第239話 建築計画を話し合うわんちゃん 2
『そうだな、今回の話なんだが・・・遠慮させてもらおう』
『およよ?』
『え!?なんでだ!?』
『ルキ村長には悪いが、迷宮に住むというのはちょっとな。と、それだけでは納得しないだろうからもう少し言わせてもらうと、ルキ村長にとっては何でもない迷宮だが、私達にとってはそうでも無くてね。だから迷宮に対しては結構複雑な感情があるのだよ』
『え?そうだったんだ』
『ふむ・・・』
『ああ。迷宮に関わる全てを否定するわけではないが、そこに住むとなるとどうしてもな・・・。だから私達のスタンスとしては今まで通りだ。何もしてこないならしないし、敵対するなら対処する。ここに住み続けるし、動く気はない、だな』
『そっかー』
『・・・』
『まぁ一応村人には知らせておこう。今言ったのはあくまで
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以上がリョシンと喋った内容の一部なのだが、廻った村々は何処も同じ様な反応を示してきたのだ。
「まぁでも、俺達に対して『このダンジョン民め!』とか言って敵対してくることは無かったから、それはセーフだったな」
何処の村々もリョシンの言っていた『複雑な思いはあるが、迷宮に関わる全てを否定はしない』という言葉の通り、ダンジョン民である俺達を否定する事は無く、今まで通り訪問してもいいし買い物もしてもいいとのお言葉を貰っていた。・・・まぁ俺達が牙を剥いて来たのなら、それもリョシンの言った通り対処してくるのだろうが。
「はぁ~・・・けどこりゃ駄目だなぁ。もう一回ちょっと考え直さなきゃならないかもしれん」
周辺の村々とダンジョンが微妙な関係という事が解ってしまったので、『皆で住もうダンジョン計画』の練り直しは必要だろう。
なので俺はルキと別れダンジョンへと帰ると、翌日再びルキを招集し会議を開く事にした。
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・
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「第2回ダンジョン改造計画の話し合いを始める!」
翌日、俺は昨日決めた通りにルキをポンコルームへと招集し会議を開いた。
『如何すれば皆来てくれるのか』や『ダンジョンのイメージアップをするには何が必要か』、『そもそも改造する計画は必要なのか』等色々話し合ったのだが、直ぐに上手い考えは出てなかったので少し考える時間を設けようという事で、会議は後日再び開催する事になった。
そんな事なので、狩りをしなくても結構余裕がある俺達はレモン空間に引きこもり、それらのあれこれを考える事にした。
「ボク的には楽しそうだから、住めばいいんじゃないかなーって感じだけどねー」
「うん。ダンジョンって住んでみれば結構快適。正直以前の家よりイイ」
「へぇ~。そんなになんだー」
「うん」
会議室等がある部屋の上、俺達のプライベートルームにてルキとエペシュが優雅にお茶を飲みながら喋っている横で、俺は喋る事もなく頭を捻っていた。
それは勿論、目の前の女の子たちが優雅にお喋りする姿の尊さについて・・・ではなく、先程のアレコレについてだ。
(ん~・・・)
正直今回の計画はなんとなーくな考えから生じたモノで、勿論成されればそれに越したことはないだろうが、絶対に為すべき事という訳でもない。・・・心情的には周辺の村々の人達が安全に暮らせるのならば為したい所ではあるが。
(そうなると如何ダンジョンをイメージアップするかだが・・・やっぱり美味い飯、快適な住み心地を作って、実際に体験してもらうのが一番か?でもそれじゃダンジョンに抱く心情的なアレコレの解消にはならんか・・・うぅむ・・・)
色々アレコレと考えてみるモノの、俺はintが高いだけでそこまで賢いという訳でもないので並な考えしか思い浮かんでこなかった。
なので考えれば考えるほど深みにはまり、最終的には『そうだ、ルキとエペシュの塔型オブジェでも造って配ろう』とか妙な事を考えてしまっていた。
「・・・っは!?・・・駄目だ。一旦リフレッシュでもしよう」
煮詰まった時は休憩を入れる事も大事と考えた俺は一旦考える事を止める事にし、エペシュ達に混ざってお喋りを始めた。
そうして考えては休憩、考えては休憩と繰り返し、翌日を迎えたのだが・・・
「何も思い浮かばねぇ・・・」
結局は並な事しか思い浮かばず、最終的には最初に考えていた『美味い飯、快適な住環境を作り、それをゆっくりとアピールしていく』という案を会議にて発表した。
「ゴブゴブ・・・儂もそれがイイと思いますゴブ」
「うん。先ずは仲良くなってから」
「ふむ・・・」
しかし堅実な長老と、慈愛溢れるエペシュからはその案が支持された。・・・関係改善には近道など無いということなのかもしれない。
だが他のメンバーには案があったみたいで、彼らはそれを提案して来た。
「ごぶはごぶの料理でアピールすればいいと思うごぶ。ごぶの料理を食べれば皆頭がハッピーになって、向こうからここに住まわせてくれって言って来るはずごぶ」
「がう。俺は魅力的なトレーニング施設に体を作れる飯があればいいと思うがう!」
「ごぶ。力を見せつければ従いたくなるはずごぶ」
まぁ・・・どれもトンデモ案だったが。
「頭ハッピーってなんだよ・・・マッチョはマッチョしか理解出来んて・・・そして世紀末覇者すぎるだろ考えが・・・」
突っ込みどころ満載な考えに却下を降していき、結局は堅実な俺の案を進めて行く流れになったのだが、参加する側になるルキはどうなのだろうと話を振ってみた。
「んー・・・どれもいいとは思うけどねぇ。魔族は『魔』族と言うだけあって魔物と一部似た様な考えの所もあるしね」
ルキ曰く、魔族は大体美味しいご飯には弱いし力にも弱いのだとか。
勿論それには程度はあるが、攻め込んで来てるような野蛮な奴らは正しく『力isパゥワー』な考えをもっているらしく、奴らを仲間にしようと思うのならそれらを実行するといけるらしい。・・・まぁあまりに理性が無い奴らは問題のタネになるのでお断りだが!
「ふむ・・・それじゃあ住環境整えて美味しいご飯用意して、それを元に長い時間かけて説得していってみるか・・・」
「だねぇ」
最終的にはかなり無難だが、俺の案に近いモノでまとまる事になりそうだった。
違う所と言えば・・・『作ったダンジョンに周辺の村人を招き、感想を聞いてみる』という事だった。
何故そんな事をするのかと言えば、それぞれの種族にとって快適な住環境がどんなものなのかは実際に感想を聞いてみなければ解らないからだ。
「多分だけど、ボクが頼めばそれくらいなら手伝ってくれるんじゃないかなぁ?」
これは、『それ位ならルキが頼めば了解を得られそう』というので追加した案だったのだが、俺的には非常に良い案だったと思っている。
何故なら、『住まない』と言っている彼らを説得するのに、実際の快適そうな住環境を確認してもらう事は、『住みたい』と意思を変える事に有効だろうからだ。やはり偏見等を無くすには、実際体験してもらうのが一番なのである。・・・まぁ、もしかしたらより偏見が強くなるかも知れない諸刃の剣ではあったりするが。
(ま、そこは俺達の努力次第か)
OMOTENASHIの心を学ばなければと思いつつ、取りあえずそんな感じで進める事に決定したので、俺はポンコへとダンジョンの改造を始める旨を伝えた。
【はイ。それでは入口がある岩山を取り込みマスネ】
「ああ、頼む」
するとポンコはポンコツっぷりを発揮する事もなく作業を進め始めてくれ、10分もすると『塔型ダンジョン』への第一歩が完了した事を伝えてきた。
【現在ハ入口に従来のモノを接続してアるのデ、見た目モ中身モ変化ナく見えますが、確かに完了していマス】
「了解だ。取りあえずは入口の接続はそのままにしといてくれ」
【はイ】
「で、新たに1階層追加して、そこに町を作る様にしたいんだが・・・出来るよな?」
【はイ。可能デス】
「ならそれを実行してくれるか?あ、ごぶ蔵、ここからは頼めるか?」
「ごぶ!」
続いてする作業を伝えたのだが、ここからは匠に任せた方がいいだろうと思い、俺はダンジョン製作をごぶ蔵へとバトンタッチした。
これで後は放って置けばいい感じに出来上がるだろう・・・そう思ったのだが・・・
【無理デス】
「ごぶっ!?」
「え?」
いきなり俺の考えていた事と違う言葉が聞こえて来た。
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作者より:読んでいただきありがとうございます。
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☆や♡をもらえると エペシュとルキが 禁断の関係に・・・。
こちらも連載中です。↓『悪役令嬢は嫌なので、魔王になろうと思います。』
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