第196話 宴会をしている場合じゃなかったわんちゃん
ごぶ助達と再会し宴会をした日の翌日、俺は数名にポンコがいるコアルームへと招集をかけていた。
集めた人員?はごぶ助、ニコパパ、長老、エペシュ、ごぶ蔵、そして俺とスーパーアドバイザー?でニアの計7名だ。
「それでは今から会議を始めたいと思います」
招集をかけた理由は『現状がどうなのか?そしてこれからどうするか?』について話し合う為だった。
「現状については昨日一応聞いたけど、更に詳しく聞く必要があると思う。主に食料事情や周囲の探索状況だな」
「ごぶ」
俺が取りあえず『ごぶ助達の現状』について尋ねると、『あまり宜しくない』との答えが返って来た。
「食料はストックという意味では0に近いごぶ。なので探索も全然進んで無いごぶ」
「がう。俺達もここに来てあまり時間が経ってないから、イマイチ状況を測りかねてダンジョンから遠出出来ていないがう」
「ごぶ。でもそろそろポンコに頼んで食料を出してもらい、それで何とか食いつないで遠征をしようかと思ってた所ごぶ」
もう少し詳しく聞いてみると上記の通りらしく、更にここに来てから取れた食糧というのはあのマリモだけらしい。
「ふむふむ・・・因みにこっちの状態も教えておこう。ごぶ蔵、頼む」
「ごぶ」
こちら側の食料事情についてはごぶ蔵が俺以上に詳しいので、ごぶ蔵へと話を振って話してもらう。
するとこちらも似た様なモノで、昨日の宴会でなけなしのストックもほぼ放出し、更にダンジョンの機能を使って足りない分を微妙に生成したのだとか。後はまだ手を付けていないマリモが少々残っているだけらしい。
「って感じでかなりやばいごぶ」
「育ててる野菜も、収穫までまだまだかかるかな」
「む・・・そんなにやばかったか・・・」
森や土を見てくれているエペシュも育てている畑の状況を語ってくれたのだが、かなり不味い状況だという事が解った。・・・正直昨日浮かれて宴会などしている場合じゃなかったのかもしれない。
「まぁ終わった事だししゃぁないか・・・。いざとなれば俺の方のダンジョンの龍脈を使い切る勢いで食料を生成すれば何とかなるしな・・・」
「一狼のスキルは解っていない事もあるし、あまりお勧めせんのじゃ」
「あ、はい」
俺の呟きに早速スーパーアドバイザーがアドバイスしてくれたが、最悪そうする必要があるので覚悟はしておくべきかもしれない。
と、ここまで食糧事情と探索状況を話していたが、ここからは『これからどうするか』を話していく事にしよう。
「とまぁ現状が不味いって事が解ったので、次はこれからどうするかなんだが、正直食料確保を目指して動くしかないと思うんだが・・・どうだ?」
「ゴブ・・・それは今までごぶ助様達がやっていた事をそのままやる感じですゴブ?」
「それに更に遠征も加えるって感じだな。人が増えたしイケると思うんだよな」
これからと言っても食糧事情が不味い事になっているので実質1択なので、俺達は『どのように食料を確保するか?』を話し合っていった。
そして最終的に決まったのが、『ゴブリン達による人海戦術マリモ狩り』『ゴブリン達以外の者は遠征して食料探し』となった。
更にこの遠征なのだが、スーパーアドバイザーによると、『充足』『衰退』のエリアが隣接している筈なので、そこまでいけば何かしらは手に入る筈とのアドバイスをもらうことが出来た。・・・因みにだが、『どっちに行けばいい?』と聞くと『方向までは知らんのじゃ』と言われた。悲しい。
「うし、今回はこのくらいにしておこう。んで、早速行動に移すとしようか」
「ゴブ。では儂はレモン空間内の者達に召集を掛けてきますゴブ」
「了解。んじゃ俺達はダンジョン前まで移動しよう」
何時までも会議していたところで腹は膨れない。なので俺はチャッと会議を終わらせ、行動に移した。
長老をレモン空間へと送り、その他の皆でダンジョン前まで移動をすると、俺は再びレモン空間の出入り口を開いた。
その内ポツポツとレモン空間内からゴブリンやウルフ、コボルトが出て来たので、全員が出て来るまでに俺は場を整える事にした。
・・・といっても俺が皆を良く見える様、台を作っただけなのだが。
「・・・ん。そろそろ全員出て来たかな?」
「ゴブ。儂で最後ですゴブ」
「了解」
そのまま暫く待っていると全員揃った様なので、俺は作った台へと上り皆を見下ろした。
そして久しぶりの○ートマン軍曹ごっこを・・・しようと思ったが止めておき、普通に声を掛けた。
「皆揃った様なので話をするなー。さっき会議をして話し合ったんだがー・・・・・」
俺は先程の会議で話した内容・・・まぁあまりグダグダと言っても『?』と首を傾げられるだろうから、簡潔に『飯がない!』と伝え、続いて今からしてもらう事を話した。
ゴブリン達にはマリモの姿を見せ、『これをその辺で狩ってくれ』と伝え、その他のウルフやコボルト何かの走るのに長けていそうな面々達には『適当に方向を定めて遠征よろ!』と伝えた。
因みにどちらでもないエペシュには『ゴブリン達の手伝いをよろしく』と伝え、ゴブリンであるが例外的に凄い能力を持っているごぶ助には『俺と逆方向に走って遠征をよろしく』と伝えた。
「以上だ。解りましたか~?」
「「「ごぶごぶ」」」
「「「がうがう」」」
「「「グルル」」」
何とも取れない答えが返ってきたが、まぁニュアンス的に『大丈夫』的な感じがするので大丈夫だろう。
「あ、あと一応言っておくと、ここに来てマリモ以外の生物は見てないけど、一応気を付ける様に。遠征する者達も、明らかに弱い奴だったらいいけど、判別付かなさそうだったら帰って来て報告だけしてくれ。それとゴブリン達はそこまでと奥に行かない様にな?迷子になるから」
念の為に注意事項を話し、全て話し終えたところで行動開始だ。
俺は『じゃ、皆。ぼちぼちやってくれ』と開始合図を出し、遠征する者達だけを集めてそれぞれどの方向に行くのかを話した。特に『どの方向がヤバイ』とも解らないので適当に口々にこっちだのあっちだの言って方向は決定し、俺はごぶ助が言った反対を指さしそちらへと行くと宣言をした。
そうして遠征組もスタートとなったので、俺は『黒風』を体に纏い全力で走り始めた。
「妾は一狼に付いて行くが、あまり気にしないでよいのじゃぞ?」
「あ、うん。了解っす」
走り始めてすぐニアから声を掛けられたが、ニアの行動は毎度の事だったので俺は気にしないことにしたし、他の皆も大して気にしていないだろう。というより、俺と一緒に居た面々やごぶ助はともかく、コボルト達は昔の事がありビビり散らかしていたので何も言えないだろう。
(一応和解?はしたけど、前にあった事のある奴らは第一印象がなぁ・・・)
唯まっすぐ走っているだけなので、俺はよそ事を考えながら走っていた。警戒も勿論しているが、流石にこれだけ視界が開けているとかなり楽なのだ。
俺はそうやってよそ事を考えつつ、目視と『索敵』で警戒もしながら延々と走っていた。
そうして半日ほど走っただろうか・・・俺は流石にそろそろと思い一旦スピードを緩めた。
「スピードは結構ガチ目に出していたけど、何も変化が無いから一旦ここまでにするわ」
「うむ」
「っていうか、遠征方法失敗だったかもしれないな。俺でコレだと正直ごぶ助以外厳しいだろ・・・」
この草原の広さを若干舐めていたのだが、コレだけ広いと中途半端に遠くまで行った所で駄目かもしれないと、俺はそう感じてしまう。
俺の場合はチートスキルの『レモンの入れもん』でダンジョンの出入り口をポンと作り、ゲームの中間地点みたいなことが出来るのでいいのだが、他の皆だとそうも行かず、『泊りがけで遠征』等もしなくてはいけないかもしれない。
「一回帰って、遠征の作戦会議をもう一回するかなぁ・・・」
俺は愚痴るように呟き、取りあえずダンジョンの入口だけは設置しておこうと、スキルを使ってダンジョンの入口を作った。
「ポコポコ作るとアレだけど、こんな何にもない所だったら多分大丈夫だろ。後から潰せばいいし」
「中々卑怯臭いスキルじゃ・・・」
「・・・まぁそうだな」
ニアに卑怯臭いとか言われると心外ではあるのだが、まぁ確かに良く考えると『ダンジョンを作わ。あ、でも要らなくなったわ、潰そ』とか反則以外の何物でもない気がしたので、俺は反論もせずに頷いておく。
とまぁそれは良いとしてだ、俺はレモン空間を一度通り、『ポンコ』ダンジョンの裏に作っておいたダンジョンの入口へと転移する。
そして皆の成果はどれくらいだろうかと気になったので、俺は帰って来ていた者、今まさに帰って来た者達へと『成果はどうだった?』と尋ねていった。
結果は・・・
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作者より:読んでいただきありがとうございます。
「面白い」「続きが気になる」「宴を開いとる場合かぁーッ!」等思ったら☆で高評価や♡で応援してください。
☆や♡をもらえると 宴が 再度ひらかれます。
こちらも連載中です。↓『悪役令嬢は嫌なので、魔王になろうと思います。』
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