第150話 普段は緩い系のわんちゃん

「・・・ふぅ。ついついヤりすぎちまったぜ」


 そう、俺はヤりまくった。


 ダ ン ジ ョ ン 作 り を !


 まぁ中身はワンフロアの罠付き迷路といったオーソドックスタイプ?なんだがな。


【魔物生成魔法陣設置完了しました。以後、定時毎に自動生成されます】


「お、了解」


「ゴブ。しかし一狼様、生み出される魔物があの一種類だけでよいのですゴブ?スラミーから説明を聞いた限り、あの種は1体生成するのに時間がかかりますゴブよ?」


「大丈夫だ、問題ない。」


 ん?何か俺フラグ臭いこと言っちゃいました?いや、そんなことはないよな、うん。


「生み出される種・・・ミノタウロスは普通に強いからな」


 そう、生み出される種とは俺のトラウマでもある魔物ミノタウロスだ。

 もしあの転生者のダンジョンの下層レベルの敵が来たとしても、『ミノタウロスさんなら大丈夫!』と俺は自信を持って保証する・・・のは買いかぶりだろうか?


「そうじゃの。ミノタウロスならば程々に安心しても良いと思うのじゃ。まぁ少々生成に時間が掛かるのも確かじゃがの」


「あーそれは・・・」


 話の通り魔物の生成には時間が掛かるのだが、俺はその間にこの地帯の下調べをしようと思っていたので、その事を話してみる。


「この辺りにどんなダンジョンがあるか解らないから、それを調べる為の期間防衛してたら大丈夫じゃなかと思ってな。流石に3,4日くらいあれば少しは生成されるだろ?」


「成程の、一石二鳥三茄子というやつじゃの」


「三茄子ってなんやねん・・・」


 話した所ニアから何時もの間違っている諺シリーズを聞かされた。・・・『一石二鳥』と『一富士二鷹三茄子』が合体でもしているのだろうか?


「まぁいいや・・・。長老、ダンジョンも取りあえず出来た事だし、俺は言った通り周辺の偵察に出かけて来るわ。何かあったらごぶ蔵にでもレモン空間開かせて俺に知らせてくれ。あ、エペシュには『侵入者がいるかもしれないから一応気を付けておいて』と伝言頼む」


「解りましたゴブ」


 ダンジョンの事は取りあえずやれることはやったと感じたので話を切り上げ、俺は外へと偵察に向かう事にした。

『この状態で出かけても大丈夫か?』と思うかもしれないが、長老に言った通り俺は何処からでもレモン空間を通じてダンジョンへと入れるので問題はない。


「うっし、んじゃ行って来る」


「行ってらっしゃいませゴブ」


 なので俺は心置きなく外へと出ていった。


 ・

 ・

 ・


 そして侵入者が現れる事もなく数日が経って周辺の偵察も終わった頃、ダンジョンにはミノタウロスが数匹生まれていた。


「2匹か。まぁ時間が掛かるって言ってたしこんなものか」


【はい。10匹まではこのまま生成されます。それ以上となると別途力が使われます】


「え゛っ!?まじ!?何かの商法かよ・・・っていうかさ」


 俺はそんなミノタウロスをスラミーを通して見ていたのだが、ある事に気付いた。


 なんか・・・ウチのミノタウロス緩くない?


「俺が昔見たミノタウロスってさ・・・こう・・・『力isパワー』『牛の形の悪魔』『ゴリマッチョ?いえ、ウシマッチョです』って感じのやっべぇ奴だったんだけどさ、何かこいつらを見ていると『のんびりisマイライフ』『闘牛の形をした乳牛』『筋肉?まぁなくはないです』って感じなんだけど、これって本当にミノタウロス?」


【ミノタウロスです】


 そんなスラミーの言葉が信じられずダンジョンの機能で調べてみると、確かにミノタウロスという種であったし、能力値も昔見たミノタウロスくらいはあった。

 つまりまごう事なきミノタウロス!・・・なんだよね?


「主人の気質でも受け継いでおるのではないかや?」


「えっ!?」


「うん。確かにあのミノタウロスって一狼っぽい」


「ええっっ!?!?」


「一狼様、魔物は見た目じゃありませんゴブ」


「えええっっっ!?!?!?」


「ごぶ」


「いや、何か言えよ」


 誰も居なかった筈なのだが、いつの間にか居たニア達に俺はディスられてしまった。・・・もしかしてごぶ蔵は慰めてくれていたのだろうか?


「一狼そっくりごぶ」


「・・・」


 どうやら違った様だ。


「ふ・・・ふんっ!アイツラはやれば出来る子なんだからねっ!緩いのは見た目だけなんだからねっ!そしてなによっ!何の様なのよ!」


「何故女子の様な喋り方なのじゃ?」


「ゴブ。一狼様が話があると呼んだと記憶していますゴブ」


「そうだったわっ!いや、これは別に女言葉じゃないぞ?」


「どうでもよいのじゃ。話があるならば話すがよいのじゃ」


「うっす・・・」


 いきなり集まって来て何の用だと思ったら、そう言えば自分が呼んでいたのだった。

 ニアにさっさと話せと言われた事なので、俺は皆を呼んだ理由『ダンジョン攻略について』を話し始めた。


「集まってもらったのはダンジョン攻略についてだ。偵察も終わったし、見ての通り2匹だけだがミノタウロスも生成されたので話そうと思ってな」


「成程ですゴブ」


「まず初めにこの周辺にあったダンジョンの数だが・・・8つほどあった」


「やはり魔境地帯じゃの、普通では考えられぬ密集具合なのじゃ」


「だな。んで俺の見た限りでは多分どこも似た様な強さだと思う。まぁ斥候のレベルと1階層入口付近にいた魔物から判断したから『恐らく』ではあるがな」


「ごぶごぶ」


「その8つのダンジョンの内訳というか敵の種族なんだが、3つがウルフみたいな『獣系』ダンジョン、後は『鳥系』『虫系』『植物系』『スライム系』『無生物系』があった」


「無生物系とは何ですゴブ?」


「あー、ゴーレム系とでも言えばいいのかな?俺が見たのは石で出来た人みたいな奴だったんだ」


「成程ですゴブ」


「んでどこを攻めるか何だが・・・」


「もふもふ・・・」


「エペシュ、モフモフは居るだろうけど、倒す敵としてだぞ?」


「残念・・・」


「まぁ俺も仲間にできるならしたかったから残念ではある。と、モフモフは置いておいてだ、この中で狙うとしたらどれがいいかって話だな」


 偵察と言っても大まかな敵の種類とダンジョンの場所くらいしかしていないので、俺の話せる情報は以上だ。

 なのでこの情報だけを元に次に攻略するダンジョンを話し合ったのだが、やはりというか植物系ダンジョンが候補に挙がった。


「植物系か」


「ゴブ。以前の植物系ダンジョンも、敵を倒すだけならば順調でしたからゴブ」


「だよな。となるとやっぱり一番目に狙うは植物系ダンジョンか」


 ウルフ達を引き入れる前に攻略してたダンジョンは確かに敵を倒すだけならば順調で、諦めた・・・というか引き返したのは移動・探索に時間が掛かりすぎるためだった。

 なので狙うなら植物系ダンジョンというのは自然な流れではある。


「THE安牌だが命がかかってるから取るべきだな。よし!植物系ダンジョンを攻略する事に決定!」


 遊びとかなら『だが断るっ(ババーン』とか言ってやる所だが、ここは安牌に乗っかる所だ。・・・流石に俺も駄目な事は駄目だと知っているのだ。


 という訳で、再びと言っていいのか植物系ダンジョンを攻略する事にした俺達は、それに向けて準備を始め、準備が終わった翌日・・・


「よっしゃ!今度こそ攻略だっ!」


「「「ごぶごぶ!」」」


「「「わおーん!」」」



 俺達のダンジョン攻略が、再び始まった。



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 作者より:読んでいただきありがとうございます。

「面白い」「続きが気になる」「楽そうな所を攻めるのは定石!」等思ったら☆で高評価や♡で応援してください。

 ☆や♡をもらえると ごぶ蔵が スライム系ダンジョンに単騎突入します。尚、『らめごぶぅ!』な展開になる模様。


 こちらも連載中です。↓『悪役令嬢は嫌なので、魔王になろうと思います。』

 https://kakuyomu.jp/works/16816927860702355532

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