第151話 フラグを警戒するわんちゃん
さて、ダンジョン攻略が始まったわけだが・・・やっぱりわんちゃんって最高なんやな。いや、犬というか狼なんだが。
「グルッ!ガウガウッ!(そこだっ!その木の陰にいるっ!)」
「そこごぶな!」
現在俺達は戦闘中なのだが、ウルフが居るお陰で発見がスムーズになり・・・
「ガウッ!(くらえっ!)」
「ついげきごぶ!」
敵の撃破もかなり容易になっていた。
「グルルッ!(次行くぞ!)」
「ごぶ!」
その様子は凄いモノで、ゴブリンはウルフの言葉が解っていない筈なのにまるで解っているかの様で、まさに阿吽の呼吸といった感じだった。
「ガウ?ガウガウ?(なあ?俺達も突っ込むか?)」
「ごぶ?ごぶは料理が好きごぶよ?」
一部分かり合えていない奴らもいるけども!
「グルルッ・・・アオォォオン!(よし・・・敵殲滅完了!)」
「ゴブ。それぞれ怪我していないかを確認した後、近くのドロップアイテムを集めるゴブ。集めたら出発するゴブ」
と、ゴブリン&ウルフの様子を観察していたら戦闘が終了していたので、俺もドロップアイテム回収を手伝う事にした。
因みにだが・・・
「私も降りて手伝う?」
「いや、そのまま乗ってていいかも。そこまで無さそう」
「解った」
俺の背中にはエペシュが乗っている。あ、今日は俺も鞍つけてます、はい。
そうしてドロップアイテムの回収を終えると移動なのだが、ここでもウルフ達は大活躍だ。
なんせウルフ達の移動スピードはゴブリンの数倍ほどあり、スタミナもかなりあるので移動が捗る捗る。
「いやぁ・・・仲間にしてよかったわ『ハイフ』達」
「グルル(光栄ですボス)」
「確かに大正解ですゴブ。おかげで戦闘に移動に大助かりですゴブ」
移動中に呟いた言葉に、何時の間にか近くにいたウルフのリーダー『ハイフ』と長老のコンビが答えた。
俺はついでなので、長老に任せた攻略について聞いてみることにした。
「長老、4階層まで来たわけだけどどうよ?見た感じまだ俺達が手を出さなくても余裕そうだけど、そのまま任せておいても大丈夫か?次の階層への道も見つけられそうか?」
「敵は前のダンジョンを攻略した時のノウハウがあるので問題なさそうですゴブ。次の階層への道は、恐らくこのまま直進したらある筈ですゴブ」
「ガウガウガウ。ガウ。(多分強い敵が居るところまでは一日かからないと思う。多分ですがね)」
「そうか、了解」
攻略は何の問題もなく順調そうだった。正直ウルフを連れて来て劇的に攻略が進むとは思っていなかったのだが、いい意味で裏切ってくれたので嬉しい限りだ。
「順調だな・・・このまま何事も無ければいいんだが・・・」
「だね」
こうやって上手く物事が進んでいる時に限って悪い事が起きると、俺は今までの経験で学んでいたので心配になってしまった。
しかしここで引き返すのもそれはそれで無しだ。なので結局は最大限気を付けて進むしかないと思い、俺はそれまでより注意を払いながら進む事にした。
・
・
・
「何もなくて良かったね」
「いやいや、まだこれからある可能性大だ。なんせこれからこのダンジョンの『守護者』と戦うんだぜ?・・・多分だが」
エペシュが何もなかったと安心しているが、俺は未だ警戒を緩めていなかった。
なんせ目の前にはこのダンジョンで初めて見るごつい装飾が入った扉があり、明らかにやばい事を示していた。
「でもダンジョンの規模からしてそこまでの敵は居なさそう。道中の敵も前のダンジョンより弱かったし」
「まぁそれはそうなんだが・・・っは!?油断大敵火事大敵!」
「ん?それは前の世界の面白い言葉かえ?」
俺の言葉にニアが反応していたが、やはり好きなんだな諺みたいなのが・・・ってそれはどうでもいいんだ。
現在の状況を説明すると、俺達は最終階層である8階層(多分)の守護者がいる(これも多分)扉の前まで来ていた。
ここまでは『何事も無ければいいんだが(キリッ』とかフラグ臭い事を言っていたにも関わらず順調に辿り着いていて、道中の敵が弱い事からエペシュが『ヨユーヨユーマジ卍』とか言っている訳なんだが、俺はまだ気を抜いてはいけないと思っている。
何故なら・・・フラグさんは恐らくここから仕事をするからだ!
(一狼知ってるんだからっ!ここから何か起こるんでしょ!そう!エ○同人みたいに!エ○同人みたいに!!)
「呼んだごぶ?」
「御呼びでないわ誰得ゴブリンめ!」
警戒心をバリバリに出しながら扉を睨み付けていると、以前に『それ、誰が喜ぶんです?』と言わんばかりのエ○同人展開になっていたお方が喋りかけて来たが、全く御呼びでないので黙ってもらった。
するとそのゴブリン界のセクシー担当さん、何を思ったか・・・
「ごぶ?ならさっさと敵を倒すごぶ。ごぶは料理に飢えているごぶ」
ごつい装飾が入った扉を何の躊躇もなく開けてくださりやがった。流石展開を変な状況にしてくれることで定評のあるごぶ蔵氏である。
「ってそんなのんびり馬鹿な事考えてる場合じゃねぇ!長老は補助で魔法を頼む!その他は巻き込まれない様に!行くぞエペシュ!」
俺は慌てながら、今まさに扉を開けているごぶ蔵を飛び越してボス部屋へと侵入し、ごぶ蔵を庇うように前方に居るだろう敵へと咆えた。
「こいやぁっ!!俺が相手だっ!!・・・・・・あれ?」
俺が吠えると同時に軽い攻撃、もしくは口撃でも飛んでくるかと思いきや、予想外にも何も飛んでこなかった。
というより、敵の姿が見当たらず、部屋の中には木彫りの像が一体置いてあっただけだった。
「このダンジョンの守護者がいると思ったんだがな・・・休憩部屋だったか?」
「・・・違う。アレ敵だよ一狼」
「・・・え?」
肩透かしを食らった気分でいると、俺に騎乗していたエペシュがそんな事を言った。
『マジで?』と思っていると、マジの大マジアルマジロ(?)だったみたいで、像だと思っていた魔物が動き出した。
『ギギギ・・・ギシッ』
像では無いモノの硬い表皮でもしているのか、その魔物は軋んだような音を立てて動き出す。
「エペシュッ!結構激しく動くかもしれないから気を付けてくれよ!?」
「解ったっ!静と動・・・世界にかかる法則から我を解放せよ・・・モーションコントロール!」
俺がエペシュに注意を促すと何やら魔法を使ったみたいだが、詠唱からするに動きの補助みたいなものだろうか?・・・っと、ゆっくりと考えている暇も無さそうだ。
敵が・・・動き出した。
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作者より:読んでいただきありがとうございます。
「面白い」「続きが気になる」「強そう(小並感」等思ったら☆で高評価や♡で応援してください。
☆や♡をもらえると まるまる1話が ごぶ蔵のセクシー話になります。
こちらも連載中です。↓『悪役令嬢は嫌なので、魔王になろうと思います。』
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