第153話 反省会&会議なわんちゃん
レモン空間へと入った後に俺はある不安に駆られたので、一度作った出入り口から外に出た後、再度そこからレモン空間へと入る事にした。
「ふぅ・・・」
「む?何じゃ今の出入りは?なにかあったのかえ?」
「あぁ、いや、最後にレモン空間へ入った場所を更新しておかないと『石の中にいる』状態になるかもと思ってさ」
「なんじゃそれは?」
俺が駆られたある不安、それは最後に入った場所を更新しておかないと崩壊したダンジョンに再度出たり、下手をしたらダンジョン崩壊後の亜空間的場所へと繋がってしまうのではないかというモノだった。
それを何とかニアに伝えてみると、ニアも流石にそんな事は考えていなかったらしく、『確かに・・・可能性はあるかもしれんのじゃ』とめったにしない様な声と顔で悩んでいた。
「スキルは神の・・・世界の恩寵でもある、何があるか解らんので慎重を期すのは間違いではないじゃろうの」
「話が偉くデカいスケールになった!?」
何となーくな考えだったのに、世界の~なんて規模が出てきてしまった。・・・よし、この件はあまり深く考えないでおこうそうしよう。
という訳で、『石の中にいる』は忘れて他に考えるべき事を考える為に、ブレーンである長老を誘って話でもしようかなと思ったのだが、そう言えばごぶ蔵がご飯を作って待っていると言っていたのを思い出した。
「攻略を終えて話がしたい所なんだが・・・取りあえずご飯でも食わないか皆?」
「うむ」
「解りましたゴブ。ご飯は・・・そうですな、イイと思いますゴブ」
「ご飯は賛成!話は・・・私聞いた方がいい?」
「か・・・賢いエペシュたんに聞いてもらえると嬉しいな、うん」
「うん!賢い私は話聞く!」
(ゴブリン並みのエペシュたんは別に話聞かなくていいよなんて言えない・・・)
少しの罪悪感を抱えてしまったが、俺はその場にいたニア、長老、エペシュを誘って食堂へ行く事にした。
食堂へと着くと、先に帰って来ていたダンジョン攻略班の皆が既にご飯を食べていたので俺は軽く労い、ご飯を注文した。
「おまたせごぶ」
「お、ありがとなごぶ蔵。あ、お前はもうご飯食べたのか?」
「未だごぶ。だから一緒に食べるごぶ」
「おう」
注文して5分もかからない内にごぶ蔵が料理を持ってきてくれたので、俺はごぶ蔵も誘い一緒にご飯を食べる事にした。
ご飯中に会議みたいな事をするのは無粋かと思ったので、その場では何気ない雑談をしてご飯を食べ進め、食べ終わると俺は話をする長老達だけを連れて2階の事務所へと上がり、会議室へと入った。あ、ごぶ蔵さんは呼んでいませんよ?理由はお察しです、はい。
「3階の居住部屋で話してもよかったんだが、一応会議という事でここで話すわ」
「ゴブ」
「んでだ、取りあえずあいつも必要なんで・・・Hey!スラミー!」
【御呼びですか?】
会議室に入った後、ダンジョン関係の事を話さなくてはいけないので俺はスラミーを召喚した。因みにスラミーだが、レモン空間内(ダンジョン部含む)ならどこでも呼べば現れる事が出来る。・・・便利だ。
「ああ、ちょっと確認したいこともあるからな」
【はい】
「では会議兼反省会を始めます。先ずは主に攻略を担当してくれたゴブリン達について・・・」
「ゴブ」
この話し合いで反省会等もしたかったので、俺は長老と今回のダンジョン攻略について話をし始めた。時々ニア先生や賑やかし担当エペシュも会話に加わり、今回のダンジョン攻略についての反省を話し合う。
「ま、こんな所か?」
「ゴブ」
「うむ」
「こんな所で許す!」
「うん、ありがとうエペシュたん」
賑やかし担当のどや顔に癒されつつ、ダンジョン攻略の反省の後は次の攻略場所を話し合う事にした。
「んで次に攻める場所なんだが、どこがいいと思う?」
「確か『獣系』『鳥系』『虫系』『スライム系』『無生物系』があるんでしたゴブ?」
「そうだな」
「ゴブ・・・ではスライム系ダンジョンはどうですゴブ?スライムならば弱い筈なので、今回の植物系の様に儂等だけで安全に攻略が出来そうですゴブ」
「あー・・・実はスライムって意外と厄介なんだよ」
「うん。くちゃかった」
「ゴブ?」
「一般的にはあんまり見ないんだけど、スライム系って・・・・」
長老がスライム系ダンジョンを攻めてみてはどうだと尋ねて来たので、俺はスライムが意外と侮れない存在だという事を説明した。
すると長老も納得したみたいで、それならばと次の案を出してきた。
「スライムに効きそうな魔法も儂くらいしか使えませんし・・・了解ですゴブ。ならばそうですな・・・無難に獣系のダンジョンが良いかと思いますゴブ」
「獣系か」
「ゴブ。鳥系は儂等ですと攻撃が届かないですし、虫系だと数の暴力で負けそうですゴブ。無生物系・・・ゴーレムでしたかな?そちらは儂等だと攻撃を通すのが難しそうですゴブ」
「消去法で獣系って感じなのか」
「そうですゴブ。ですが獣系を攻略し終える頃には儂等も成長しているので、そうなれば他の処も行けるようになるかもですゴブ」
「成程な」
「うんうん。私もそう思ってた!」
「うん、さすがえぺしゅたんだね」
俺としても獣系の魔物ならば戦いやすいとは思うので、長老の意見には賛成だ。
なので次に攻略をするダンジョンは獣系ダンジョンだと定め、3つの中から更に候補を絞る。
その結果、ウルフやスティールキャット(ヤマネコみたいな魔物)の様な4足歩行系の魔物がでるダンジョンを攻略する事にした。
「こっちはウルフにゴブリン達が乗ってる分強い!絶対勝てる!」
「そうだねーごぶりんがのってるぶんつよいねー」
そうでしょう?ドヤッ!といった感じのえぺしゅたんを頬をペロペロしつつ、俺は次の議題へと移る事にした。
次の議題は・・・俺のこのダンジョンに関する事である。
「次なんだけどさ、聞くの忘れてたから確認っていう意味もあるんだが・・・スラミー」
【はい。何でしょう?】
「ダンジョン移動ってさ・・・この状態でも出来るもんなの?」
本来俺達がダンジョンを攻めているのは、ダンジョンの移動機能を使い大陸移動をする為である。
そして最初の予定では、『普通』のダンジョンであったスラミーを利用して別大陸までダンジョン移動をするというモノだったのだが、今のスラミーは『異常』な状態のダンジョンだ。そんな今のスラミーでダンジョン移動が出来るのか、それが解らないのだ。
「うっかりして聞いてなかったんだよな。どうなんだ?」
これで出来ないと言われれば、新たなダンジョンコアでダンジョンを作らなければいけないのだがどうなのだろう?出来る事ならば『移動出来ます』と言ってくれれば良いのだが・・・
【出来ます】
「っしゃらぁっ!」
これはキマシタワー。・・・いや、全然違うわ。
【ですがペナルティが強くなっています】
うん、キテナイタワー(?)だわ。
「ペナルティって何だ?」
【普通ですと、龍脈の力を多く使うので連続で移動出来ないとなります。ですがこれ、実は無理をすれば2,3回は移動が出来るのです。代償は龍脈使用が暫く出来ないなど重いですが】
「ほぉ」
【今の私の場合ですと、確実なインターバルが必要かつその間は龍脈使用に制限がかかります】
「成程・・・無理をして『緊急離脱!』とかもできない訳か」
【はい】
やはり俺のスキルは普通のダンジョンとは少し違う様で、ペナルティ等も異なっている様だったが、これくらいならば十分許容範囲内だ。
「ま、問題ないな。うっし、聞きたい事は終わったし会議は以上かな」
「うむ」
「解りましたゴブ」
「お疲れ様」
これ以上は話す事もないかなという事で俺は会議の終了を宣言する。長老も何も言ってこないという事は大丈夫であろう。
「んじゃ、また明日からダンジョン攻略を開始するから各自早めに休む様に。解散っ!」
「ゴブ」
今日が終われば明日が始まる。という事で、俺は明日に備えて早めに休むことを言い渡し解散を宣言した。
俺も多少は疲れていたので、今日はサッサと寝ようかと3階に上がろうとしたのだが・・・
「あ、一狼、お風呂行こう?」
「はいヨロコンデ~!」
疲れたし汚れたでしょ?というエペシュたんのお誘いにより、俺はお風呂に行く事にした。
さぁ・・・英気を養おうじゃないか・・・
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作者より:読んでいただきありがとうございます。
「面白い」「続きが気になる」「エロい回が来るんですね?」等思ったら☆で高評価や♡で応援してください。
☆や♡をもらえると エペシュが 一緒にお風呂に入ってくれます。
こちらも連載中です。↓『悪役令嬢は嫌なので、魔王になろうと思います。』
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