第149話 新境地で新天地なわんちゃん

「う・・・うぅ~ん・・・もう食べられないごぶ・・・」


「・・・」


 という訳で、俺とごぶ蔵のラブコメ始まりました。


 ・・・ってなんでやねん!


「ごぶ蔵、そろそろ朝だぞ。エペシュも、ほらそろそろ起きろ」


「ごぶ・・・」


「・・・うん」


 大丈夫、ちゃんとエペシュも居ます。というか全員居ます。

 一体何が!?と思うでしょうから説明いたしますと・・・俺達が寝ていたら扉が開く→『何か大きい音聞こえたけど大丈夫ごぶ?』→説明→『ならいっそのこと3階フロアは全部ぶち抜きにするごぶ』ということです、はい。

 因みにフロアぶち抜きとかして大丈夫なのか?という問いには『ダンジョン建築方式だから問題ないごぶ』だそうです。ファンタジーダナァー。


 とまぁそんなことがあったので、俺とエペシュのラブコメ展開は無くなってしまったが・・・まぁいいでしょう。

 だってよくよく考えたら俺にラブコメとか無理ですもの、はい。


 ・

 ・

 ・


「てなわけで辿り着きました新天地」


 そうです、俺にできるのは唯のコメディです。なのでコメディ的展開で時間もふっ飛ばしちゃいます、はい。


「・・・」


 何か横で『コイツ・・・頭をやられたのかや?』的な顔をしているニアさんも居りますが、気にしないことにして新天地の様子を見て見ましょう。


 景色は一面茶色が広がる山々で生ぬるい風が吹き渡っています。


 住んでいる住人の方々も活発な方が多いみたいですね。殴り合ったり噛みつき合ったりしています。


 いやぁ~・・・イイトコロダナー。


 ってなるかいっ!?・・・そろそろ頭を通常運転に切り替えなければ。


「うぉっほん・・・魔物が割かし出歩いているけど、あれってダンジョンの斥候だよな?」


「うむ」


 新しく俺達が辿り着いた地帯では魔物の姿がそこかしこに見受けられたのだが、素面に戻った俺の頭で考えるに、ここら辺は突出したダンジョンがないのかもしれない。

 何故そう思うか?それは以前居た場所より出歩いているダンジョンの斥候が多いように見受けられたからだ。


「あれか、以前いた場所では、あの転生者が他のダンジョン攻めまくっていたからか」


「だろうの。奴みたいにそこそこの実力があれば他のダンジョンを攻めまくって迷宮内での戦闘になって来たり、攻められるのを警戒して防御を固めたりするからの。ここいらがそうでないという事は、どこも似たり寄ったりの実力と好戦的な性格の者ばかりなのであろう」


 俺はニアの言う事を聞いて少し考え、その後考えた事を尋ねてみる。


「設置した入口を見つけられると面倒かも知れないけど、力の底上げがしたい今ならいい場所だよな?」


「そうじゃな。入り口も見つけられたところで侵入してくるのは雑魚、更に設置場所も変えられるとなれば、程々の強さの迷宮が集まったここいらは良い場所だと思うのじゃ」


「だよな?んじゃここいらで武者修行と洒落込むか!」


 考えた事を話してみるといい感じの回答が返って来たので俺は喜び、この地帯を完全に次の修行場所へと定めた。

 そうと決まれば行動は迅速に!ということなので、俺は先ずユニークスキル『レモンの入れ(ry』の力を最大限発揮させるためにダンジョンの出入り口を設置する事にした。


「ん~・・・どこがいいかなぁ・・・」


「一狼よ、一応助言を言っておくと迷宮の出入り口を設置するならば龍脈上に設置せねばならんのじゃ。まぁ魔境地帯は全てが龍脈上みたいなモノ故問題は無いとは思うのじゃがの」


「あ、そうなのか。了解だ」


 スラミーの説明では出てこなかったが、どうやらそんな制約があるらしい。というか、当たり前すぎる事だったので言わなかっただけかもしれないが。


「どこでもいいのか・・・んじゃあ・・・あそことかは?」


「ん?よいのではないか?結局以前の迷宮の時も敵はこなかったようじゃしの」


「じゃあそこにしよっと」


 そんな中俺が選んだのは以前スラミーのダンジョンを設置していた様な場所、つまり唯の岩山の窪みだった。


「正直ここいらだと普通に作ったらめっちゃ侵入者来るだろうからな・・・。俺らの貧弱防衛線じゃそうなるときついし」


「うむ。正直お主らだけだと一狼とエペシュ以外はきついだろうの。長老とごぶ蔵も最近強くはなったが、それでもまだまだ微妙なラインなのじゃ」


「デスヨネー」


 俺達の軍団はほぼ俺のワンマン・・・いやワンワン?エペシュも居るからワン(俺)マン(エペシュ)か。って今はそんな洒落はいい!

 兎に角俺達の軍団はかなり尖った構成となっているので、ダンジョンの出入り口を作るなら奇策必須なのだ。


「また長老に敵が来ない様なアイディアでも作ってもらおう。そうしたらその間に皆も育って来るだろう・・・」


「それなら普通に迷宮でも作ればよいのではないかや?そこに迷宮の魔物でも生み出せばよいのじゃ」


「ふむ。それは確かに?」


 どうやったら侵入者が入ってこれない様な出入り口になるかばかり考えていたが、確かにニアの言う通りダンジョンの中身も作っておいた方がいいのかもしれない。

 なんせ俺のダンジョンってばマスタールーム1部屋しかないみたいなものだし。


「うん。絶対中身作った方がいいわコレ」


 言っていて気づいたが、俺のダンジョン・・・ヤバ過ぎ!のんびり『出入り口何処に作ろうかな~ポエポエ~』とか言ってる暇じゃなかったわコレ!



 その後俺は急いで解りづらい場所に出入り口を設置し、レモン空間へと入って行った。そして・・・め っ ち ゃ ダ ン ジ ョ ン 作 り し た !



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 作者より:読んでいただきありがとうございます。

「面白い」「続きが気になる」「ごぶ蔵とのラブコメまだー?」等思ったら☆で高評価や♡で応援してください。

 ☆や♡をもらえると ごぶ蔵が パンを咥えて走ってきます。


 こちらも連載中です。↓『悪役令嬢は嫌なので、魔王になろうと思います。』

 https://kakuyomu.jp/works/16816927860702355532

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