第229話 お供と探索をするわんちゃん

お詫び:前話のドランのステータスを修正しました。

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「うーん・・・可もなく不可もなく・・・」


 俺達にとっての未知の大陸『中央大陸』、ここは生息している魔物が強いという事だったが・・・俺の感想は上記の通りだった。

 これなら移動して来た草原の方がやばかった説もあるのだが、ニア先生曰くここは中央大陸の辺境も辺境で、強い魔物に会いたければもっと大陸中央の方へと進出していかなければならないのだとか。だが進出したらしたで偶に力こそ全てな思考の持ち主も居るので注意が必要らしい。


「悩ましいな・・・」


「ごぶ?筋肉が悩ましいごぶ?」


「誰もそんな事は言っていないが?」


 ごぶ蔵の謎発言は置いておきだ、もしも強い敵と戦いたいのならば中間ダンジョンを設置しながら遠征をすればいいかもしれない。


「ピュッゥゥ!」


「おっと」


 俺はそんな事を考えつつ、向かって来たデカい鹿・・・グレートホーンディアーの攻撃をヒラリとかわした。



 名前:

 種族:グレートホーンディアー

 年齢:17

 レベル:13

 str:405

 vit:388

 agi:451

 dex:262

 int:62

 luk:45

 スキル:ぶちかまし 角突き 脚力強化・小 角硬化 

 ユニークスキル:

 称号:



「やぁっ」


 そしてそのすれ違いざま、俺の背中に乗ったエペシュがグレートホーンディアーに向けて矢を放った。その矢は軽く放った様にも見えたが、魔法等も使っていたらしく獲物の眉間へと深く潜りこんだ。


「ビュッッゥ!」


 それが致命傷になったのだろう、グレートホーンディアーは短く叫んだかと思うとドゥっと倒れてそのまま動かなくなった。

 そうなるともう1人の出番がやって来る。


「解体のお時間ごぶ!」


 ごぶ蔵は先程までのノン気っぷりは何だったのかというほど機敏に動き出し、あっという間に獲物を解体してしまった。


「完了ごぶ!」


「ん。ご苦労様だごぶ蔵。次行くから乗ってくれ」


「ごぶ!」


 俺達が第1村人?に出会ってから3時間ほど経ったわけだが、先程の様に狩りは順調ではあるものの他にめぼしい発見は特に無く、結果はぼちぼちと言った感じであった。出来る事ならば敵性ダンジョンか、レターユの様な話が解る魔族でも発見したい所なのだが・・・


「ま、そう簡単にはいかんよな」


 少しずつでも焦らず探索を続けるしかないだろう。


「あ、一狼、あれダンジョンの魔物かも?」


「え?」


 ・・・と思っていた時期が俺にもありました。


「そんなまさか・・・ってマジだな」


 エペシュが示した魔物へと『鑑定』をかけてみると、確かにそれはダンジョンの魔物だった。・・・あ、因みに見分け方としては年齢が『-』となっているので、そこで見分けている。

 だがしかしだ、ダンジョンが出した斥候用の魔物を見つけたからといってダンジョンが近くにある訳でもない。なのでせっかく見つけてくれたエペシュには悪いが、特に見つけた意味は無いだろう。


「これで痕跡から逆に辿っていけばダンジョン見つかるね」


「え?」


 ・・・と思っていた時期が俺にもありましたパート2。

 忘れていたがエペシュはエルフ、森の狩人だ。そんな彼女にとっては獲物が通って来た道を探し、辿る事は容易な事だそうな。


「じゃあ・・・おなしゃすハンターエペシュ」


 俺は弱かったダンジョンの魔物をサクッと倒した後エペシュに頼み、そのダンジョンの魔物が通って来た道を辿ってもらう事にした。エペシュはその頼みを2つ返事で引き受けてくれ、ダンジョンの探索が始まった。


 ・

 ・

 ・


「あった。あれ」


「おー・・・」


「凄いごぶ!」


 痕跡を辿りダンジョンの探索をする事2日、俺達はついにダンジョンを発見した。


「結構難しかった」


「ふむ?そうなのか?」


「うん」


 エペシュ曰く獲物が移動して来た痕跡は何時までも残っているモノでもなく、色々な要因で消えてしまうのだそうな。それは天気だったり他の生き物が移動の痕跡を上書きしたりと色々らしく、今回の痕跡を辿る作業は対象のせいもあってか、割と難しかったらしい。


「そんな大変な作業ありがとなエペシュ」


「うん」


「後で一杯モフらせてやるからな」


「うん」


 俺はエペシュをねぎらうため、後で俺の毛をモフらせる事を約束した。エペシュが癒され俺は喜ぶ、win-winの報奨であろう。

 と、それは置いておき、ダンジョンだ。


「ふむ・・・直ぐに潰すべきか否か・・・」


 俺は確かにダンジョンを探していた。しかしだ、見つけた後どうするかは具体的には決めていなかった。勿論最終的にはダンジョンコアを抜いて崩壊させる訳なのだが、それをする前に自分だけ突撃してレベルを上げるだとか、仲間のレベル上げの場所にするだとか、そういう事を決めていなかったのだ。


「つってもあれか、先ずは中がどんなレベルなのか確かめなきゃ始まらないか」


 だがそれもこれもこのダンジョンのレベルを見極めなくては考えようがない事に気付き、取りあえずどんなものか入ってみる事にした。


「エペシュ、ごぶ蔵、試しに入ってみよう」


「うん」


「ごぶ」


 2人に断りを入れた後、地面にポッカリと空いた穴へと俺は歩を進めた。そうして中へと入ったのだが、中は意外と狭く、2人を背中に乗せたままだと飛んだり跳ねたりが出来なさそうだった。


「あんまり育ってないダンジョンか?いや、唯単にこういう感じってだけなのかもしれないか?まぁでもあれだな、2人共、一旦下りてくれ」


 万が一2人を天井でサンドイッチしてしまうとアレだったので、2人は背中から降ろして進む事にした。

 2人は背中から素直に降りてくれたので、俺を先頭にして1列になりながらダンジョンの通路を進んでいると、前方に魔物の反応があった。

 念の為にそのまま待っていると、前方からは蜘蛛の様な魔物が姿を現した。


「ふむ・・・弱いな。それに外に居たのと同じ蟲型か」


 外で見つけたダンジョンの魔物だが、実はそいつも蜘蛛の様な魔物だった。鑑定した結果目の前にいる奴とは種類が違うようだが蜘蛛は蜘蛛、つまりここは蟲型の魔物が出て来るダンジョンかもしれない。


「まだ仮説だから何とも言えないが・・・取りあえず2,3層まで余裕そうなら行ってみるか」


 ・

 ・

 ・


 そうして始めたダンジョン探索だが、やはり蟲型が出て来るダンジョンだった。

 俺達は1日かけて3層まで降りてみたのだが、ダンゴムシやアリ、蝶等、蟲系ばかりが出て来たのだ。

 更にこのダンジョンはあまりレベルが高い場所ではないらしく、3層までしか様子は見ていないが、ゴブリン達でも戦えそうな感じだった。なのでここは俺が使うのではなく、ゴブリン達のレベルアップの場所として使う事にした。


「って事で、別のダンジョンを探してみよう」


「うん」


「ごぶ」


 そうなると俺やごぶ助、エペシュレベルが使える様ないい感じのダンジョンも探したくなる。

 なので俺は2人へとそれを言い、新たにダンジョンを探す事にした。


「つっても情報0からまた探すのは厳しいな。それなら森で獲物見つけて狩ってた方が効率イイか・・・?なぁどう思う?」


 しかし先の様なラッキーがまた起こるとは限らないので、次こそはダンジョンを見つけるのに苦労するかもしれない。

 なので『森で適当に獲物を狩りまくる方がいいか?』と考え、どう思うかとエペシュとごぶ蔵に尋ねてみる。

 すると2人は『ん~・・・』と少し考えるようなそぶりを見せた後、先にエペシュが口を開いた。


「森で狩りをしつつ、又ダンジョンの斥候を見つけたら探す、は?」


 エペシュが上げてくれた意見は凄く納得できるような考えだった。というより、これ以外ないんじゃないかという様な答えだった。


「まぁ、それしかないよな?・・・ごぶ蔵はどうだ?」


 なので俺は『まぁ決定かな』とは思ったが、一応ごぶ蔵にも尋ねてみる。何故ならごぶ蔵は何時も驚く様な意見を出してくる奇才だからだ。もしかしたら俺達が『ファッ!?』っと言ってしまう様な意見を出してくれるかもしれない。


「ごぶが思うに・・・」


 そんな奇才ごぶ蔵の答えは・・・やはり一味違っていた。



「そこにいる人に聞いてみたらいいと思うごぶ」


「ファッ!?」


「ふぇ?」



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 作者より:読んでいただきありがとうございます。

「面白い」「続きが気になる」「ふぁ!?」等思ったら☆で高評価や♡で応援してください。

 ☆や♡をもらえると ごぶ蔵が 頓智をといてくれます。


 こちらも連載中です。↓『悪役令嬢は嫌なので、魔王になろうと思います。』

 https://kakuyomu.jp/works/16816927860702355532

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