嬢は嫌なので、魔王になろうと思います。』
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