第6章

第226話 第6章プロローグ

 とある大陸のとある場所にて、大宴会が開かれようとしていた。


『・・・ザワザワ・・・』


 この大宴会は新たな門出を祝うモノで、彼ら彼女らの住む都市の心臓部『魔王城』が開催場所だった。


『・・・ザワザワ・・・』


 皆が今か今かと大宴会の開催を待つ中、ポツリと誰かが『お、来たぞ』と何某かがその場に現れたのを見つけた。


 すると・・・


『・・・ワッ!・・・パチパチパチパチ・・・』


 場は騒めきが広がり、続いて何某かの登場を歓迎する動きが広がった。


「やぁやぁ!皆楽しんでるかな?・・・おー、君も来たんだね?いらっしゃい」


 その何某かは大宴会に参加する者達に声を掛けながら歩き、大宴会場の奥に作られた台の方へと向かった。

 そして台へと辿り着くとそのまま台へと上り、そこに置かれていた椅子へと腰を下ろした。


「皆!静粛に!」


 するとその何某かに付き従って歩いていた者が声を張り上げ叫ぶ。


「お、始まるか」「んぉ?あっ!」「おぉ・・・初めて生で見た」「まじ?俺なんかあいつの事舐め回した事もあるぜ?」「え?変態じゃん?」「ごぶ」「よっ!魔王様っ!」「しっ!皆静かに!」「静かに」「・・・」


 最初は騒めいていた会場もその声に従う様に徐々に徐々に静かになっていき、遂にはあんなに騒がしかった会場がシーンと静かになり、場は少し厳かな雰囲気も流れ始めた。


「ではこれより主のお声がけを持って大宴会の開催とする!主!頼みます!」


「おっけぇ~」


 だがそれも主と呼ばれた者の気の抜けた返事にて柔らかい物へと切り替わる。


 しかし柔らかい物へと切り替わったとて騒ぐものは誰もいなかった。


 何故ならその主と呼ばれた者はこの場の主役にて彼ら彼女らの支配者であり、また尊敬し崇拝する偉大なる者・・・『魔王』なのだから。


「それじゃあ~皆から支持を貰って魔王って呼ばれるようになったボクからお話させてもらうね~」


 ・・・まぁ、皆が勝手に付けた愛称みたいなものだが。


 だが侮るなかれ。何故なら皆がそう呼ぶには、確固たる理由があるのだから。


 それを知らぬ物には・・・


「まてぇぇ!俺はみとめねぇぞぉぉ!」


「んぇ?」


「何が魔王だぁぁ?お前がぁぁ魔王ならぁぁ、俺はぁぁ大魔王だぁぁ!はぁ~っはっっはっはぁ~!」


「あぁ~、まさかキミ『俺の方が強いから俺が王になる』ってタイプの人?」


「そうだぁぁ!俺がぁぁお前をぉぉぶっ潰してぇぇ王様になるぅぅ!」


「おぉ~・・・久しぶりに登場だぁ!いいよぉ?でも死んでも恨まないでね?」


「あぁぁ?死ぬのはぁぁ!お前だぁぁ!」


「やれやれぇ~・・・そいやっ!」


「あぁぁ?・・・あびぇぇっ!」



「うわっ!」「おいおい、弾けたよ」「しかも弾けた筈なのに血も飛び散ってねぇ・・・」「魔王ちゃん素敵ぃ~!」「きたねぇ花火ごぶ」「ごぶごぶ」「さすがのワンパンか。いや、パンチじゃねぇけど」「流石主」



 この様に、酷い末路が待っている。


「あ~・・・皆ごめんね~?ま、今のは余興だと思って!って事で・・・新たなボクらの門出にぃぃぃ乾杯っ!」


 そしてそんな呼び名に相応しい精神性も持っているのだろう、先程の事を余興だと片付けて軽く流し、本来の流れへとさらりと戻し進行して見せた。

 だが彼の者の事を集った皆はよく知っており、そして慣れていたのだろう・・・


「「「かんぱーい」」」


 何事もなかったかのように流し、魔王の乾杯の合図に追従した。



 こうしてこの日、とある大陸のとある場所で、人であるモノ達と人で無いモノ達の暮らす都市『イチロウ』の新たな門出が祝われた。



 しかしこの都市、色々な苦労の末に作られたもので、その始まりは・・・



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 作者より:唐突に始まる謎プロローグでございます。と、これより第6章となります!お待たせした方には申し訳ありません!引き続き楽しんでもらえるよう頑張ります!

 そしていつの間にかPV数が5万越えてました!ありがとうございます!

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