第247話 宴会の主役とワンチャン

 お詫び:本文を少し修正。流れなどは一切変わっておりません。 2023/2/8

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 そう・・・大宴会を開いたのだが・・・


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「やぁやぁ!皆楽しんでるかな?・・・おー、君も来たんだね?いらっしゃい」


「ではこれより主のお声がけを持って大宴会の開催とする!主!頼みます!」


「まてぇぇ!俺はみとめねぇぞぉぉ!」


「あぁ~、まさかキミ『俺の方が強いから俺が王になる』ってタイプの人?」


「そうだぁぁ!俺がぁぁお前をぉぉぶっ潰してぇぇ王様になるぅぅ!」


「やれやれぇ~・・・そいやっ!」


「あぁぁ?・・・あびぇぇっ!」


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 予想外にもこの様に血生臭い事件が起こる事となってしまった。


「あー、やっぱ外部にも『参加OK!』とか言ってしまったからか」


 因みにこの事件の被害者なのだが、見たことがない人物だった気がするので恐らくだが外部の村から来た馬鹿だったのだろう。目出度い事だと思い、今までの確執を水に流すつもりで外部にも告知してみたのだが・・・失敗だった様だ。


(まぁでも、流石に他の奴らは大人しくしてんな。あんな特級の馬鹿はそうそういないって事か)


 外部から来たものは他にも居たようだが、彼らはある事に驚愕し比較的大人しくしていた。

 それというのは、現在居る魔王城に関連がある。


 ・・・と、その前に魔王城について少しだけ説明しておこう。

 魔王城と言うのは、俺がつけたルキのナイスネーミング『魔王』から来ている。

 そしてこの魔王城は、少し特殊な造りをしていたりする。実は魔王城・・・『岩山の中にあって岩山の中に無く、岩山の上にあって岩山の上にない』のだ。・・・いや、謎々ではないぞ?

 これはギミックを解説すると何となく理解してもらえると思うので、解説してみよう。

 この魔王城は岩山の中のダンジョン町の中央辺りに建っているのだが、魔王城の敷地内へと入るとダンジョンのトンデモパワーを利用して上・・・町がある岩山の上に建てられされている同一の建物、そこへと移動する様になっている。・・・ここでまた新たな謎システムが出て来たが、これは2つの建物を同一の存在とするシステムで、Aという場所に入った時、Bと言う場所に中身を複製し、同時に存在する様にするというものだ。


 と、長々と説明してしまったが、この魔王城の仕組みで外部から来た者達は『あれれぇ?おかしいぞぉ?町の中にある城に入ったのに、外から見えていた岩山の上の城にいるぅ?変だなぁ?』と言う感じで訳がわからなくなり、結果ビビり散らしているのだ。

 

 (でも何故かビビらずにイキっていたあの魔族、実は大物だったり・・・はないか。唯の特級馬鹿だったのだろう。ま、どうでもいいか!それより今は楽しもう)


 破裂した馬鹿や外部から来た脳筋達の事を考えるのはここまでとし、俺は宴会を楽しむことにした。


「おーい!俺もその『今日の魔王様だ~れ』に入れてくれ~」


 取りあえずは、可愛い子が揃って『王様ゲーム』的な事をしているあそこへと混ぜてもらう事にしよう、そうしよう。


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 と、そんな楽しい宴会が続く中、俺はふとルキの姿が見えない事に気付いた。


「んん?主役は何処へ行った?・・・お?」


 なので彼女の姿を探してみると、バルコニーで夜空を見ながら黄昏ている姿を見つけてしまった。いつも元気な姿しか見ないので気になり、俺は声を掛けてみる事にした。


「主役様が何してるんだ?かくれんぼか?」


 バルコニーへと出て声を掛けると、彼女は何故か少し驚いたような姿を見せた。そんなに気を抜いていたのか?なんて思っていると・・・


「まぁ・・・正解?でも良く見つけられたね。ボクの魔法を見破るなんてすごいじゃん」


 どうやら魔法を使い姿を隠していたのに声をかけたので驚いた様だった。


「え?あ~・・・まぁな?俺位にもなると、余裕ってなもんよ、マジで(キリッ」


 俺としてはルキの魔法を見破った感覚など無かったのでポカンとしてしまったが、何となく見栄を張るつもりでキメ顔を彼女へと送った。

 しかしその様子がおかしかったのか、ルキはいつも通りの笑顔でカラカラと笑い出した。


「ぷぷっ・・・何その顔。あははは!」


「いや、キマってただろう?」


「キマってないよ!あはははは!おしっこ我慢してるドランみたいな顔だったよ!?あはははは!」


「なん・・・だと・・・」


 あんまりの言われ様に俺はショックを受けてしまう。が、気安い感じのルキが言って来た事もあり俺は直ぐ立ち直る。

 そして逆襲だ!と言わんばかりに、俺のモフモフ毛皮で彼女を包んでやった。


「っふ・・・どうだ。動けんだろう?罰としてこのまま尿意が爆発するまでくるんでおいてやる!」


「えぇっ!?・・・え?一狼ってそう言う感じの趣味があるの?」


「・・・ないが?」


 だが俺の稚拙な逆襲はさらりと躱され、逆に一手をかまされた。・・・流石はロリババア枠である。

 とまぁ、これ以上何か言ってもまた逆襲されそうだったので、俺はそれ以上は言い合う事をせず黙っておく事にした。

 すると彼女も満足したのか、それとも俺のモフモフに魅了されたのかは解らないが、それ以上は何も言わずに黙り、再び夜空をぼぉ~っと見上げ始めた。


(ふむ・・・?)


 なのでなんとなく俺もそれに習い、夜空をボォ~っと見上げ始める。


(このところ忙しかったからなぁ・・・ボォ~っとするのも癒されていいかもしれんなぁ)


 俺とルキはその後暫くは唯々無言でボォ~っと夜空を見上げていた。

 しかし、不意にルキがぽつりと言葉を漏らした。


「ありがとうね一狼」


 俺はボォ~としていた事もあり、返事をするのが遅れてしまった。だが俺の返事は重要じゃなかったのか、ルキはそのまま独白の様に呟き始める。


「こんな感じで、色んな種族の子達で集まって暮らすのって無理だと思ってたからさ、実現させてくれてありがとう。しかもこれだけ大所帯になったら流石に好戦的な奴らも攻めてこないだろうからさ、安全もくれてありがとね」


 ルキはそう呟いた後体の力を抜き、包まれていた俺の体に顔ですりすりとし始めた。


「最初は『また変な奴が流れてきたなぁ。始末しといた方がいいかなぁ?』とか思ってたけど・・・仲良くなって良かったよ。ま、やばい奴が居たから、どっちにしろやらなかっただろうけどさ」


 そんな甘えるような仕草をしながら、ルキは何とも物騒な事を口にする。やはり彼女も長きを生きる魔族なのだろう・・・恐ろしい。


(ひぇっ・・・)


 と、そんな事を言われてしまったモノだから、俺の心臓は少し鼓動を速めてしまう。・・・それが解り面白かったのだろう、それまでの無邪気そうな笑みがなんとなく妖艶なモノに変わった気がした。


「ふふ・・・どうしたんだい一狼?お姉さんの魅力にドキドキしちゃったのかなぁ?」


「し・・・してないが?」


「ほんとうにぃ?ふふふ・・・」


「ほ・・・ほんとだが?あ、それよりもだ、言いたい事があったんだ!」


 俺をからかうのが面白かったのか、ドンドン様子が怪しいモノに変わっていく。実は隠れSとか、オネショタ趣味なのだろうか?

 それを受ける事もやぶさかではなかったのだが、こんな人から見えそうなところで受ける度胸は無かった為、俺は話をそらすための話をしようとする。


「んん?なぁに?愛の告白かな?しかたないにゃぁ・・・」


 →『しかし魔王には効果が無かった』


 →『勇者一狼は新たに強引に押し通すを実行した』


「いや、あの・・・こんな状況になって早々悪いんだが、旅に出させてもらおうと思っているんだ」


「え~?そうなのぉ?・・・そうなの!?」


 強引に押し通した結果何時もの感じに戻ったので、俺はホッとした6割、残念だと思う4割という心境の中、話を続けた。


「ああ、状況は大分落ち着いたからな。それにダンジョンの守りもルキや皆が居て気にする必要もなくなったから、したかった事をしようと思っているんだ」


 これはダンジョン改造計画があった少し後から考えていた事で、実行するにはそれが成った今が丁度イイだろうという思いから言い出した事でもあった。


「へぇ?」


「何時か話しただろう?俺は強くなりたい・・・最強を目指しているんだって。つまり、武者修行の旅に出たいんだ」


「あー、確かに言ってたね・・・ふぅむ・・・」


 俺が話を続けるとルキは少し考え込み出したのだが、俺を行かせるとどうなるかと迷っているのだろう。

 なので俺は補足事項を伝えた。


「旅に出るって言ってもだ、俺には特別な移動方法があるだろう?あれで日帰りも出来るから心配はいらない。何かあってもすぐ戻れるからな」


「え?あー、別に文句があるから考えていた訳じゃないよ?」


「そうなのか?」


「うん。一狼も言っていた通り、ボクや皆が居るからよっぽどの事じゃない限りどうにでもなるしね。町の運営的にも一狼や他の子達が必須って訳でもないし」


 だがそれは杞憂だった様で、彼女が考えていた事は別の事だった様だ。その内容と言うのは・・・狩場の事についてだそうだ。


「いやね、良いレベル上げの場所あったかなって思い出してたのさ」


「おお!?」


「で、思い出したよ。確かね・・・ある場所にとってもいい場所があった筈だよ!」


「へぇ?そんなにいい場所なのか?」


 そしてその狩場と言うのはなんと・・・


「勿論さ。なんせそこは最難関迷宮・・・『神造迷宮』の1つだからね!」



 最難関ダンジョンだと噂の『神造迷宮』だった。


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 作者より:読んでいただきありがとうございます。

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