第240話 ダンジョン攻略に向かうわんちゃん

 ダンジョンコアであるポンコと、何故か俺以上にダンジョン弄りが上手いごぶ蔵。このゴールデンタッグにいきなり問題が生じたのかと、俺は2人の元へ向かい話を聞いてみた。


「おいおいおい、いきなり問題か?どうしたんだ?」


「ごぶごぶ」


【ごぶ蔵様が言う規模は今のポンコでは無理ナのデス】


「ふむ?」


「ごぶ?」


 どうやらポンコが言うには、ごぶ蔵が計画した建設計画が今のポンコにはキャパオーバーだという事だった。

 しかしそれは少し前にルキに貰ったダンジョンコアを融合させたことで解決した筈だ。なので疑問に思い俺はそれを聞いてみた。

 するとだ・・・


【融合した結果ヲ話しテイマせんでしたネ。アレだけでハ足りないのデス】


「あ・・・そうなんだ・・・」


 何やら詐欺みたいな事を言って来たのだが、ポンコツから詐欺師へとジョブチェンジしたのだろうか?・・・いや、ポンコツって職業じゃないか。

 とまぁポンコのジョブチェンジはさておきだ、どうやらごぶ蔵がポンコへと伝えた建設計画に今の状態ではキャパオーバーという事なので、ごぶ蔵に計画を練り直してもらうしかないだろう。


「ごぶ蔵」


「ごぶ?」


 俺はごぶ蔵へとそれを話し、もう少し軽め・・・取りあえず最低限の計画へと変更してくれと頼んでみる。

 ごぶ蔵はそれに頷き、再びポンコへと計画を伝え始めたのだが・・・


【無理デス】


「ごぶ!?なら・・・」


【無理デス】


「ごぶぅっ!?」


「・・・」


 すべて却下されていた。

 これはポンコがポンコツなのだろうか?それともごぶ蔵の計画がおかしいのだろうか?俺はそれを確かめるべく、じっくりと双方から話を聞いてみた。

 その末解った事はだ・・・ポンコはやはりポンコツだったという事だ。


「ポンコよ・・・無理ならその無理な原因を細かく話してやってくれよ・・・」


【はイ???どういう事でショウ???】


 話を聞いてみてわかったのだが、ごぶ蔵の建設計画は最初こそ色々盛ってあったが、俺が言ってからは大分修正がなされていた。つまり普通の対応をしていたのでおかしくはない。

 それに対しポンコは『無理』と言うだけで具体的に何が無理なのかを一切説明していなかったのだ。これはポンコツであろう。・・・いや、ポンコツと言うより言葉足らずなだけか。


「まああれだな。予想以上に全種族に対応した環境システムがキャパを喰う様だから、追加でコアをゲットしなきゃだめだな」


 そんな言葉足らずで合ったポンコの話では、最初は『大丈夫だ。問題ない』と話していたくせに、謎システムを組み込もうと思うとまだまだ力が足りないのだと言う話だ。

 なのでである俺は・・・いや、オオである俺はごぶ蔵へと『ここで諦める定めではない。謎システムだけを省いて一番いいのを頼む』と言っておく。

 そして俺達が目指す住処造りには謎システムが必須なので、俺達は追加のダンジョンコアを取りに行く計画を立てる事にした。


「確か前に一度ルキに聞いたな。えっと確か・・・」


「あ、もう一回話そうか?」


「頼む」


 以前ルキに聞いた時は適当な地図でものすごくアバウトな場所を聞いたが、今回はポンコが用意した周辺の詳細な地図を元にルキへとダンジョン情報を聞いていく。

 すると以前は俺達のダンジョンを入れて5つだった筈だが、2つほど増えていた。


「ん?前より増えたのか?」


「うん。一狼達が来てからポンポンっとね。偶にあるんだよねー。まぁ逆に全く増えない期間もあるけど」


「ふむふむ」


 増えたダンジョンの事を聞くと稀にそういう事があるらしい。まぁ俺達みたいに何かあって移動してくる奴らもいるので、偶々それらが重なったのだろう。


「ま、って事でそれはどうでもいいな。それよりもダンジョン攻略だ。何処に行くべきか・・・」


「こことかどう?近いし、確か中にいる魔物のレベルも低いよ?」


「ふむふむ・・・。あ、因みに他の所もどんな感じかしってるか?」


「うん。えっとねー」


 偶然増えたダンジョンの事を気にしても仕方がないので、ルキにダンジョンの情報を聞きながら攻略するダンジョンを選定していく。

 そうやってルキ、そして長老等も交えてアーダコーダ言いながら話していると目標が決まったので、早速明日からダンジョン攻略に乗り出すことになった。


「よっし。んじゃあまた明日来るね!入口の所で待ってたらいい?」


「ん?ルキも行くのか?」


「うん。丁度今は周辺が沈静化してるしねー」


 平和な期間はルキもやる事が無いらしく、俺達に着いてダンジョン攻略を手伝ってくれるというのだが・・・


(それでいいのか村長・・・まぁ俺達は助かるからいいんだが)


 村長とは何かと考えさせられてしまった。

 と、それはさておき、俺は明日の待ち合わせ方法や攻略の人員等を決め会議を終わらせる。その後ルキを外まで送り、それが終わると明日に備えるため早々に休むことにした。


 ・

 ・

 ・


 そして翌日、本日のダンジョン攻略要因であるエペシュと共に、ダンジョンの入口横でルキを待っていると、彼女は元気に挨拶をしながら登場した。


「あ、おっはよー」


「お、来たな。おはよう」


「おはよう」


 俺達はそれに降ろしていた腰を上げながら手を上げて返し、ルキへと近づいて行く。

 すると1,2m程まで近づいた時、彼女は笑顔から一転、申し訳なさそうな顔になりこう言って来た。


「ごめーん。今日の予定変更しても大丈夫ー?」


「んん?どうしたんだ?」


「いやね・・・実はさ・・・」


 いきなりだったが、何かあるんだろうと尋ねてみると・・・なんと、トゴヤギ村に隣接している湖にダンジョンが出来たらしく、今日はトゴヤギ村へと向かいたいのだとか。

 それを聞き、俺は勿論二つ返事で了解を示し、そんな事ならさっさと行こうと促した。


「ありがとねー」


「礼を言う事でもないさ。俺もリョシン達が心配だしな」


「私も心配」


「うん。ありがと!」


 そんな事を言いながらトゴヤギ村へと向かい、村に着くとリョシンの元へと向かった。

 緊急事態だからか彼の家へと行くと、中には数人の村人が居て何かを話し合っていた。


「おぉ、ルキ村長!それに一狼とエペシュか!もしかして・・・」


「うん。迷宮が出たんでしょ?」


「ああ。今それを話しあっていた」


 丁度話し合いを始めたばかりだと言うので、俺達はそのまま話に加わる事にする・・・のだが、ルキが話に加わった事で速攻終わりそうになっていた。


「じゃー、ボクと一狼、エペシュが行って来るね!」


 ルキは皆の前へ行くとそう言い放ち、出て行こうとしたのだ。

 俺はそれを聞き呆気にとられポカーンとしていたのだが、慣れていたのかリョシンがルキを止めてくれた。


「待ってくれルキ村長。いつも言っているが、私達も手伝う!」


 その言葉にルキは止まってくれたのだが、返した言葉で何故ルキがその様な事を言ったのかを俺も理解してしまった。


「え?いやー・・・こっちもいつも言うけど、リョシン達が行くと大変でしょ?カッピカピの干物になっちゃうよ?」


 確かに水場から長く離れられないリョシン達がダンジョンへ行くと、ルキの言う通り・・・ではないが、倒れてしまうだろう。

 なので俺も立ち上がり、『じゃ、行って来るわ』と言いながら出て行こうとしたのだが、再びリョシンはストップをかけて来た。


「待て待て!私達も今回は考え無しに言っているのではない!」


「ん?そうなのか?」


「ああ。というか、詳しく聞いていないのか?」


「んん?何をだ?」


「今回の迷宮はトゴヤギ湖・・・隣の湖だが、その中に現れたのだ。更に少しだけ中に入ってもみたが、私達でも問題なく活動できるようになっていたのだ」


「え?ちょいちょい、ルキさん?どういう事?」


「え?あー・・・うん。てへっ!」


 リョシンの話を聞きルキへと問いかけると、可愛い顔をして誤魔化して来た。だが俺には世界一可愛いエペシュが居るので誤魔化されはしない。


 ・・・まぁ許しはするが。


 起こるほどの事でもないので『ヤレヤレ』とだけため息を吐き、ルキにも席に着く様に言ってから俺も腰を下ろし、再度話し合いを始める事にした。


「えっと、湖の中にダンジョンがあるって事だけど、逆に俺達は入れるのかそれ?」


「ああ、問題ない筈だ。入り口がある場所はかなり浅いし、中は私達が活動できるが普通に陸上みたいに呼吸が出来た。というより、水中で呼吸が出来るのは私達の中でも一部だけだから、それ以外の者が確認したから間違いない筈だ」


「ふむふむ」


「それで、何時もなら先程の様に不甲斐なくもルキ村長に頼りっ放しになってしまう所だが、今回は私達も手伝えるので行こうと思う。どうだろうルキ村長?」


「ボクは別にいいけど?一狼は?」


 ルキは俺に話を振って来たが、その心は『ボク達が蹴散らしていくからどっちでもいいけど、どう?』という感じだろう。俺としてもそう思うので、付いて来るのならばついてくればいいと思うし、リョシンは水があれば強いとの事なので戦力にもなるだろうから、寧ろ付いて来てもらった方がいいかもしれない。

 それにだ、話を聞く感じ今回のダンジョンは彼らを連れて行くには最高のダンジョンかもしれない。

 何故なら・・・


(水中じゃないのに水中みたいなダンジョンか・・・。まさに俺達が作ろうとしているダンジョンみたいだな)


 そこに行くと俺達が作る予定の住処、そのデモンストレーションになるかも知れないからだ。

 つまり、普通だと中に入っても『ダンジョンか。厄介だな』くらいの感想にしか思わない所を、俺達が『ダンジョンなら、こういう風に地形を弄れる』等と説明を入れダンジョンの紹介をしようという訳だ。しかもドロップアイテム次第では、更にプラスの紹介ができるかもしれない。


「・・・ってことだからさ、ぜひリョシン達にも一緒に行ってもらうじゃないか?」


「・・・おぉ。ナイスアイディアだねー」


 俺がそれをこっそりとルキへと伝えると、彼女は感心した様子を見せ乗り気になっていた。


 なので・・・


 ・

 ・

 ・


「よし!じゃあ気をつけて行こう!ああ、基本的には俺達が戦うから、手が足りない時だけ助けてくれな?」


「「「おうっ!」」」



 俺達はリョシン達トゴヤギ村のメンバー数人を連れ、ダンジョン攻略兼ダンジョン紹介をすることにした。



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 こちらも連載中です。↓『悪役令嬢は嫌なので、魔王になろうと思います。』

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